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魔法少女と黒猫リン  作者: s_stein
第二章 魔法女学校
132/188

132.魔女真弓VS疑似魔法使い

「――上昇アセント!!

 ――爆破ブローアップ!!」



 黒い影が声高に叫ぶ、最小限に切り詰められた略式詠唱。


 その直後、男たちの青い火の玉付近に、輝く魔方陣が出現した。


 すると、玉は攻撃者の手から逆らうように離れ、10メートルほど急上昇し、パーンと打ち上げ花火のような音を響かせて消え失せた。



「何だ何だ何だ!!??」


 空中を見上げた男は、慌てふためく。


「お嬢様。ここは、わたくしにお任せください」


 黒い影が背を向けたまま、落ち着き払った声で、そう言った。



 真弓だ。



 彼女は、どこに隠し持っていたのか、右手にロッドを握っている。


 長さ18インチ、約45センチメートルのアッシュ材――トネリコで出来た杖だ。



「野郎! あの生意気なメイドを攻撃しろ!」


 カナの近くにいた二人が、青い火の玉を振りかぶる。


 もちろん、身を挺してカナを守るメイド――真弓に向かってだ。



 再び、彼女は詠唱する。


 すると、二人の火の玉にも、魔方陣が現れた。


 そして、スーッと上昇し、同時に爆発。



 それだけではない。


 残り五人の火の玉も次々と同じ運命をたどった。


 爆発音の残響が、広い公園にこだまする。



「出たあああああっ!」


「やっべええええ! 逃げろ!」


「殺されるぅ!」


「ひいいいいいっ!」



 男たちは、雪に足が滑り、もつれながら逃げ惑う。


 真弓は、逃走者たちに向けてロッドを突きつけた。



「――捕縛(アレスト)!」



 詠唱の後、八人全員が磁石に引きつけられるがごとく、一箇所に集まってきた。


 慌てふためくさまは、喜劇でも見ているかのようだ。



 逃れようと手足を伸ばす彼らは、その意志に反して、押しくらまんじゅうを始める。


 そこに、空中から縄が現れ、全員まとめてぐるぐる巻きにされた。


 八人は、雪の上へ無様に座り込む。



 真弓はすかさず、ロッドで空中に円を描きながら詠唱する。



「出でよ、忠実なる我が(しもべ)たちよ」



 すると、真弓の近くの雪上に、無数の光の粒が現れた。


 それらは、急速に集まり、七つの塊になる。


 塊は、みるみるうちに大人の背丈大に伸びていき、眩しいほど輝いた。


 その光が消えると、スーツを着てサングラスをかけた七人の男たちが出現した。



 彼らは、恐ろしい速さで雪の上を駆けていき、捕らえられた男を取り囲む。


 ここで初めて、真弓がカナの方を振り向いた。



「お嬢様。この後は、あの者たちが(やから)を警察に引き渡します。

 騒ぎを聞いたときに警察を呼びましたから、あと3分で駆けつけるはずです」


「正当防衛でも、魔法は禁止のはず!

 どうするのですか!?」


「相手への魔法による攻撃、および相手の攻撃に対する魔法による反撃は、確かに禁止されております。

 しかし、事前に警察の許可をもらうという条件付きですが、逃走者の追跡、および捕縛に魔法を用いるのは、禁止されておりません」


「それは、本当ですか!?」


「はい、お嬢様。

 ですから、奥様が警察機関に魔法で協力できるのです。

 事前の許可で、一部の魔法だけですが、一般人へも使えるのです」


「知らなかった……」


「先ほど警察を呼んだとき、捕縛に魔法を使うことの許可をもらいましたので、ご安心ください」



 とその時、向こうからイズミたちが近づいてきたので、カナは声の調子を変えて、聞こえるように主人らしく振る舞った。


「そう。ご苦労様。後はお願い」



 真弓は、後ろから近づいてくる足音に気づき、振り返る。


「あのお二人は同じ学校のようですから、一緒にお車で登校されてはいかがでしょうか」


「そうね」



 カナは、真弓の横を歩き、徐々に早足になる。


 そうして、満面の笑みを浮かべながら、イズミたちのところへ駆け寄った。


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