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『マン・ハンティング~異世界でクラスメイトへ復讐する』  作者:
ドルヒ編

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終わったな

「相棒、待たせたな」

 女の足首をローキックで「斬り飛ばした」ドルヒが森の中から現れた。

「遅かったじゃない」

「別のクラフト持ちがいてな、てこずった。しかしその甲斐あって相当なレベルアップが果たせたぞ」

 ドルヒのワンピースタイプのドレスは血で真っ赤に染まり、頬といい髪と言い血まみれで、飛び散った鮮血の痕が手や顔に生々しく残っていたからだ。

「どれくらい殺したの?」

「あっちに駐屯してた一個師団くらいの兵たちを皆殺しにしてきただけだ。数が多くて時間がかかったがな」

 ドルヒの姿は血の海を越えてきたかのようで、長い髪の先から、指先から、ドレスの裾から血がこぼれている。

「お前ら…… 一体何の話をしてるんじゃん~?」

 足首を飛ばされて、不様に地面に転がった女が這いずっていた。

 しかしドルヒがその手も踏みつけて、動きを止める。

 当然なことに女の手が折れる音がした。

「吾輩の許可なく口を開くな」

 さらに女の口を蹴りつける。口の中が切れるという生易しいものではなく、歯と頬骨が折れ、骨の先端が頬から飛び出した。

「よくも、よくも、よくも、吾輩をいじめたな」

 ドルヒはそれから女の手と言わず顔と言わず殴り、蹴りつけた。

顔がはれ上がり、手足があざだらけになり、まともな部分が残ってない。足首を切り飛ばした時と違い、手加減を咥えているからすぐに死ねないのだろう。

女はドルヒに任せ、僕はエデルトルートの治療をすることにした。

大出血はとにかく圧迫して止めるしかないので、あり合わせの布を傷口に当てて押し付ける。表面からいくら押しても血がにじむだけなので、損傷した血管を塞ぐようにして布を押し付ける。体組織への異物の接触は止血を促進させる、というのが人体の弱点を知るカルトマヘンの能力で伝わってきた。

「頼む、エデルトルート、死なないでくれ……」

僕は自分の能力で他人の傷をいやせないことを呪いながらも、ただ手当を続けた。

「そういえば、よくも煙草で吾輩を焼いてくれたな」

 一方ドルヒは女のなぎなたの刃を発泡スチロールのように手でへし折ったあと刃同士を打ち合わせて火花を起こした。

 それを森に落ちている枯れ葉に着火する。杉の枯れ葉は油が多く着火しやすいのでドルヒはそれを選んだ。それから薪のような形をした枝に火を移し、松明のようにして女の顔に近づける。

「や、やめ……」

「吾輩がそう言って、お前らがやめてくれたことなど一度でもあったか」

 ドルヒはそう言いながらまず女の片目を焼いた。

 ドブネズミが車にひかれたような悲鳴を上げて、女のきつく閉じた瞼がまず焼かれ、それから眼球に熱が伝導する。

 女のレベルでもただの火で火傷するのは、負傷してSTRなどステータス低下を引き起こしているためだろうか。

 じっくりと眼窩の奥の骨までローストし、ドルヒは松明を離した。

 それから腕、脚と順々に焼いて行く。

「ぎゃあああ」

女の醜い悲鳴が美しい森にこだました。

火傷の傷が水膨れを通り越して炭化して真っ黒になり、さらに焼くと白くなった。

「そう簡単には殺さぬ。一部分だけ焼けば死なんからな。吾輩を苦しめた分と同じ苦しみを味わって死ね」

 体の表面積の四十パーセントを火傷すると生命が危ないとされているので、ドルヒは三十パーセント程度で手を止めた。

「貴様は吾輩が大切にしていた文房具、ノート、すべて捨てた」

「ゴミ箱に入れてあった残飯を無理に食べさせた」

「必死にやってきた休み中の宿題をすべて捨てられて、吾輩は忘れたということにさせられて内申点を下げさせられた」

「制服や体操服を目の前で焼いた」

「許さぬ、許さぬ、許さぬ」

 それからドルヒは女の顔を狂ったように殴りつけ、やがて今までで一番の経験値が入る。

「終わったな……」

 ドルヒは血に染まった手と、ドレスでどこか虚脱したように立っている。

 復讐を遂げた後は満足感と共にどこか気の抜けたような感じになる、僕も経験があるからよくわかる。


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