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『マン・ハンティング~異世界でクラスメイトへ復讐する』  作者:
ドルヒ編

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テルマ視点③

 同時にテルマはさっきまでいた森の中から消えて、別の森の中に飛ばされていた。


「ここは……?」


 テルマが周囲を見回すと、自称神様は姿が見えなくなっていたが声だけが頭の中に響いてくる。

『あなたにその男の子と同レベルの力を与えておいたからー。あ、男の子の特徴はさっき頭の中に伝えたイメージ通り。仇を取ったら元の村に帰してあげるから。復讐がんばってねー』


 カルトマヘンの使い手を追い、森の中を走っていくテルマを見ながら、彼女に見えなくなった自称神様は腹を抱え、転がりまわって笑いこけていた。


『バカだねー、あの子は。人の言ったことを疑いもせずにホイホイ信じ込んで』


『さて、躊躇しながら、罪悪感にとらわれながら殺した人の妹。それが目の前に現れた時、彼はどんな顔をするかな……?』


『レベル差は明らかだけど、抵抗する気がなければ面白いものが見られそうだ』



 テルマは森の中で自称神様に貰った矢を弓に番え、射る。


 矢など射たこともないテルマなのに、狙った木の幹に深く突き刺さる。


 矢がもったいないので抜こうとしたが抜けず、それどころか木を貫通して裏側に突き抜けていた。

 だが矢が一本しかないのでテルマは困ってしまった。


「矢さん、お願い、手元に戻ってきて」

 そうテルマが念じると気に突き刺さっていた矢が忽然と消え、木の幹に黒い空洞だけが残っていた。

 そしてテルマの手には矢が戻っている。

 さらに獣や魔物に対し矢を射ると百発百中で命中し、矢も自分が念じればすぐに手元に戻ってきていた。


「これなら…… 仇を取れるかも」

 テルマは幼女とは思えぬ昏い笑みを浮かべ、男の顔を思い浮かべながら森を急いだ。


 途中で魔物や獣と出会ったが、全て矢で脳天を貫いて返り討ちにする。

 奇襲されても後ろから襲いかかられても、弓を引きさえすれば矢が自動的に狙った獲物の脳天に突き刺さる。空中で、矢の形をしたカワセミかハヤブサのごとく敵をどこまでも追い、そして頭を貫通する。


 矢が一本しかなくとも、敵をテルマが見つければ一匹の獣に刺さっていた矢は新たな獲物に向かって再び飛んでいく。矢を番える必要すらなく、矢がまるで意志を持ったように飛ぶ。


 この能力が「プファイル(pfeil)」というのも納得がいった。

 これなら…… 殺せる。


 魔物、獣の血の臭いを心地よく感じながらテルマは森の中を急いだ。

 彼女には姉を殺した相手の位置がはっきりと脳内に浮かんできていたので、迷うこともなかった。


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