表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『マン・ハンティング~異世界でクラスメイトへ復讐する』  作者:
ドルヒ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/118

???視点 七 ~人殺しに適した力~

『どうしたのー? 怖い顔してるー』

 トラックにひかれる前のように、急に私の頭の中に声が響いてきた。

『なんで、あんなことを言うの? はるかたちに力を与えて、生まれ変わらせるの? さっきと話が違うよ』

 私もはるかたちに会話を聞かれるのは嫌なので自称神様の真似をする。どうやっているかはわからないけれど、コツは掴んだ。

 はるかたちが私たちを怪訝な顔で見ていることからすると、見つめ合っているようにしか見えていないようだ。

『あなたの復讐はこんなところで終わるの? 私の力を借りて殺して、それで満足? あなたの手で殺したくないー?』 

 それは、殺したいに決まっている。

 いや、殺しただけじゃ飽き足らない。私が味わっただけの苦しみを、いやそれ以上の苦しみを与えてやりたい。

『それは、私の手で殺したいに決まってる。私をあんな目に合わせて、地獄以上の状況に落として。でも私の力じゃとても敵わない』

 はるかの力、スピードを思い出す。

『じゃあ、あの人たちを殺せる力を与えよ―』

『そんなことが本当にできるの?』

『できるできるー。らくしょー。さっき私の奇跡を見たでしょ―? お安い御用だよ―』

 正直まだ信用できない。

 何をたくらんでいるのか、なぜこんな真似をしたのかもわからない。ひょっとしたら彼女もはるかたちとグルだという可能性も否定しきれない。

 でも、可能性が少しでもあるのなら。

 私は……

『力が欲しい。誰にも負けない力が。私をひどい目に合わせた奴らも、それを傍観してるだけだった人間にも。負けない力が欲しい』

万一、もしも願いを叶えてくれるなら。今は、この目の前の存在に縋ろう。嘘をついていたっていい。裏切られるのには慣れっこだから。

『そんなの無・理ー』

 だが神と名乗った存在は、はるかたちの願いは二つ返事でかなえたのに私の願いは一蹴した。

『なぜ……?』

 はるかたちとの扱いの差に、私は憮然を通り越して呆然とする。

『等価交換って知ってるー? さっきあなたの命を引き換えに彼女たちを殺すって言う願い事を一つ叶えちゃったからね、その分与えられる力も小さいよー』

『ならせめて…… 弱くたっていい。人殺しに適した力が欲しい』

 なぜ人殺しに適した力、なんて願ったのか自分でも理由がわからなかった。なんでこんな恐ろしい言葉がするりと自然に喋れたのかがわからなかった。

 でも、私の一番の願いだ。親、教師、見て見ぬふりをしたクラスメイト。彼らの顔が浮かんでくるとこの言葉が口をついて出た。

 自称神様は口元をひどく獰猛にゆがめた気がした。

『それくらいなら…… いいよー』

 神様の目が黄色く輝き、私の体も同色に輝いた。

 さっき外から見ていた時にはわからなかったけれど、体の中が別のものに作りかえられていく感じがした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ