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魔法少女と黒猫リン  作者: s_stein
第一章 魔法少女世界選手権大会
3/188

3.出陣前

 10月10日。


 晴れ渡る空に、昼花火が盛んに打ち上がる。


 少し古風な開幕の合図であるが、響き渡る爆音が人々の耳朶を叩き、期待が否が応でも高まっていく。



 都会のビルのあちこちに設置された大型モニターが、第二回魔法少女世界選手権大会開幕まで後4時間と報じている。


 携帯端末にも、詳細情報が配信される。


 テレビ局では特番が放送されていて、解説者が熱弁を振るう。



 三十二人の魔法少女たちは、会場近くの八つのホテルに四人ずつ別れて宿泊している。


 その一つの815号室に、蜂乗家(はちじょうけ)の四姉妹が集まっていた。



 ダブルベッドの上に腰を下ろす彼女は、蜂乗(はちじょう)カナ。中学一年生。13歳。


 150センチメートルの細身の体を包むのは、白のセーラー服、コバルト色の襟、リボン、プリーツの多いミニスカート。


 選手権出場用の制服だ。



 西洋人ほどではないが高い鼻のおかげで、ハーフっぽい、アイドルのような美少女。


 しかし、今は、出演中のアイドルみたいな笑顔ではない。


 深紅のロングヘアの毛先を白い指に絡めて、落ち着かなそう。



「マコトお姉様。本当にカナが蜂乗家(はちじょうけ)の代表でよかったのでしょうか?」



 桜色の唇から漏れる言葉は、力ない。


 翡翠色の双眸が、床の茶色い絨毯の模様を追う。



「カナ。昨年の僕のリベンジに気を遣ってくれているのかい? それは無駄というものさ」



 僕と言っているが、男装の麗人と呼ばれる、黒髪でベリーショートカットの女の子。


 彼女は、蜂乗(はちじょう)マコト。高校一年生。16歳。



 190センチメートルの長身が腰を屈め、優しい碧眼でカナを覗き込む。


 そして、カナの右横にピタリと寄りそうように座った。


 並んでいる二人を見ると、どう見ても兄と妹だ。



「でも、決勝戦で七身(ななみ)ユカリさんともう一度――」


「この選手権は、個人戦の様相を呈しているけれど、七身家(ななみけ)は魔女の一族のランク付けを狙っているのだよ。

 だから、これは蜂乗家(はちじょうけ)の戦い。

 カナは僕より実力があるのだから、代表は当然さ」


「いいえ、それは買い被りです」


「ここにいる四人の中で、七身(ななみ)ユカリに正面から挑んで勝てるのは、カナだけだよ。

 僕が言うのだから、自信を持って」


「あの時、ユカリさんが、だまし討ちさえしていなければ。だから、リベンジを――」


「それは言わない約束だったよね。

 あの選手権は、何をやっても良いルール。

 町中で悪い『はぐれ魔女』と戦うときは、ルールなんかないから。

 勝負はね、実戦と同じ。全ては、倒れたら負けなのだよ」



 そう言うと、マコトはカナの左肩を左手でつかみ、グイッと引き寄せる。


 とその時、カナの右頬に、マコトの左胸が押しつけられた。


 突き出た胸の、張りのある弾力にドキッとするカナ。


 だが、服を通して伝わる体温の温かみに、少しずつ緊張がほぐれていく。



 ここに、小さな女の子が飛び込んだ。


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