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『マン・ハンティング~異世界でクラスメイトへ復讐する』  作者:
ドルヒ編

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兵隊の惨敗、戦う理由

久しぶりの投稿になります。

現在新作の作成に集中しておりますので、投稿ペースが遅くなっております。

ブックマークしてくださっている方には申し訳ないですが、精進していきます。

 城門から、負傷した兵士たちが次々に入ってくる。道には民衆がざわめきながら集まってきていた。

 噂だと、清美と剱田の力をあてにして宣戦布告したものの、僕があの二人を殺した。そのせいで戦力が激減し、兵士たちの士気も落ちて会戦早々に惨敗したらしい。今は兵を後方基地であるこの城に置いて軍の再編を図っているとか。

 戦友に肩を貸してもらって歩く兵、荷車に荷物のように並べて運ばれる頭や腹と言った急所に包帯を巻いた重傷の兵。馬に乗った士官や貴族でさえ疲労濃く、覇気がない。

 脱走兵もかなりの数にのぼったらしく、士官が射殺しても後を絶たなかったそうだ。

 まあ勝てると思って出陣したから意気軒昂だったわけで。

 勝てると言われてこの有様じゃ、逃げたくなるのも無理ないよね。

「ハインツ! よく無事で」

 民衆から女性が一人、兵に駆け寄って抱きついた。

「ああ、ヘレナ…… なんとかな」

 ハインツと呼ばれた彼は片腕を三角巾で吊ってはいたが一人で歩けるくらいの怪我だった。

「大丈夫だ。隣国なんぞ俺が必ず蹴散らしてやる。だからヘレナ、安心しろ」

「ハインツ……」

 二人は人前というにもかかわらず抱きあって熱烈なベーゼを交わした。

 剱田と清美を思い出すから、吐き気がするな。せめて人前でないところでやれ。

「お前……」

 もう一人、年老いた老婆が出てきて荷車に載せられていた兵に駆け寄った。

「こんな大怪我して!」

 荷車の縁に手をかけて、大声で頭に包帯を巻かれた兵に呼び掛ける。

 意識がぼんやりしているのか大声で呼びかけられているにもかかわらずすぐには返事ができず

「母さん……」

 数度の呼びかけの後、ようやくその兵は目を開けた。震える腕を必死にあげ、母親らしき老婆の手をつかむ。

「大丈夫…… 俺たちが必ず守ってやるから…… だから安心してくれ」

 こういった光景がそこかしこで繰り広げられ、行軍が止まるが士官はそれを止めることもせずに見守っている。

 死にそうになっても逃げないのは、背後に家族や恋人がいるからだろう。

 となると、後方に敵が来てこっそり彼女たちを殺されたりさらわれたりしたら、彼らはどうするのかな?

 僕は思わず頭に手をやってがしがしと掻いてしまう。

 こんなことを考えても仕方ない、頭が疲れるだけだ。彼らがドルヒの復讐の邪魔にならなければ放っておくし、邪魔になるなら殺すだけだ。

 ヒロイーゼさんのお店の邪魔になっても痛い目に合わせてやる。

 でもここまで隣国が攻めてきたらヒロイーゼさんやエデルトルート、他のウエイトレスさんたちが大変だな。

 ドルヒに聞いたところ、近頃彼女の白雪のような肌を刺すぴりぴりとした感じがあるらしい。

『吾輩に探知スキルはない。だが悪魔同士は引かれあう。それでわかる。もうすぐ来るぞ』


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