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魔法少女と黒猫リン  作者: s_stein
第一章 魔法少女世界選手権大会
105/188

105.決勝戦

「これから、決勝戦を開始します」



 場内の放送がスイッチとなり、大観衆の声が爆発する。


 ほとんどが、カナコールだ。


 太鼓や笛やブラスバンドまで混じり、その大音響がスタジアムを揺らす。



 ヘルヴェティア王国の応援団は、肩身の狭い思いをしながら、声を限りに声援を送るも、どうしてもかき消されてしまう。


 なので、全員が大小の旗を、力の限り振った。


 存在を中継で母国に知らせるには、これしか方法がなかったのだ。



 ゆっくりと位置につくカナ。


 彼女の右肩付近には、腕組みをした黒猫リンが浮いている。



 一方、手動で車椅子を動かしながら、位置につくカトリーン・シュトラウス。


 魔獣などを従えていないので、召還魔法は温存しているらしい。



 二人の間は、10メートル。



 カナは、ちょっと離れすぎていると思い、カトリーンに近づいた。


 ところが、カトリーンは、歩調の速度に合わせるように後ろへ下がっていく。



 カナは立ち止まり、今度は後ろに下がった。


 その動きに合わせて、カトリーンは車椅子を前に動かす。



「リン。どう思う?」


「あんたは、どう思うのよ?

 人に聞いてばかりいないで、考えなさいよ」


「人なんだ……」


「突っ込むところ、そこ!?」


「この距離を保つということは、……えーと」


「カナの、どこへ飛んでいくかわからない雷をやり過ごすため」


「ひどっ!」


「あるいは――」


「もう言わなくていい」


「あら、そうなの?

 とっておきのがあるのに」


「いいもん。

 召還魔法が得意なんでしょう?

 なら、魔獣をわんさか召還するためでしょう?」


「ま、それもあるけどね」


「他になにがあるのよ?」


「近すぎたら、炎竜に踏み潰されるでしょう?」


「そっか……。

 でも、実物を見たことがないから、それが正しいのかはわからないけど」


「それより、もう一人敵がいることを忘れないでね」


「わかってるって」


「それにしても、審判員、遅いわね」


 母親が審判員と聞いているカナは、リンの言葉にドキッとした。


「なんで、お母様なのかしら?」


「決まってるじゃない。

 炎竜の覚醒の阻止が目的よ」


「ふーん。

 ……あっ、来た」


「ホントだ。

 でも、遅刻するなんて珍しいわね」



 カナとリンは、颯爽と近づいてくるマイコを見つめる。



 いつもの怖い顔。


 歩き方は、遅れた分を取り戻そうとして、少し早いかな程度。



 と突然、カナは後ずさりを始める。


 リンも、宙に浮きながら、少し後ろに下がる。


 そうして、二人は顔を見合わせた。


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