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魔法少女と黒猫リン  作者: s_stein
第二章 魔法女学校
129/188

129.メイド服は鎧

 カナは、視線を向ける先として、電線に止まって丸くなっている雀たちを対象に定めた。


 だるまのように見える雀たちが、チチチッと鳴いて、首を動かしている。


 その可愛い仕草に、つい口元がほころぶ。



 とその時、運転席側のドアがバクンと開く音が左耳に飛び込んだ。


 彼女は目だけ左側へ向ける。


 すると、真弓が、柔らかさに欠けた衣擦れの音を立てて乗り込んでくる。


 すべすべした生地で、可愛いメイド服のはずなのに。



 不思議を通り越してちょっと怖くなったカナは、運転席に座る真弓の一部始終を、まん丸な目で追った。


 そして、勇気を出して声をかけてみる。


「その布、なんか堅そう」


「左様でございますか?」


「こっちが聞いてるの。

 まさか、薄い鎧?」


「さすがはお嬢様。もうお気づきでいらっしゃいますね?」


「さすがかは知らないけど」


「この服は、普通の布ではございません」


「布じゃない?

 やっぱり、鎧?」


「まあ、近いです」


「曖昧な答え方、しないで。

 時間の無駄」


「申し訳ございません、お嬢様。

 これは、軍事用の特殊な繊維で出来ておりまして、至近距離からマシンガンで掃射されても、弾丸を弾き飛ばし、衝撃も吸収いたします」


「……」


「千枚通しのような鋭い(きり)でも刺さりません」


「……無駄に凄いわね」


「これも、お嬢様をお守りするため。

 無駄ではございません」


「あっそ」



 真弓は静かにドアを閉め、バックミラーを少し動かす。


 ミラーが映し出したカナは、呆気にとられる。


 驚くのも無理はない。


 いつの間にか、真弓が赤いアンダーリムでスクウェアタイプの眼鏡を着用していたのである。


 その素早さは、まるで魔法。


 体が固まったカナの顔へ、空調の温風が吹きかかった。



「運転するの?」


「いいえ、自動運転でございます」


「なら、運転しないんでしょう?

 そう言えばいいのに」


「緊急事態の時は、わたくしが手動運転いたしますので、そうは申し上げられません」


「いちいち細かいのね」


「お褒めの言葉――」


「褒めてない……。

 なら、その眼鏡。目が悪いの?」


「いいえ、お嬢様はご存じの、魔法の伊達(だて)眼鏡でございます」


「ああ、あれね」


「左様でございます」


 二人の謎の会話が終わると、真弓がどう操作したかは不明だが、車は滑り出すように発車し、雪道にもかかわらず、どんどん加速していった。


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