1年生春26
遅れましたすみません
「サーシャ、このペイラムの状態は……」
「皆様と同じように前に取りに行った授業基材ですよ。あ、魔法式もちゃんと授業で習った物です」
「わかっている。が、これは酷いな……」
「現実ですよ。爵位を考えながら皆さんの素材を見てください」
「ああ、ミリアム先生がここまで酷い差別主義だったとは……」
「そんなもんですよ」
ぐるりと教室を見渡したノワールレント様が何故か悔しそうに呟く。
差別主義のお貴族様ってそんなもんじゃない?と、心の中で思う。タリバさんもそう言ってたし。
ノワールレント様は割といい人ぽいけれど。
あ、マリアもカルナもね!
二人で小声で話していると評価でミリアム先生が回ってきた。
「まあ!さすがはディライト侯爵家ですわね。素晴らしい出来上がりざます。それに比べて……ん?」
「先生、なぜサーシャの基材はこのような劣悪なんでしょうか?」
「劣悪な基材でまともなポーションはつくれない。従ってわざとこの平民が萎れた所を遺して素材は劣悪だったと思わせてるざます」
「用意した先生がそれを言いますか……」
キッとノワールレント様がミリアム先生を睨む。
いや、何故貴方が熱くなってるんでしょうか……?
「ふむ、平民の割には腕は良さそうですね。ならばわたくしの研究会に入れてあげるざます。下働きとして尽くすざます」
「下働き!?」
「お断りいたします。もう研究会には入っていますので」
「なんですって!?このわたくしの研究室を断ってまで!それにこの学園に平民をわざわざ入れる研究会があるというんざますか!」
「それより、先生、このポーションの評価をお願いいたします?」
「平民がこの貴族たるわたくしに逆らうなんて」
ミリアム先生はブルブル怒りに震えながら目は私を正確に捉え憎しみをぶつけてくる。怖っ!般若だよ般若。学校の先生が生徒にしていい顔じゃない。
先生案外化粧濃い?目尻のシワでよれてません?
「ミリアム女史、貴女はこの学園の精神をお忘れか?」
「レインハルト殿下」
「誰もが平等に学問をおさめるざますね。ですからこの様に本来なら貴族しか受けれない授業をタダで受けているざます。この娘は」
「優秀な成績だからね」
「だからこそ、きちんと貴族と平民の違いを叩き込むざます。平民は貴族に尽くすものざます」
「僕とは相容れない考えみたいだ。残念ですがお誘い頂いていた先生の研究会には入りません。見学にも行きませんので」
「なっ!」
レインハルト殿下は首を横に振ると悲しげな顔をする。
ミリアム先生は燃えるような憎しみの目で私を見る。はっきりいってなんかこれはとばっちり感!強いんですけど!?
「平民お前のポーションはFランク」
「先生、本気で言っていますか?」
レインハルト殿下の瞳が鋭くなる。
同時にざわりと教室が騒がしくなる。
え?さすがにこの出来のを最低ランクですか?
公私混同も甚だしいんですけど。
「サイモン、学園長を呼んで来てくれるか?」
「ああ」
レインハルト殿下の指示で取り巻き1かな?その人が教室を出ていった。
「殿下、殿下こそ公私混同ざます!」
「ミリアム女史、僕は貴女の研究室には伺いません。そして、その上で貴女の教師としての資質を学園長に問います」
「い、いくら殿下とはいえ横暴ざます!」
心無しかミリアム先生の顔色が悪くなっているような……気が……する。
なんかちょっと無の境地になってきたよ。
「大丈夫か?」
「大丈夫に見えます?」
ノワールレント様が小さく首を振る。そうですよ。私蛇に睨まれた蛙状態なんすよ。
早く学園長来ておくれ。
誰だっけサーモン君だっけ?頑張れー




