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魔法少女と黒猫リン  作者: s_stein
第二章 魔法女学校
145/188

145.想定外の展開

 昇降口を出る前に、カナは黒猫リンを召還した。


「フアアアアア……、眠ぅ……」


「リンは、いつも眠そうね。向こうの世界では、何をしているの?」


「別に」


「だったら、しゃんとして!」


「だって、私が主人公のお話なのに、ちっとも登場させてくれないし」


「それは、作家さんに言ってよ」


「違うわよ。

 あんたが、私を召還しないからでしょ。もー」


「リン。

 そろそろ来るわよ」


「これは、かなり強力な魔力ね」


「うん。キーンって感じる」


「私は姿を見せてていいの?」


「てか、もう感づかれている」


「よかったの!?」


「それが作戦だから」


 カナは、リンの耳元でこれからの作戦を伝えた後、昇降口を出て雪道を歩き始めた。


 宙に浮いて移動するリンは、カナの右肩付近で位置をキープする。



 雪道を歩くカナは、周囲の生徒から見て、フッと消えたように見えたはずだ。


 それは、結界の中に入ったから。


 カナの方も、周囲の生徒が見えなくなった。



「いるんでしょう?」


 立ち止まって左右の木々を見るカナは、見えない相手に声をかける。


 すると、近くの木の陰から、ワンドを持った真弓が現れた。もちろん、偽者である。


 カナは、魔獣がもう現れたのかと、ギョッとする。


 ワンドを持った真弓イコール魔獣、と頭の中にインプットされているからだ。


 いや、彼女は炎竜を奪うから貞子(ていこ)のはず。


 カナは、頭の中で目からの情報を補正する。



「一応聞くけど、あなたは誰?」


 ところが、カナの問いに偽の真弓は答えず、薄笑いを浮かべているだけだ。


桑無(くわなし)貞子(ていこ)?」


 これにも答えず、近づいてくる。


 と突然、リンが叫んだ。


「カナ! こいつは魔獣よ!」


「えっ!?」


 カナの頭の中が真っ白になった。


 こいつが魔獣なら、校門の外で自分を襲う真弓が貞子(ていこ)なのか?


 でも、炎竜はいつ奪われる? 今ここで魔獣に奪われるのか!?


 本当なら、ここに貞子(ていこ)が登場するので、彼女が炎竜を奪取するのをリンの協力の下に阻止してから、魔獣が化けた真弓を撃退するはずだった。


 その計画が崩れて、カナは呆然とする。



「何ボーッとしているの!

 臨機応変に行動しなさい!!」


 リンは、両方の前足を高く上げて詠唱する。


「風の魔神よ、汝、その絶大なる力を我の前に示せ!

 かの者の周りに風を集め、渦となり、

 雪塊と、かの者を巻き上げ、竜のごとく天に昇れ!」


 と突然、偽の真弓の周辺で風が回りだした。


 それは、あっという間に竜巻となり、雪を巻き上げて、どんどん高くなっていく。


 飲み込まれた偽の真弓は、紙のように宙を舞い、激しく回転すると、狼男のような姿に変わった。


 カナが周囲を警戒する中、1分以上竜巻を継続させたリンが、拍手の要領で前足を軽くポンと合わせる。


 すると、嘘のように竜巻が消滅した。


 ドサッと落下した狼男は、光の粒となって消えた。


「ちょろいものね」


 リンが笑うと同時に、周囲に生徒の姿が見えてきた。


 結界が解除されたのだ。


「こんなに簡単に終わっていいの?」


「いいんじゃない? でも、まだ終わってはいないわよ」


「えっ?」


「ほら、校門の外で狼男が化けていたのとそっくりなメイドがいるでしょう?」


 リンの言葉に、カナは前方の校門を見る。


 確かに、ワンドを持ったメイドの姿が見える。


「でも……」


「何を躊躇しているの!?

 あいつをやっつけるんでしょ!?」


 カナは、自分の首を斬られるシーンが頭に浮かんだ。


「ほら、行った行った!

 さっき、聞いたとおり、本物がそばにいるはずよね!?」


 カナはハッとして思い出した。


 何でそんな大事なことを忘れていたのだろう。


 本物の真弓を待機させていたはずではないか。


 カナは、宙を飛ぶリンを追いかけるように、校門へと走った。


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