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魔法少女と黒猫リン  作者: s_stein
第二章 魔法女学校
159/188

159.密室からの脱出

 真弓が同じ部屋に二人。しかも、頭のてっぺんからつま先まで、鏡に映したと見間違うほど同じなのだ。


 もし、この場に一般人がいたとしたら、彼らには二人の区別は不可能だ。だが、魔女同士は体から発する魔力の違いで区別が出来る。


「いやー、魔獣に釣られて、てっきり外へ行ったと思ったよ。

 それも芝居だったとは、恐れ入った」


 偽の真弓が笑みを浮かべて感心していると、本物の真弓が無表情に答える。


「このわたくしが後ろに目がないとでもお思いでしょうか?

 外に出た後で、建物に侵入する人を見逃すはずがありません」


「敬語を使わなくていいよ。首がむずがゆくなる。

 昔みたいに、ワイルドにいこうじゃないか。

 お嬢様を前にして、汚い言葉を使うのは気が引ける、ってのはわかるけどさ」


「あれは大昔の、使用人になる前の話。

 若気の至りです」


「固いなぁ……。

 まあ、蜂乗家(はちじょうけ)の人々はみんなそうだから、染まるのも仕方ないか」


「それより、お嬢様に手出しをしたら、ただでは済みません」


 本物の真弓が、右手を前に突き出す。続いて、リンが両方の前足を上げる。


 どちらも、魔法発動の構えだ。


「カナは後ろへ下がって」


「はい」


 カナは、素速くリンの後ろに回った。


「出たー。2対1の攻撃。

 これは、いじめだね。

 それとも、僕の魔力に怖れをなしているのかい?」


 リンが顎で左の壁を指し示す。


「逃げようったって、そこの壁はドアと違って抜けられないわよ」


「そんなの、とっくに気づいているよ。

 昔から、この屋敷には、妙な細工がしてある。

 でも、君たちも、ここでド派手な魔法を使えない。

 だって、こんな狭い部屋で魔法を発動したら、部屋が吹き飛ぶだろう?」


 偽の真弓がニヤリと笑った。


「さあ、どうする?」


 本物の真弓とリンが、ハモるように答える。


貞子(ていこ)を捕らえる」


「ふーん。

 じゃあ、とっておきのショーをお目にかけようかなぁ。

 もちろん、そこのお嬢様をお客様として連れて行くからね」


「それは無理よ」


「どうかな?

 昔から、この屋敷の細工を変えていないよね?

 だったら、抜け道は研究済みさ」


 貞子(ていこ)がそう言って右手を真上に突き上げ、指を鳴らした途端、貞子(ていこ)とカナの姿が煙のように消え失せた。


「しまった!

 空間移動を使われたわ!」


「リン。後を追いましょう。

 無詠唱でも、あの魔法と同じ魔法を使っているはずです」


「じゃあ、よろしく!」


「はい。

 移動(トランスファー)!」


 真弓も貞子(ていこ)と同じポーズを取って詠唱すると、リンと一緒にフッと姿が消えた。


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