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『マン・ハンティング~異世界でクラスメイトへ復讐する』  作者:
無力編

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タイマン

「なに言ってるんだ、キヨ?」

「だって、岩崎君を殺したのは村上君だって、あのナイフがしゃべったよ」

「キヨ、お前までおかしくなったのか?」

『これは驚いた。今回のハイレンの契約者は吾輩の声が聞こえるとは』

 ドルヒにしては珍しく、驚愕した声を出した。

「そのナイフが村上君のクラフトなのね。私には只のナイフって言ってたくせに」

 清美が蔑むように僕を見る。

 あまりに邪悪な力だから打ち明けられなかっただけなんだけどいまさらネタばれする気もない。

「ちょっとわけありのクラフトでね」

 ドルヒを構えて腰を落とす。

「今聞いての通り、岩崎、日原、佐伯、桜井を殺したのは僕だよ。何で殺したのかなんて言うまでもないよね」

「……恨みか」

 剱田の口調からは日原や佐伯みたいに逆恨み、っていう感じがない。恨みを買うのが当然って言うか、慣れ切った対応という感じがする。

「そう。そこで剱田、タイマンを申し込む」

 タイマンと聞いて剱田は剣を抜き、獰猛な笑みを浮かべた。

「男らしくていいじゃねえか。乗ってやるよ」

 これがエデルトルートからヒントを得た僕の策だ。

二人を手紙で呼び寄せて、正面から堂々と決闘を申し込む。

 剱田と清美を引き離すのではなく、清美の目の前で剱田に堂々と喧嘩を売ってやればいい。もともと喧嘩好きな剱田のことだ、断るはずもないし何より清美の前で情けない姿を見せたくないと思うはずだ。

「ちょ、ちょっと待ってよ!」

 清美が慌てて僕たちを止めに入る。

「なんでお互いに殺し合おうって空気になってるの?」

 なんて平和ボケな……

「男には引けねえ時があるんだ。岩崎を殺したのもこいつなら、仇打ちだな」

「むしろ止める理由がわからないんだけど」

「だって剱田君はこれから私と一緒にみんなを救うんでしょ? こんなところで殺し合ってる場合じゃないよ!」

 理屈は正しい。けど何かが決定的に間違ってる。

「うるせえぞ、キヨ!」

 剱田が清美を一喝する。清美が目に涙すら浮かべて怯え、周囲の小鳥たちが殺気を感じたのか梢から飛び立った。

 僕もまだ少し怖い。あの声と、顔がクラスの覇者として君臨していた剱田を思い出させる。ここまで来たのにそんなことを考える自分が情けなくて、嫌だった。

「男には戦わねえといけねえ時があるんだ。それに本能ってやつか、どんな魔物を相手にして来た時よりもこいつを相手にした方が血が震えるぜ。戦いたくて仕方がねえ」

『他の悪魔と戦いたいという、悪魔の本能か。しかしこやつは自身の闘争本能の方が悪魔の意志を上回っておるくらいだ。人間は悪魔よりよほどたちが悪いな』

 ドルヒが諦観したように漏らす。

「でも、こんな役立たずの人殺しのために剱田君が手を汚す必要なんてない」

 頭くるなあ。

 役立たず? 人殺し? 人を魔物に先に捧げたのはお前らだろ?

 僕はカルトマヘンのクラフトを初めは使わずに、なんとか村人やみんなのために役に立とうとした。火を起こして、柵を作って。

 それをすべて否定してリンチしたのは誰だ?

 だが清美は僕の感情を無視するかのようにロザリオを掲げた。清美の癒しのクラフト、ハイレンを使うための武器。清美もレベルが上がったのか、ロザリオは黄金のように輝き神々しさを主張するかのようだった。

「私はこの力で数多くの人を救ってきた。数え切れないほどの人が私に平伏して、祈りをささげ、感謝の言葉を述べた。私は常に正しいのよ。だからあなたも私に従いなさい。そうすれば許してあげるわ」

 なんかいやな感じだ。

 人を助けてるのは間違いないんだろうけど、自分が正しいと根っから信じて疑ってない子の感じ。こういうタイプって大体何かやらかすんだよな。

『……清美とやら。お前は人を救ってきたとぬかしたが、貴様の存在が戦争を招いたのだぞ?』


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