ダーク星人の侵略
「ワレワレに降伏せヨ、シロ星の民」
それは宇宙人という名に相応しいほどの容姿を持った宇宙人。細く背の高い、大きい穴のような真っ黒い二つの目。ステンレスでできているのではないかと思えるほど、ツルツルテカテカの肌。鼻も口も髪の毛もなく服も着ず、個性を見出せない同じ生命体が三体。枯れ果てた畑に降り立った巨大な黒い宇宙船から現れ、高らかにそう告げた。
しかしシロ星の住民は屈しなかった。
「お前達に負けはしない」
地球人と何ら変わらない姿であるシロ星の長老は言った。
「強がっていられるのも今のうちダ。この星はもうすぐ、暗闇に閉ざされるル」
宇宙人は黒い目を細める。声に抑揚がないので、笑っているのかは定かではない。
「例えこの星が黒に塗り替えられようとも、我らは諦めない!」
長老は白いひげを震えさせるほど声を張り上げる。その後ろで住民達も「おお!!」と勢いよく彼に同意した。
宇宙人はしばしの間、黙り込む。すると突然、ステンレスのような体を小刻みに痙攣させた。
「ハ、ハ、ハ、ハ、ハッ」
壊れた玩具のように三体の宇宙人は無機質に声を出す。シロ星の住民達は唖然としながらその様子を伺う。
「面白イ」
笑っていたらしい。
「では、こうしよウ。このシロ星がダークスモッグに全てを覆われるまで、時間をくれてやル」
ダークスモッグとは、その名の通り、黒い霧のようなものである。彼らステンレスの宇宙人が放ったダークスモッグは、ジワジワとシロ星を侵食しており、太陽の恩恵を受けられなくなっていた。作物が育たなくなってしまった今、このシロ星は生命の危機に直面しているのである。
「ワレワレが、シロ星をクロ星に変えるのが先か、お前達がワレワレを倒すのが先か、楽しみにしているル」
またも宇宙人はぶるぶると痙攣を繰り返す。
「ワレワレはダーク星のダーク星人。覚えておくがよイ……」
そう言って、ダーク星人三体は、真っ黒い宇宙船に戻っていった。
残されたシロ星の住民達は、初めて相対したダーク星人達への恐怖と怒りをあらわにし、口々に彼らを罵りながら長老へと視線が集まってゆく。
白いひげをたっぷりと蓄えた長老は、空へと飛び立った宇宙船を仰ぎ見た。
「まだ我らには、希望がある」
この絶望的な状況に一体どんな希望があるというのか。
「シロ星には、代々引き継がれてきた〈予言の書〉が存在することを皆も知っているだろう」
住民達はざわつく。そして失意の表情を浮かべていた彼らは何かを思い出したのか、見る見るうちに期待に満ちた表情へと変わる。
「そこに記されし、シロ星の希望……」
長老は住民達に向き直り、堂々と両腕を空へと掲げた。
「このシロ星は、きっと我らが救世主様が救って下さる!!」




