名もなき道の果てで
僕は長い夜を越えてここに辿り着いた
決して1日や2日でここに来たんじゃない
僕はこれまでに夢の話は全部したよ
それでも僕に振り返ってくれる人など誰一人としていなかった
僕は理想は全て売り払ったし
やるべきことは全てやった
それでも僕の心の傷を拭おうとしてくれる人は誰一人としていなかった
こんな惨憺たる日々を一体誰が癒してくれると言うんだい?
今日も朝から電話は鳴りっぱなしでやまない
彼女が今日も僕に多くを期待しているらしい
僕だっていつもヒーローってわけにもいなかい
休みたい時は休みたいし
眠りたい時はぐっすり眠りたい
なのに彼女はいつも僕に完璧を求める
これ以上「世捨て人気質」の僕に何を求めるって言うんだい?
君はこんな未完成な僕に一体何を期待してるって言うんだい?
僕はあと1日、2日もすれば君の前からいなくなってしまうだろう
だから僕を自由にしておくれ
この名もなき道の果てで
僕は長い間地下室で暮らしてきた
決していつも陽の当たる場所にいたわけじゃない
僕はこれまでに学ぶべきことは全て学んだ
それでも人は言うんだ 君の人生ほど楽なものはないってね
僕は自分の少年性は全部売り払った
無から始めて無に帰った気分でもあるんだよ
それでも人は言うんだ 君の人生ほど容易いものはないってね
こんな悲劇性に満ちた人生を誰が癒してくれるって言うんだい?
今日も朝から携帯は彼女からのメールで一杯だ
彼女は今日も僕から愛の言葉を引き出したいらしい
前にも言ったよね
僕はいつもカッコいい男でなんていられないって
なのに君はいつも僕にクールでいて欲しいと求める
僕だって旅したい時は旅したいし
出掛けたい時はゆっくり出掛けたい
これ以上「厭世家気質」の僕に何を求めるって言うんだい?
君はこんな未熟な僕に一体何を期待してるって言うんだい?
僕はもうあと1、2時間もすれば君の前からいなくなってしまうだろう
だから僕を自由にしておくれ
この名もなき道の果てで
光が明滅していく
反響する音
蘇る記憶
思い出の空
思い出の海
思い出の太陽
思い出の月
波打ちめくるめく宇宙の鼓動を聴いて
お願いだから
僕を自由にしておくれ