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『改変された世界で、俺のスキルがチートだった件』  作者: ばずみかん
第一部:異変の始まりと『運』の覚醒
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第20話:水底の迷宮、プニ覚醒の予兆

ガイア・ゴーレム撃破による大幅なレベルアップを果たし、自身の規格外の成長速度に改めて確信を得た田中学は、数日の休息を取った。自宅に戻り、シャワーを浴び、久しぶりに食べる自宅での食事は、ダンジョンでの張り詰めた緊張から解放された学の心をじんわりと癒した。しかし、安堵の時間は長くは続かない。妹の明日香が世界の変化にどう対応しているのか、トップランカーたちの動向はどうなっているのか、そして世界を変貌させた地球の神の真意は何なのか――考えるべきことは山積していた。


休息の間、学は自身のステータスボードを開き、自身のランキングを確認した。チュートリアルタワー5階層のフロアボスであるガイア・ゴーレムを単独で撃破したという事実は、ランキングにも大きく影響を与えていた。その順位は目覚ましい上昇を見せていたが、学は「名無し」の仮面を外すつもりはなかった。自身のユニークスキルの特異性が知られることによるリスクを考えれば、目立たないに越したことはない。


プニの進化の兆候についても、学は注意深く観察していた。ガイア・ゴーレム戦でのプニの活躍は目覚ましく、『捕食・吸収進化』の可能性を改めて実感させられた。特に、ガイア・ゴーレムの残骸を捕食したことで獲得した『重力操作(微)』スキルは、今後の攻略において重要な役割を果たすだろう。プニの体色に現れた青い斑点も、新たな進化を示唆しているように見えた。


次に目指すは、チュートリアルタワーの6階層だ。事前にインターネットで情報を集めた学は、6階層が広大な地下湖があり、強力な水棲モンスターが数多く生息していることを知っていた。陸上での戦闘を主としてきた学にとって、水中での戦闘は不利が予想される。しかし、ガチャで獲得した『エラのピアス』があれば、水中での呼吸も問題ない。


学は、ガイア・ゴーレム戦で得た『ゴーレムの魔石』や『大地の欠片』などのドロップ品を政府公認の買取所で換金し、ダンジョン攻略に必要なポーション類や、『シャドウダガー』のメンテナンス用品などを買い揃えた。そして、新たな階層への挑戦に向けて、準備を整えた。


万全の準備を終え、学は再びチュートリアルタワーの入り口に立った。数日前とは異なる、どこか湿った空気が肌にまとわりつく。6階層への転移門をくぐり、足を踏み入れると、目の前には想像していた以上の、見渡す限りの広大な地下湖が広がっていた。水面は静かで、どこからともなく不気味な水音が響いてくる。


「ここが…6階層か」


学の足元で、プニがプルプルと体を震わせている。プニの体色は、以前よりもさらに濃い青色へと変化しており、微弱ながら周囲の水の魔素に強く反応しているように見えた。学はプニの進化がこの地下湖でさらに加速するのではないか、という予感を抱いた。


湖に足を踏み入れる。水は冷たく、学の体を締め付けるような圧力を感じた。しかし、『エラのピアス』のおかげで、水中で呼吸ができることに安堵する。水中での移動は陸上よりも遥かに困難で、学は自身の敏捷性が思うように発揮できないことに歯がゆさを感じた。


しかし、そんな学を、プニが力強くサポートする。プニの体から放出される粘液が、水中での抵抗を軽減し、学の動きを滑らかにする。さらに、プニが第2階層で水棲モンスターを捕食する中で獲得していたスキル『放電(微)』が、水中を伝って周囲に広がり、水棲モンスターの動きを僅かに鈍らせる効果を発揮した。


学は『因果固定』を意識的に発動させた。水中での不利な状況を覆すため、都合の良い結果を引き寄せる必要がある。水棲モンスターの攻撃が紙一重で逸れる。水中を泳ぐモンスターが、学の攻撃範囲内に「偶然」現れる。自身の持つ『運』と『因果固定』の力が、水中戦という新たな局面でも学を助けてくれることを実感する。


探索を進める中で、学は水底に横たわる巨大な骸骨や、奇妙な光を放つ植物、そして見慣れない魚のようなモンスターと遭遇した。プニはそれらのモンスターを躊躇なく捕食していく。捕食するたびに、プニの体に新たな変化が現れる。体表に水の流れのような模様が浮かび上がったり、体がより透き通った青色になったりする。プニの『捕食・吸収進化』が、この地下湖で本格的に始まったのだ。


そして、プニが特定のコウモリ型モンスターや水棲モンスターを捕食した際、新たなスキルを獲得したことを示すメッセージが学のステータスボードに表示された。『超音波発信ソニック・パルス』高周波の音波を発し、敵の動きを阻害したり、地形を探ったりできるスキルだ。水中での視界が悪い状況で、この索敵スキルは大きなアドバンテージとなる。


さらに、学自身にも変化が現れていた。特定の種族、特にこの階層の水棲系モンスターを連続で討伐し続けたことで、学のステータスボードに新たなスキルが覚醒したことを示すメッセージが表示された。『水霊の加護(小)』水中での行動を補助し、水属性攻撃への微弱な耐性を付与するスキルだ。これは、単なるモンスター討伐数だけでなく、討伐対象の「種族」や「属性」といった要素もスキルの習得に影響していることを示唆していた。


この地下湖は、学とプニに新たな試練と、そして新たな力を与える場所だ。プニの進化の予兆と、学自身に目覚め始めたスキルが、この水底の迷宮を攻略する鍵となるだろう。学はプニと共に、水底へとさらに深く潜っていく。未知なる脅威と、さらなる進化が、彼らを待ち受けていた。


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【今回の獲得アイテム・スキル】

プニのスキル:『超音波発信ソニック・パルス

田中 学のスキル:『水霊の加護(小)』

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