第17話:変貌都市、冒険者たちの交差点
チュートリアルタワーの攻略が進むにつれ、世界は目まぐるしい変化を遂げていた。学が第4階層でプニと共に探索を続ける数週間の間に、都市には新たな活気が生まれ始めていた。政府公認のドロップアイテム買取所や冒険者支援センターだけでなく、冒険者ギルドの支部、武具店、ポーション工房などが次々と出現し、情報交換の場として賑わいを見せていた。
学は、攻略中に自身の「運」から得た、質の高い素材や装備品を、これらの場所で換金したり、売却したりしていた。彼の「運」によって市場に流れ込む希少なアイテムは、一部の商人たちの間で「幸運の運び手」と噂され始めていることを学はまだ知らない。
学は「名無し」として活動することを決めていたため、ギルドの受付や買取所の職員、他の冒険者たちとの交流は最小限に留めていた。しかし、彼らの会話やギルドの情報掲示板、インターネットの裏情報サイトなどを通して、世界の動向を注視し、有益な情報を収集していた。
この頃、学は自身のインベントリに空きが少ないことに気づき始めていた。戦闘で得たドロップ品や探索中に偶然見つけたアイテムで、インベントリはすぐに一杯になってしまう。
学は自宅に戻ると、『倍々サイコロ』を「運」に指定して発動させた。サイコロの出目は、今回も学の期待に応え「6」だった。「運:462」。桁違いの幸運が学の全身を駆け巡るような感覚に陥る。
この最高の状態で、学はステータスボードの「ガチャ」の項目を選択した。貯まったガチャコインを投入する。SEが頭の中に響き、アイテムアイコンが表示されていく。期待と緊張が入り混じる中、表示されたアイテムの中に、見慣れないスキルブックのアイコンが含まれていることに気づいた。
【スキルブック:『空間収納』】
説明文を『鑑定』スキルで確認する。
【備考:無限に近い収納容量を持つ空間を作り出すスキル。冒険に持っていく荷物の問題が一気に解決する。】
学は思わず息を呑んだ。まさに求めていたスキルだ。自身の「運」が引き寄せた奇跡に、学は改めてその力の規格外さを実感する。これで、ドロップ品を気にすることなく、より効率的にダンジョン探索ができるようになる。
スキルブックを使い、『空間収納』を習得した学は、インベントリの項目が「空間収納」という別の表示に変わっていることを確認した。試にアイテムを収納してみると、どれだけ入れても重量も体積も感じない。驚くべきスキルだった。
変貌した都市で、人々が新たな秩序を模索し、冒険者たちがそれぞれの目的のために奔走する中、「名無し」の学は、その並外れた「運」と「因果固定」の力を静かに、しかし確実に研ぎ澄ませていた。そして、その力は、彼にこの新世界を生き抜くための、そして世界の謎に立ち向かうための、新たな「鍵」を次々と授けていくのだった。
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