1年生春22
「ペイラムの好む育成地は知ってますよね?」
「えっと……水はけの良い陽だまりでしたっけ?」
私の質問にマリアが答える。
「そう、つまり学園の中にも生えている可能性があります!手分けして探しませんか?」
「庭師がいるから雑草と思われて抜かれてない?」
「逆に庭師さんに聞けばいいのでは?」
「確かに」
「では聞きに行ってみましょう」
なんで今まで職員の庭師さんに聞かなかったのか先輩達にさりげなく聞いてみたところ、思いもしなかったって。
確かに雑草みたいに生えてるから引っこ抜かれてる可能性も無きにしも非ず。ではあるものの……だねぇ。
みんなペイラムの生えてる所を見たことがないらしい。
まさかと思ったけど先生でさえも森の採取に出た時にしか見たことが無いとか。
私、ここの散策で見つけてるんですけど……まあ、今は言わない方がいいかな。
確かに表通りというか人がよく通る目立つ道は抜かれてる見たいだし。
どこに生えてるのかな?って楽しそうな声がするし。
庭師さん達は8塔の奥に仕事部屋があるらしい。私達の授業中に各担当の場所で作業をするんだとか。
「すみませーん」
「はいはい坊っちゃま方如何されましたかな?」
好々爺といった感じのお爺さんが答えてくれた。
ルールが分からないから交渉事は全て上級生に丸投げ。
どうやらやはりメイン道のものは抜いているけれど、脇道だとか、小道の条件の良さそうなペイラムは残していることがあるのだとか。
ただ誰も気づかないから伝える事はしていないんだとか。
昔昔にいた職員さんにそう言われてたからずっとそうしてるそうな。
もし生えていたらそのペイラムを抜いても問題ないか確認するとペイラムなら問題無いそうな。
ペイラムの畑は作らないのかをラングラー先輩が尋ねると、学園長に頼まれてもいないし、作ったことも無いとの事。
教授陣は基本的話しかけてもこない。
かつてペイラム畑があったことは知っているが、学生達の研究の一環で庭師さんでは管理はしていなかったそうな。
当時の教授にもそれでいいと言われたそうな。
なんだかどっかの村に引っ込んだ人が浮かんだけど気のせいだよね?
貴族って……とちょっと脱力しそうになったよ。
研究おバカさんばかりなのかもしれないけれど……枯れ始めた時に職員さんに手伝ってくださいとか、教えてくださいとか言えば結果は違ったかもなのにね。
確かに平民の庭師さんは魔法薬師では無いから畑は関係ないし、頼まれた事しか仕事にはしないよね。
下手にやってお貴族様のご不興を買っても仕方ないしね。
お貴族様怖いし。
分かるよ。同じ平民だもの。
「大変だ!学園内にペイラムが生えている!」
「それを収穫すれば!」
「いや、不確定の物より畑だ」
「サーシャ君、君はどう思う?」
「畑は作るべきかと。でもその前にペイラムが生えている所を調査、観察してください。特に土の状態。鑑定があれば是非見てみてください。畑をどんな状態にすればいいか確認しませんか?生えてるの見たことないんですよね?」
「そうだな……手分けして分布図を作ろうか」
ナイデアール先生が頷いて2手に別れて探す所からに。
1週間、とりあえず調べて来週の闇の日に報告会とする事にした。
私たちはお昼や放課後を利用してあちこちウロウロ。お陰でショートカットの小道なんかも発見したり。
2人は初めての薬草探しにあまり要領を得てなかったけれど、私のヒントを出すスタートから2、3日もすれば自分で見つけられるようになっていた。
マリアはガーデニングをしていただけあって、土の状態がどんな状態なのか鑑定せずとも何となく分かったみたいで、先にマリアの意見を出してから答え合わせの方式にした。
そんな風だからか必然的にクラスでは私たち3人は浮き気味だった。
もちろん、同じ派閥の子がいるみたいでマリアやカルナはそこそこ話す相手は居るけれど、私は皆無。
まあ、仕方ない。平民の子はあと1人居るけれど、この子は裕福な商人の子らしく上手くお貴族様と友達になっていた。
この1週間、チラッとノワールレント様から来る視線を素知らぬ振りをする。
少なくとも今はまだ関わりたくない。のが心情だった。オマケに王子が付いて来そうで。
まだまだ今週は授業も座学中心だから今しばらくほっといて欲しい。
王子来ちゃったらどう対応すればいいかわかんないし。
早くポーション作りたい!基本でいいのだ。お部屋で癒しの日に作っちゃおうかな。
数個でも質のいいのを時間をかけて。
そうだそうしよう!
いや、でもまだ我慢かな……来週の魔法薬の授業を受けてから……皆様の実力知りたいし。
何よりチラリと聞こえてきた教授の噂は貴族主義それも身分差別主義らしい。
下位貴族の方が嘆いていた。
そんなストレスが溜まる授業の後こそ発散だよね!




