2.魔法少女世界選手権大会
七身家は、世界中の優秀な魔女たちを集めた競技会の開催を企画する。
その際、若手の活躍の場にすると理解が得られやすい、と考えた。
そして、十五歳以上十八歳以下の魔女に参加年齢を絞り、「U-18魔女世界選手権大会」と銘打った。
彼女たちは、ヤマト国内と世界各国の魔女の一族に、広く参加を呼びかける。
一族に属さない、いわゆる「はぐれ魔女」にも声をかけた。
中には、魔法は見世物ではないと、なかなか首を縦に振らない魔女もいた。
また、理解を示すものの、門外不出を理由に渋る者もいた。
だが、疑似魔法装置に対して不快感を持つ者は多く、その点に同調することで次々と交渉は成立。
無事、七身家主催による「U-18魔女世界選手権大会」は、開催にまでこぎ着けた。
ところが、スポンサーとなった企業やメディアの要請で、「U-18魔女世界選手権大会」ではなく「魔法少女世界選手権大会」に名称が改められた。
理由は、単に、その方が一般受けするから。
可愛さを強調して、人気を煽ろうとするのは、いつの世も同じ。
この「魔法少女世界選手権大会」の改称に対して、批判的な魔女が現れた。
選手の一部に、辞退者も出た。
しかし、七身家をはじめ、スポンサーはどこ吹く風の体。
結局、彼らの思惑通り、この企画が大いに受けた。
放映権を巡り、メディアの競争も熾烈で、話題を盛り上げる。
一般人は、チケットをこぞって買い求め、プレミアが付く始末。
最終的に、開催期間の三日間全て、五万人収容のスタジアムが満席となった。
第一回は、二十名の魔法少女のトーナメント戦と、上位三人によるエキシビションが行われた。
会場に行けない人々は、3Dテレビで鑑賞するだけではなく、VR映像の配信も利用する。
優勝は、七身家代表で、爆裂魔法が得意な中学三年生の七身ユカリ。
世界の注目が七身家に集まる。
これは、一族の狙いでもあった。
熱狂的な盛り上がりを見せた第一回は、大成功。
そして、今年は、第二回。
今回から、十五歳の下限年齢が撤廃され、十八歳以下なら誰でも参加可能になった。
これは、十五歳未満でも七身ユカリより実力のある娘を参加させたい魔女たちの強い圧力に、主催者側が屈したから。
こうなると、七身家にも焦りが出てくる。
下限年齢の撤廃のおかげで、今回集まった魔法少女たちは、国内から八人、海外から二十四人の、合計三十二人と、前回の5割増し。
いずれも、実力派揃いだ。
魔法少女たちの苛烈な戦いが、今、始まる。