心
それから僕は大人になった。
大好きだったおばあちゃんは、僕が大人になる前に亡くなって、おばあちゃんの言っていた、こころの話をたまに思い出す。
絶望や悲しみが黒い土のように心にこびりついて、動けなくなってしまったこともある。
怒りや憎しみで心がトゲつき、他の人の心を傷つけたこともある。
誰とも関わりたくなくなり、誰の言葉も響かない空気のようになったことも。
美しく綺麗な、無垢で純真だった心は、今では見る限りもなく、他の大人と大差ない形をしている。
悩みが心の重石となっていることもあれば、陽気に浮かされ本来の重みさえ無くしてしまっていることもある。
真っ二つに切り裂かれるような辛い出来事も何度もあって、僕の心は至るところ継ぎ接ぎだらけだ。
でも、ね?
それでも僕は大人になってわかった。
変わらない心はなくて、変わらない人もいない。
継ぎ接ぎだらけになっても
ハリボテで本当の心よりも遥かに大きくなっていても
空気のように見えなくなってしまっていても
それでも僕はこの心を切り離したりできなかった
だって、中心にあるのは生まれてきたときのこころ、そのものなんだ
皆が持って生まれてきた、皆に授けられた大切な宝物なんだ
おばあちゃんが言ってた、心を変えない方がいいってのは、きっと誰かの心を、真似しなくていい、そういうことだったのだろう
いつか僕の子供が生まれたとき、僕も話すだろう
この心の話を




