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太陽の光を宿す少年  作者: かぼす
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始まりの太陽

周りには沢山の草木が生い茂り、綺麗な川が流れている。

太陽の光を一番近くで感じられる程の場所にここ、ルーエ村はあった。

ルーエ村は人口約50人程とかなり小規模な村だ。


「父さん、水汲んできたよ」


そう言って川から汲んできた水が入った木製の水汲み入れを置く少年。髪は無造作にはねており、真っ赤な赤い色をしている。目も髪の毛の色と同様に赤い。


「お、早かったな。お疲れさんリヒト」


グツグツと毎晩飲むスープを作りながらそう言う無精髭を生やした男。

リヒトの父親で、名はムート・フレンリッチという。


「さあ出来た出来た。食うぞー」


出来たてのスープを運び、棚からパンを取り出し木製の食器に置いた。

2人は頂きます、と言いムシャムシャと食べ始めた。


「そういえばリヒト、今日…いや明日か、日の出の時間に継承の儀をやるからな」

「…分かったよ。でも父さんでも継承出来なかったのに、俺に出来るものなのかな…」

「父さん達『ゼーレ族』は先祖代々、太陽の光の力を継承しようとしてきた。だけど、リヒトの言う通り今まで父さんを含め誰も継承することは出来なかった…」

悩ましい顔をしながらそう語るムート。


ゼーレ族とは、太陽の光の力を継承する事が出来る唯一の一族達のことである。

しかし、継承できるのは15歳になってからだ。因みにリヒトは、昨日15歳の誕生日を迎えた。


太陽の光の力は絶大で、この世界に様々な恩恵をもたらしている。

動物や植物など、生きるもの全てに活力を与えてくれているのだ。


しかし、太陽の光がこれから先も無限であるかどうかは、この世界の人間達には分からない。


そこで、ゼーレ族が太陽の光の力を継承し、太陽に何かあった時に備えるという仕組みをとっていたのだか、ムートが言っていたように、今までにゼーレ族でさえ誰1人として継承する事ができなかったのだ。


「でも、今まで太陽に何もなかったってのが不幸中の幸いだよ」

「ハハハ!それもそうだけどな。よし!じゃあもう明日の日の出に備えて寝るぞ。…父さんはこれ食べ終わったら酒を飲むかな」

「明日起きれるのかよ…」


そうして2人は日の出の時間までの眠りについた。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「おーい父さん、起きて。……父さん!」

「ん〜?何だよまだ朝になってないじゃないか…」

「寝る前に話したばっかじゃないか!日の出の時間に継承の儀をやるって!」

「……ハッ!そうだったな…。すまんすまん」

「ったく…。酒なんか飲むからだよ」


とぼけたムートに呆れながらそう言うリヒト。


「イカタ山の山頂に行く途中で吐いたりしないでくれよ」


一応大丈夫だとは思うが、まだ酔いが少し残っている父は本当に吐いてしまうかもしれない。

そんな不安もあるが、日の出の儀を行うにはイカタ山と呼ばれるこの辺りで1番高い山の山頂に行く必要がある。


イカタ山の山頂では、太陽の光を1番近くで感じられ、人気もないので、昔からずっと日の出の儀を行う場所としてゼーレ族が訪れていた。


「吐かねぇ吐かねぇ。よし、何かまだ少し頭がクラクラしてる気がするが行くとするか…っと、その前に」


何かを思い出したようにムートは、寝床の横に置いてある綺麗で凛々しい女性の写った写真を手に取った。


「クレフティ、今からリヒトの継承の儀をやってくる。見ててくれよ。…リヒト、お前も何か言っておけ」


ムートにそう言われ、リヒトもクレフティという女性の写真を手に取る。


「…母さん、今から継承の儀をしてくるよ。今まで誰も継承出来なかったみたいだけど、やれるだけの事はやってくるよ。」


リヒトは、今思っていることを素直にその写真に伝えた。


クレフティ、ムートの妻でリヒトの母親にあたる女性は、リヒトが幼い頃に過労が原因で亡くなった。

幼い頃に母親を亡くしたリヒトは、殆ど母親の事を覚えていない。


「さて、今度こそ出発するぞ!」

「ああ、行こう!」


2人は気合いの入った声でそう言い、家を後にした。










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