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魔法少女と黒猫リン  作者: s_stein
第三章 ヴァルプルギスの魔宴
176/188

176.反撃開始

 リンは、一姫(いつき)が大人しく退散したので、カナの方へ振り返る。


「さあ、こうなった理由を説明してちょうだい」


 カナはリンに、一姫(いつき)が保護と称してこの建物に全員を閉じ込めたこと、結界が張られていてリンを召還できなかったこと、ここにいるみんなが(てい)()に狙われていること、魔法女学校が(てい)()率いるはぐれ魔女たちに襲われていることを手短に伝えた。


「なるほどね。

 ねえ、みんな、これからどうしたい?」


 リンの問いかけに、全員が口々に「魔法女学校を魔の手から守りたい」と答える。


 彼女たちの思いを受け止めたリンは、「オッケー。とりあえず、学校内で敵の手に落ちていない場所に今から移動するわよ」と言って、宙に浮いたまま両方の前足を真上に上げる。


 リンの短い詠唱の後、たちまち、リンたち全員が光に包まれた。



   ◇◆◇■□■◇◆◇



 魔法女学校の体育館は、避難した生徒たち三十人ほどが座り込み、肩を寄せ合いながら震えていた。


 その近くに光の塊が現れ、中からリンやカナたちが登場する。


 生徒たちは、魔法少女世界選手権大会の優勝者であるカナの姿を見て、百人力を得たかのように喝采した。


 さっそく、カナは生徒から状況を聞いた。


 体育館の周囲は、高校三年生と高校二年生のうち、魔法に長けた生徒が魔女の攻撃を辛うじて防いでいる。


 それ以外の生徒は、一部はまだ抵抗しているか別の場所に隠れているかも知れないが、多くがどこかへ連れ去られたとのこと。


 カナは、見渡すと生徒しか見えないので気になり、近くの生徒へ尋ねた。


「先生方は? 校長先生は?」


 すると、その生徒も周囲の生徒も、突然泣き出した。


「全員、殺されました……」「(ひそか)という魔女に」


 カナたち全員が、血が凍るほどの恐怖を覚えて絶句した。


 リンが宙に浮きながら腕を組み「あのアサシンが登場とは、かなり面倒なことになったわよ」とため息をつく。


「リン、どうすればいい?」


 すがるような目でリンを見るカナは、すっかり青ざめている。


「この中で、攻撃に特化した魔法を使えるのは誰?」


 カナとイズミが真っ先に手を挙げた。


 次にナツが「少しなら」と肩の高さまで手を挙げる。


 誰かが「(なな)()ユカリさんと(はち)(じよう)マコトさんと(はち)(じよう)イリヤさんが、外で戦っています」と声を上げた。


 カナは、マコトとイリヤの名前を聞いて目の前がパッと明るくなった。ただ、ミナの名前が挙がらなかったのは、気がかりだった。


「もう少しメンバーが欲しいけど、仕方ないわね。

 じゃあ、選抜メンバーで反撃開始よ。

 三人は私と来て。魔女をコテンパンに叩きのめすわよ」


 リンは宙に浮いたまま、恐ろしい速さで体育館のドアに向かって飛んだ。カナとイズミとナツが駆け足でリンを追った。


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