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魔法少女と黒猫リン  作者: s_stein
第二章 魔法女学校
143/188

143.あえて予知通りに行動する

「それ、具体的にどういう予知?」


 イズミが、アキを睨み付けて問いただす。


「どうも何も――」


 アキは、またクラッカーを頬張った。


「言葉通りだけど」


「どういう状況でそうなるのか、教えて」


「校門から外に出ると、車が止まっていて、そばにメイド服の人が立っている」


 それは、カナ専属のメイドの真弓だろう。


「そのメイドが、カナの首を――」


 アキが右手で自分の首を斬る真似をする。


 フユミが息を飲んだ。



「嘘じゃないわよね!?」


「疑うの? なら、今度、何が見えても教えない。

 あんたの未来も」


 アキは、くるりとイズミに背中を向け、歩み始めた。


「待って!」


「何?」


 アキは、立ち止まるも振り向かない。


「行動を変えると、予知も変わるわよね?」


 顔半分だけ、アキは振り返った。


「当然」


「なら――」


「だけど、どういう行動を取ると回避できるかなんて、わからない。

 それに、私だって、ずっと予知をし続けるほど魔力が有り余っているわけじゃないし」


「……わかった。

 それなら、一つだけ予知をして」


「何を?」


「カナは下校時刻になっても、私たちが教室から外に出さないって決めた。

 そうしたら、どうなる?」


 アキは、首を傾けて考え始めた。


「メイドが、学校の敷地内に入ってくる。教師の制止を振り切り、教室へ向かう。

 そして今度は――イズミとフユミとカナが死ぬ」


 名指しされた三人は、心臓が凍り付いた。


「カナに近づく人物がいる場合、私たちが周囲を固めて守ると決めている。

 それでも?」


「教室から外に出ないという行動で、メイドがその行動を取るから、結果は同じ。

 あのメイド、めちゃくちゃ強いから、瞬殺される」


「じゃあ、教室からみんなで出ればいいのね?」


「予知は一つって言ったじゃん。答えないよ」


「いいわよ。みんなで固まって出るから。

 ここにいる全員で。

 なら、問題ないわよね?」



 とその時、アキが、急に振り返って正面を向いた。


「その方が最悪の結果になる」


「どういうこと?」


「ふう……。仕方ない。予知は一つって約束したけど、最悪になるから伝える」


「ありがとう」


「メイドが、カナの首を狩るために、一度に全員の首を狩る。

 真ん中だけってわけにいかないから、まとめて手を下す形」


 この時、カナが挙手をした。


「アキさん。聞いていい?」


「違う行動での予知ならごめん。

 答えないから」


「いいえ。その、今見えているメイドの顔ってわかる?」


「顔?」


「特徴でもいいから」


「赤い眼鏡をかけている」


 真弓だ。でも、カナは信じられない。


「ロッドを持っている?」


「ロッド? 違うと思う。先っぽがこう、釣り針みたいに曲がっている奴」


「ケーンかワンドね。

 うん、わかった。

 私一人で帰る」


「何を言うの!? それは駄目よ!」


 イズミがカナの腕を両手でつかんだ。


「ううん、大丈夫。

 そのメイド、真っ赤な偽者だから。

 蜂乗家(はちじょうけ)にそんな杖を持ったメイドはいない」


「じゃあ、その偽者って誰?

 桑無(くわなし)貞子(ていこ)?」


 学食で聞き耳を立てていた生徒全員が息を飲んだ。


「その人なら、炎竜を先に奪うはず。

 もちろん、炎竜を狙うあのお方(ヽヽヽヽ)でもない。

 アキさん。予知の中で炎竜は見えていないでしょう?」


「うん。カナが近づいたら、いきなり斬りかかる」


「おそらく、人間に姿を変えた魔獣よ。

 考えがあるから、心配しないで」


「いいえ、絶対に駄目!

 私も一緒に帰る」


「わ、私、回復魔法使えるから、い、一緒に帰ります、ですです」


「イズミ、フユミ、ありがとう。

 でも、事件に巻き込みたくない。

 考えがあるから、任せて」


 カナは、イズミの両手をしっかり握って説得を続ける。


「……わかった。

 でも、危なくなったら頼って」


「うん」


 カナは、笑顔で頷いた。


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