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魔法少女と黒猫リン  作者: s_stein
第一章 魔法少女世界選手権大会
41/188

41.対戦予想

 第二回戦の途中で昼休憩に入るはずが、あっけなく終わってしまう試合もあり、八試合全てが終わったところで、昼休憩になった。


 午後は、準々決勝の四試合のみである。



 主催者側とすれば、白熱した試合展開で予定通りに進行してくれた方が助かるのだが、こればかりはどうにもならない。


 観客もあくびが出る始末で、主催者側は頭が痛い。


 テレビの向こうでチャンネルを切り替えられていないだろうかと、大会本部では視聴率ばかり気にし始めていた。



 その頃、カナはイズミと一緒に、テーブルを挟んで昼食を取っていた。


 二人のメニューは同じで、ミックスサンドイッチとミニサラダとオレンジジュース。



 カナが卵サンドを手に取ると、イズミも卵サンドを取る。


 ツナサンドを取ると、イズミも同じものを取る。


 ジュースを飲むタイミングまで一緒だ。


 偶然なのだが、二人はそれだけで笑い転げた。



「そういえば、私、催眠魔法をかけられたとき、どうなっていたの?」


「ああ、あれ?

 バタンと倒れて、それからずっと、動かなくなったわ」


「その間に、ミヤビさんが他の魔法で攻撃すれば――」


「無理よ。催眠魔法をかけ続けているから、彼女も動けない。

 実際、ずっと目を閉じて立ちっぱなしだったから。

 あなたが立ち上がったとき、腰が抜けたように座り込んだわよ」


「そうだったんだ。

 私、凄く長い夢を見させられていたの。

 実際は、どうだったの? 長い時間だったの?」


「全然。30秒くらい。

 あの審判員、ゆっくりゆっくり歩いてきて、10(テン)カウントを始めたわ。

 そういう人みたいね。

 倒れた方にしてみれば、少し有利かも」


「へー」


「長い夢って、実際は短時間なの。そこだけ、時空が違うみたいに。

 これを応用して、周囲の時間をゆっくり動かしたかのように見せる魔法もあるわよ。

 そういえば、時間を操る選手が準々決勝に進んだわね」


「誰?」


「あなた、まだ選手のプロフィールを頭に入れていないの?

 マリアンヌ・ロパルツ。

 最後の試合に、右足が義足の選手がいたでしょ?

 彼女が時間を操るのよ」


「……」


「彼女は、昨年、ユカリとの準決勝で大怪我をしたのを知っているわよね?

 あ、あまりそういうの、感心ないかしら?

 その時に爆裂魔法で右足を失ったから、今大会は、復讐に燃えているわよ」



 その言葉に、カナは、思い出したくない記憶が蘇ってきた。


 テレビでは、マコトの試合以外は見なかったので、実際の映像はネットニュースでしか見ていないが、あれはショックだった。


 自分の爆裂魔法まで怖くなったのは、その時からだ。



「そうなんだ……」


「戦う相手は、ユカリオンリー。

 他の選手たちのことなんか、眼中にない。邪魔者扱い。

 さっきだって、瞬殺だったでしょう?

 魔法と言うより暴力よ、あれは。

 これじゃ、魔法少女の評判を落とすだけ!」


「イズミ、ちょっと落ち着いて」


「ごめんなさい。つい……。

 二回戦で、ヤマト国からあなたと私とユカリの三人が残り、他の国は五人残ったわよね?

 次の準々決勝で、さらにヤマト国の潰し合いがあるわ。

 だって、そうしないと、最悪、ヤマト国三人で他は一人になり、世界中がチャンネルを回すから」


「抽選はランダム――じゃなくて、細工しているんだっけ。

 だったら、そうかも」


「おそらく、マリアンヌ・ロパルツとユカリを次の試合で組ませるはずよ。

 だって、これ以上怪我人が出るとまずいから。

 そして、ヤマト国は――」


「……(ゴクリ)」


「あなたと私ね」


「!!」


「もしくは――」


「もしくは?」


「ユカリと私」


「マリアンヌさんは誰と?」


「あなたと」


「!!」


「彼女の暴力を止められるのは、私たちヤマト国の三人しかいないわ」


「そうしたら、イズミとマリアンヌさんとの組み合わせは?」


「準々決勝ではないわ。

 だって――」


「だって?」


「ユカリがあなたに準々決勝で負けたら、この大会がしらけるから」


「!!!」


「なんか、予想通りの抽選になりそうで、笑えるわ。

 ランダムに見せかけておいて、抽選箱の中身は、もう細工されているはずよ。

 それより、向こうで作戦会議しない?」



 イズミは、食堂の扉を指さす。


 外で行おうということらしい。


 カナは、コクリと頷いて、残りのサンドイッチを頬張った。


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