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『改変された世界で、俺のスキルがチートだった件』  作者: ばずみかん
第一部:異変の始まりと『運』の覚醒
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第28話:孤独なる頂、信頼という名の灯火

学ぶはクラーケンロードとの激戦をシミュレーションしていく中で、ソロでの探索に対し限界を感じ始めていた。テレビのニュースでは、トップランカーたちがパーティを組み、チュートリアルタワー上層の攻略を開始し始めていることが報じられていた。「雷帝ゼウス」が率いる魔法特化パーティー、「剣聖ヤマト」と「鉄壁のドワーフ」が前衛を務める物理特化部隊、そして「黒魔女ヴィクトリア」が広範囲魔法で敵を殲滅する姿。彼らの多くは、お互いの弱点を補い合い、連携を強化することで、難攻不落の階層を突破しているようだった。


「やはり、パーティーか…」


学は、改めて単独行の限界を痛感する。どれだけ自身の能力が規格外であっても、たった一人で全ての局面に対応することには、自ずと限界がある。特に、MP消費という明確な「対価」を意識した今、その思いは一層強くなっていた。敵の猛攻をしのぎ、情報の空白を埋め、そして何より、精神的な負荷を分かち合うことのできる信頼できる仲間の必要性。それは、頭では理解しているが、学にとっては最も難しい課題だった。


彼、田中 学は、この新世界において極めて特異な存在だ。ユニークスキル『運』と『上限突破』、そして『因果固定』これらの力を駆使して攻略をしてきた。しかし、その異常な成長速度や、まるで「世界の法則」そのものに干渉しうるかのような『因果固定』の力は、彼にとって諸刃の剣でもあった。もしその真の能力が外部に知れ渡れば、研究対象として狙われたり、あるいは異界からの侵略者以上に危険な存在として排除されかねない。彼は「名無し」という仮面を被り、慎重に暗躍することで、その特異性を隠してきたのだ。


「どこまで、開示できる…?」


信頼できる仲間という言葉が脳裏をよぎるたび、その問いが学を苛む。全てを打ち明けることは、彼自身の、そして彼が守りたいと願う平凡な日常を生きる妹、明日香をも危険に晒すことになりかねない。妹の明日香も、この世界で力をつけ始めてはいるものの、まだ世界の真の脅威には気づいていない。


だからこそ、学はプニとの連携をさらに深化させることを模索し始めた。プニは、学の『召喚スライム』スキルで召喚され、『捕食・吸収進化』によって驚異的な成長を遂げてきた、学にとってかけがえのない「相棒」だ。プニは学の感情や意図を深く理解し、その成長は学の『因果固定』の影響を最も強く受けている。


「プニ、お前が、俺のもう一人の手だ」


学は、傍らにいたプニの柔らかい体をそっと撫でた。一人では補いきれない役割を、プニが担う。物理的な攻撃、状態異常への対応、索敵、そして敵の足止め。プニが持つ多様なスキル(『超音波発信ソニック・パルス』や『魔力感知(プニ版)』など) [を、より戦略的に、そして学の意図に沿って使いこなせるよう訓練する必要がある。それは、まるで二人で一つのパーティーであるかのように、擬似的な連携戦術を構築することに他ならない。


そして、この「擬似パーティー」としての完成度を高めるため、学は新たな思考へと至る。これまではドロップアイテムやガチャの排出率を上げるため、「運」に特化して『倍々サイコロ』を振ることが多かった。しかし、クラーケン・ロードのような強力なボス、そして東京湾岸で頻発する不穏な異変が示唆する「異界からの脅威」を前に、単純な「幸運」だけでは切り抜けられない場面が増えてくるだろう。


「運だけじゃない。直接的な戦力を高める方法も必要だ」


学の頭の中で、『倍々サイコロ』の新たな活用法が具体的に形を取り始める。例えば、戦闘中に「筋力」や「敏捷」を一時的に大幅に強化し、爆発的な攻撃力や回避能力を得る。あるいは、「魔力」をブーストして、プニの能力をさらに引き上げたり、自身の魔法系スキルの可能性を広げたりする。そうすることで、刻一刻と変化する戦場の状況に応じて、自身の最も必要なステータスを一時的に底上げし、突破口を開くことができるはずだ。


学の視線は、再び窓の外、不気味なほど静まり返った都市の闇に向けられた。この変貌した世界で、大切なものを守るため。彼は、自らの『運』と『因果』の力を駆使し、来るべき真の戦いに備え、さらなる力の最適解を求めて、静かに立ち上がるのだった。その視線の先には、未知の可能性を秘めた明日が待っている。


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