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『マン・ハンティング~異世界でクラスメイトへ復讐する』  作者:
無力編

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怠るな

クラスメイトも盗賊退治に駆け付けたのか? 盗賊刈りの前にドルヒから今のレベルでは桜井にすら勝てないと言われたのを思い出す。だが今は大分レベルが上がった。一人くらいなら相手にできるかもしれない。

 僕は咄嗟にドルヒを構え、周囲を警戒する。右左はもちろん、前、後ろ、上も下も。だが盗賊の残党もクラスメイトらしき人影も発見できなかった。

 だが、足元の人が一人入れそうな布袋から声がしていることに気がついた。慎重に袋を開けると、中から女の子が出てきた。僕と同じくらいの歳だろうか、異世界らしく金髪ブロンドの美少女だ。清美とは背丈が同じくらいだけど、体の一部が清美とは比べ物にならない大きさをしている。

目隠しをされ、さるぐつわを噛まされて、両腕を後ろ手に縛られている。

 もごもごと何かを呟きながら、必死に体をくねらせてあがいているが、縄はびくともしていない。 さすがに哀れに感じたので、縄を解いてさるぐつわを外してやった。

 目隠しを外したのでその女の子は僕と目があった。一瞬盗賊の一味と思われたのか恐怖の色を見せたけど、周囲の盗賊が皆殺しにされているのを確認すると顔を青くした。

「これは、あなたが……?」

 高い声で、少し震えながら僕を見て呟いた。

「そうだよ」

 嘘を言うのも面倒なので正直に答えてやった。

「私を助けに来たのですか?」

「結果的にそうなったね」

「もう、あの盗賊たちはいないのですか?」

 見ればわかるだろ。

 返事をするのも面倒になって首を縦に振るだけにした。だが、そのリアクションになぜかこの女の子は目を潤ませた。

「ありがとうございます!」

 自由を取り戻した両手で僕に抱きついてきた。僕の胸板で二つの巨大物体がぽよよんと潰れ、押しつけられる。鼻腔の奥に女の子の甘い香りが充満した。

「今日の夜、盗賊たち全員に乱暴されるところでした。本当にありがとうございます。申し遅れました、私ヴィルマ・シュティラーと申します。近くのイエナと言う村の村長の娘です」

 女の子って、胸だけじゃなくて体のどこもかしこも柔らかいんだな……

 それに素直に感謝されたのは久しぶりなので、言葉から伝わってくる感情に胸が熱くなる。やっぱり感謝されるのはいい。

でも、必死にその感情を押しこめる。

情が移ると裏切られる。それは清美の時に学んだ。

感謝されても裏切られる。それを村人たちから学んだ。

「よかったね。歩いて帰れるだろうから、気をつけて」

僕はそれ以上彼女を見たくなかった。だからそっけなく言ってその場を立ち去ろうとするが、ヴィルマとドルヒに止められた。

「お待ちください! お礼がしたいのです。せめて村まで来ていただけませんか?」

『待て相棒。あの女も殺していけ。お前のような少年がたった一人で盗賊団を壊滅させたのを知られたのだぞ? 口封じを怠るな』


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