幼少編4
「ここは、基本の薬草ペイラム……おや、もうこんな時間か。今日はここまでにしておこうか。親御さんも心配するからね」
「え!もう少し!」
「ダメだよ。もう夕方になる。明日も薬草採取から頼むよ」
「わかりました。タリバさんありがとうございました」
「サーシャの護衛騎士様がちょうど来たよ」
「え?」
「サーシャ!帰りが遅いから迎えに来た!」
「カイル?何しに来たの?」
「迎えにだよ!もう夕方だぞ?」
「同じ村の中なんだから1人で帰れるわよ」
「おばばの家は村外れだからな」
「喧嘩してないで早く2人ともお帰り」
ポイッと投げ出されるようにタリバさんの家を出された。
たまに猫の子みたいに雑に扱われる。
カイルが来ると大抵そうだ。
まあ、私が遅くなったからなんだけど。
なんでか遅くなると迎えに来てくれる。
「ほら、帰るぞ」
「……そうだね」
ノートを抱え2人で歩き出す。
まもなく10歳になる。
私はタリバさんの所で修行して3年、まもなく4年目になる。
10歳になったら、魔法薬師の学校の試験が受けれるらしい。
タリバさんの所で5年は勉強しなきゃと思っていたのだが、素材の取り方、扱い方から始まったカリキュラムはずっと早く進み、既に一通りの所謂、公式の魔法式で一般的な魔法薬は作れるようになっていた。
そこまでしていれば学園には一先ず十分らしい。卒業までのカリキュラムが終了しているとの事。変わっていなければ。
今はより良いポーションの作り方、タリバオリジナルの作り方を教わっているが、これは本来学園を卒業してどこかに雇われてから師匠に教わって行くカリキュラムらしい。もしくはずっと師匠付きで勉強して、街の魔法薬師になるかのどちらか。
後者は資格は無いので他の街では売れなかったり、売れても安く買い叩かれたりするらしい。
効果はあってもお墨付きが無いとやはりダメなのだろう。
ブランドは大事。
勿論、街の魔法薬師が公的な魔法薬師になるための試験もあるけれど、王都での試験で年2回、それでいてとっても難しいらしい。街の魔法薬師に最新の内容は中々届かないからね。
学園でも魔法薬師になるための試験はあるけれど、勉強した内容での試験だから公的な試験より楽だと言われているらしい。
依怙贔屓と言うなかれ。その分ギッチリ詰め込まれるってタリバさんが言ってた。
だから街の魔法薬師も学校に行くための資金を仕事しながら貯めるんだって。ペイラム魔法薬師学園以外にも魔法薬師の学校はあるからそこに行く人が多いそうだ。だから年齢層はバラけているみたい。
ペイラム魔法薬師学園は魔法薬師の中の最高峰らしい。
私はタリバさんにお前は覚えが早いし、手が正確だからと、既に上級含め教わりかけている。10歳になるまでの手慰みだと言ってた。
だからペイラム魔法薬師学園で勉強してきなさいと言われた。お貴族様がいるから理不尽な目にも合うだろうが内容のレベルは高い。
お貴族様がいるからこそ年齢層も差程バラけてはいないそうだ。たまに年上がいることもあるけれど受験できるのもこの学園は15歳までと決まっている。
素材の扱いは誰にも負けないように教えてあるよと、いーひひっと魔女みたいに笑いながら言っていた。
だから10歳になったら環境が許せばすぐに試験を受けに行ってもいいらしい。
親の説得はもうすでに済ませてある。
だから10歳になって一番最初の試験を受けに行く。
あと少し!ちょっと怖いけれど楽しみ。
そして特別奨学金が取れますように!