1年生春19
「ここですね、畑。ご覧の通りの有様で」
「これは根付きは成功してるのですか?」
「いいえ、ここにはかつてペイラムとペイガムの畑、その他様々な薬草の叩けがあったそうです。管理されていた名誉教授がお辞めになり1つずつ枯れていったそうです。当時の記録を読んで研究しているのですが、ペイラムは根付かず植えても萎れてしまいます」
「えっと、もし、なんでしたっけ研究室の名前?」
「ナイデアール薬草学研究室です」
「そのないである、じゃない、ナイデアール薬草学研究室に入れば畑出来ますか?」
ないのかあるのか。ちょっとイライラしてしまった。ちょいちょい変な名前あるよね。この国。
王国の名前が一番変だけど。
「え?畑がしたいんですか?」
「正確には畑で育てた薬草でポーションが作りたいんですが」
「え?」
「畑で育てた薬草で魔法薬やポーションが作りたいんですが」
思わず真顔になる。薬草を作るだけ作って魔法薬やポーションにはまさかしないのかな?
「……畑……できるんです……か?」
「……あ、そこからか……あー出来ますよ?」
「師匠!!」
「え!?なんで!?」
「今、ペイラム畑はどこにも、王宮にも無いんです!その復活となると大騒ぎです!」
「先に確認!畑が出来たら魔法薬やポーションは作れますか?」
これ、一番大事!!
「作れます!いえ、先生になんと言われようと作ります!冒険者に頼らなくても自分達で完結できるんですよ!品質の悪いペイラムを高いお金出して買わなくて済むんです!作らなければ世界の損です!やりましょう師匠!」
「師匠は辞めてください。研究室見学します!」
「師匠!行きましょう!今すぐに!」
「師匠って呼ぶの辞めてくれなきゃ行きません」
「サーシャ!行こうさあ、今すぐに!」
「あ、2人は……」
「「行きます」」
「あ、そう」
何故か2人の瞳がキラキラしているよ?何故だろうか?
タルタム先輩にグイグイの手を引っ張られて第4棟へ戻ると上へ続く階段を登る。
「ナイデアール先生!救世主です!」
「うわっと!?なんだ!?」
ノックもせずにタルタム先輩は先生の部屋を開ける。
ナイデアール先生らしき人が座っていた椅子から落ちて尻もちをついている。
「なんだじゃないです!畑の救世主です!」
「畑?がどうかしたのか?」
「彼女畑作れるそうです!ペイラムの!」
「……は?え?なんだって!?すぐ扉を閉めろ!鍵をかけろ!『防音魔法』!」
「はい!」
研究室の扉が閉められる。




