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魔法少女と黒猫リン  作者: s_stein
第二章 魔法女学校
137/188

137.砕け散る結界

 貞子(ていこ)の剣幕にも、カナは動じない。


「そうは言っても、私の意志ではどうにもならないから、無理よ」


「おやおや、そんな凄い物を内に秘めているのに、出し方がわからないと?

 なるほどね。

 制御(コントロール)できないんだ」


「悔しいけど、そう」


「なら、出してあげるよ。

 ん? 出来るのか?って顔しているね。

 大丈夫。

 なにせ、出し方は、あいつがテレビの前でバラしてしまったから」


 そう言って貞子(ていこ)は、式神たちの方へ振り向き、「やれ」と命令する。


 カナは、三人の女生徒――式神に取り囲まれる。


 彼女たちは、両手を突き出した。



 ところが、三人はたじろいだ。


 カナの全身が光り輝き始めたのだ。


 これには、カナ自身も驚く。


「おっ? 何をおっぱじめるのかなぁ?」


 貞子(ていこ)が身を乗り出した。



 とその時、カナがブルブルッと震えたかと思うと、両目が燃えるような灼眼に変化する。


 そして、両手を一杯に広げ、取り囲んでいるうちの二人の方に手のひらを向けた。


 その刹那、手の先に魔方陣が現れ、そこから火炎が噴射された。


 炎を浴びた二人は、一瞬にして火に包まれ、光の粒となって消えた。



 カナは、今度は正面に両手を突き出す。


 轟音を立てて噴射された二つの炎の柱は、一つは残りの式神を燃やしたものの、もう一つは横っ飛びした貞子(ていこ)に交わされた。


「おやおや、炎竜様のご登場かい?」


 転がった体を起こした彼女は、今度は、周囲を見渡す。


 結界の外が、何かに執拗に攻撃されているらしく、ビリビリと揺れている。


「外は外で、この結界を破ろうとしている奴がいる。

 出来もしないくせに、無駄なことを」


「こんな結界など、笑止」


 カナは、腹が震えるような低い声を出す。


「炎竜に憑依されてる。

 まだその段階かぁ。

 惜しいなぁ」


「正拳突きが巻き起こす風だけで、こんな結界なぞ壊してみせる」


「大きく出たねぇ……って、炎竜ならやりかねないか――」


 と貞子(ていこ)が言い終わらないうちに、カナは左腕で正拳突きをする。


 信じがたいことだが、それだけで突風が現れ、結界に激突した。



 バリバリバリバリッ!!



 周囲の結界が無数の破片となって崩れ落ち、光の粒となって消える中、元の世界が現れた。


 すると、カナの後ろにいたジャージを着た女性が鞭を持ち、貞子(ていこ)の後ろにいたメイド――真弓がロッドを持っていた。


 ジャージ姿の女性が鞭を振ると、それはゴムのように伸びて貞子(ていこ)の体に巻き付いた。


 一方、真弓がロッドを突きつけ、「――捕縛(アレスト)!」と詠唱すると、貞子(ていこ)は縄で巻かれた。



「おやおや、二人がかりとは、卑怯じゃないかい?」



 ミナたちは、ジャージ姿の女性の後ろから行く末を見守っていたが、見知らぬ女性が捕縛されているので、目を白黒させた。


「貴様は、桑無(くわなし)貞子(ていこ)だな!

 学園の不法侵入は、何人たりとも、この私が許さない!」


 ジャージ姿の女性が青筋を立てて怒る。


「いいじゃないか、何条(なんじょう)アカリ。

 ちょっと散歩に入ったくらいで。

 それに――」


 貞子(ていこ)が後ろを振り向いた。


冬来(ふゆき)真弓までいるじゃん。

 君も不法侵入じゃない?

 何条(なんじょう)アカリが許さないって言ってるよ」


「わたくしは、カナお嬢様の護衛。

 お前とは訳が違う」


「はいはい。今日は、豪華なメンバーだねぇ。

 でも、君達の魔法は――」


 次の瞬間、鞭と縄を抜けた貞子(ていこ)が宙を浮いた。


「手抜きかい?

 ゆるゆるだよ。

 それじゃ」


 そう言い残して、彼女は空気に溶け込むように消えた。


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