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Christmas…orz

作者: ぺんぎん

作者自身の記憶と少々違う処もあるのですが、家族との思い出話と照らし合わせたら概ねこんな感じだったみたいです

現在のN県S市(※離島)


かつて(市町村合併の前)はR市といった…



私の実家は…市街地から遠く…路線バスも1日10往復程度という不便な場所にある…


幼い私は家から一番近いが…それでも約3キロ弱も離れた場所にある市立保育園に通園していた


朝は路線バスの停留所まで(今は亡き)祖父に送ってもらうと、保育園から迎えに来たマイクロバスに乗り込んでいた


あの頃はクリスマスの時期より前に雪が降り積もり、カマクラや雪ダルマが沢山作れた


現在は異常気象の影響で年末年始どころか2月でも雪が積もりにくい年もあるから…凄い違いだと思う


(閑話休題)


しかし元々狭かった県道は除雪された雪が道の両側に集められ壁と化していたため余計に狭くなっていた


マイクロバスはスリップしない様にコノ時期はゆっく走る


バスのタイヤに装着された滑り止めのタイヤチェーンが走る速度によって


シャラン…シャラン…


と音をたてていた…。



バスは途中で別の友達も乗せながら保育園に入っていった…



私は友達にまざって保育園の玄関から自分達が普段遊んでいる教室(?)へと走っていこうとして…廊下で滑り…暗転…


気が付いたら園内の別の部屋の小さなソファーで寝かされていた…


(額には濡れたタオルが当てられていた。)


ソファーから起き上がるとまずは小さな白い石油ストーブと上に置かれた薬缶が…目に入った


寝かされていた室内を見渡せば、狭いけどきれいに整理されていた


どうやらソコは普段は立ち入り禁止の園長室らしい


(よくお茶貰いに入り込んでいたから、すぐにわかった)



━━……?



部屋の片隅に不自然な位大きなダンボール箱が置いてあった…


ついつい…好奇心に負けてしまい…箱を開けた…



中身は長靴形のお菓子の詰め合せが沢山入っていた…


……しばらくすると当時保母をしていた幼なじみの母親が様子を見に来たので慌ててソファーに戻った…





お昼ご飯の時間


半給食の形をとっていたコノ保育園では親がお弁当箱に詰めるのは白いご飯だけで、お味噌汁やおかず等は園内の給食室で作られていた



全員で給食(?)を食べていると園長が園児全員に聞こえる様に言った…



「お昼寝の時間の前にみんなでサンタさんに会いに行きましょうね!」



もちろん皆で喜んだ…


…もちろんまだサンタクロースを信じていた私も含めて…


ご飯が終わって園長が皆を連れて行った先は…「お遊戯室」と呼ばれていた小さな体育館だった

(保育園児だった私にはとても広い場所に見えていたのだから、世界は更に未知に溢れ何処までも広く魅力的なモノだったのだろう)



「もうすぐサンタさんが来る音がするよ〜!」にこにこと笑う園長が皆に言った。



…シャラン…シャラン…



車のエンジン音に雑ざる聞き覚えのある音に私は首を傾げた様な気がする…


お遊戯室で普段は使われていない方の入口が開いた…

(そこは外に繋がっている戸だったのだ!)


戸を開けたのは赤と白のお決まりの服を着た白い髪と髭の人物だった…

そして彼は白くて大きな袋を手にお遊戯室に入って来た…

(今なら土足はイカンと思って注意するのだろうが……あの当時は何も思わなかったし誰も全く気にした様子は無かった)


…入って来た彼…サンタクロースから私達が貰ったプレゼントは…園長室でコッソリ見てしまった“赤い長靴に入ったお菓子”だった!


私は…内心複雑だった…


その後はお昼寝の時間だったが、サンタクロースの事が気になって眠れなかった私は…こっそり抜け出しお遊戯室を覗いてみた…


サンタクロースは帽子を脱ぎ白い髪(鬘)と髭を外すと…ため息を吐き……私と目があった!


「………………」

「………………」


トナカイのひくソリの音の正体は毎日通園に使っているマイクロバスであり、気になるサンタクロースの正体は…園長の息子だったのだ…!!



「仕事が休みだったから手伝わされただけだよ」

偽サンタクロースの言葉に…園児だった私の…小さなお伽話は壊れた…




※※※※※※※※※※※※




『保育園に来たサンタクロースが園長先生の息子さんだった!

それじゃぁ、毎年私の枕元にプレゼントを置いて行くのはサンタさんじゃないの?』


そんな疑問を心に抱いた私は、クリスマスの夜は寝ずにサンタクロースを待ってみようと思ってしまった!


大人たちが見るというドラマや映画が始まる時間…‥(恐らく9時を過ぎていたのだろう!)



お風呂も終わり炬燵で遊んでいた私は両親に子供用の寝室へ追いやられた。



部屋にある二段ベッドの上段にいた私はそれでも中々眠らず、下段にいた(4歳違いの)兄と別に敷いた布団にいる(2歳違いの)姉の睡眠妨害をしていた!



兄には「うるせぇから、とっとと寝ろ!」と怒られ、姉には「今夜はホントに早く寝た方が良いよぉ」といわれた私は、尚更あとには引けない…と睡魔と我慢比べをしていた!


真夜中…


兄も姉も何時の間にか眠ってしまい、暇をモテ余した私はノンビリ“あやとり”をする事にした


当時の私は今以上に“あやとり”の技が出来なかった

(今も大した技が出来るわけでは無いのだけど…)



1人遊びはつまらなくなり“あやとりの”の紐をベッドの柵に掛けると、のんびり天井をみあげる様になっていた


そのうち眠ってしまったのだが…、茶の間にある柱時計の鐘が長々と打たれる音が微かに聞こえ目が覚めた


本当の真夜中だった…



今なら電気が点けっぱなしだった為に眠りが浅かった…と考えられるのだろうが幼かった私に分かる筈もなく…


眠れなくなった私が再び天井を見上げていると、子供部屋(?)に足音が近付いてきた


私は「親が電気を消しに来たのだ」と思い、慌てて布団を被り目を閉じた


それは夜更かしをすると怒られた為、コレを誤魔化したくておこなった行為であり、私自身はサンタクロースの事などすっかり忘れていたのだが…


「また電気が点けっぱなしね」


母の小声で話す言葉が耳に届いた


「まぁ、電気を点けて目を覚まされるよりはマシじゃないか?」


父も小声で返す…



私には訳が分からなかった




だが2人が近付いて来て、何かをベッドの上に置いてから電気を消して出て行った事でサンタクロースの事を思い出した!



そっとそれに手を伸ばせば…リボン付きの包装紙の感触が伝わってきた…



「夢…、壊れただろ?」


「ヤッパリね…」


眠っていた筈の兄と姉の声が聞こえ、慌てて私はベッドの下を覗いた!



窓から射し込む外灯により完全な闇では無かった寝室で、兄も姉も笑いながら私の方を見上げていた



「李穏、何処にもサンタクロースなんていないんだぞ」

「プレゼントを買って来るのは“じいちゃん”だから、お礼なら“じいちゃん”に言ってね」




私は兄姉に頷くしか無かった…

教訓?


夢を壊されたくないなら子供は早く寝てしまいましょう!



世の中には知らない方が幸せな事もある…orz

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