1年生春18
掲示板を見ると所狭しと紙が貼られている。
色々あるけどやはり魔法薬研究室が多いかな。目星しいところをとりあえずチェック。
明日の授業初日から勧誘が始まるんだって。少し楽しみ。お貴族様だけだと思うけど。
「体力ポーション研究室です!見学可能です!」
「身体強化ポーション研究室です!」
「リンゼルフ魔法薬研究室です」
「ミ、ミリアム上級魔法薬研究室です……」
授業初日の今日は必須教科で終わるため全員参加しているからか授業が終わった瞬間から勧誘合戦だった。
特に王子やノワールレント様達の周りは激しい。
上位貴族を取り込むと格好がつくからかな?
その人達を横目に私はまた掲示板の前に行く。
誰も追ってこない。だよねー
無いかなー薬草研究室。
「あ、ここにいた。サーシャはどこに入るの?研究室」
「ん?あ、カルナ。私はね、薬草学がやりたいかなーって無いかな?と思って探しに来た」
「早いよ2人とも」
「あ、マリア」
「勧誘凄くない?」
「いや、気になるところチラシ貰っただけだよ」
「要領がいいのね……羨ましい。あら、サーシャは何をさがしているの?」
「薬草の研究してるとこ。2人はどこに入るの?」
「まだ迷ってます」
「魔法薬の研究室では、あるんだけど、殿下達の動向次第かな。出来れば避けたい」
「そうなのね」
「あのーすみません、その隙間に貼らせて貰っても?」
「あ、どうぞ。申し訳ありません」
掲示板から離れる。
確かに掲示板の片隅に小さめの紙1枚貼れるスペースがあったから。
「ありがとう」
眼鏡をかけた小麦の穂のような髪色で柔和な顔した男の人?が少し背伸びして貼り付ける。
《ナイデアール薬草学研究室 研究生募集中》
「先輩!薬草学の研究室の方ですか!?」
「うわっ!?」
「あ、ごめんなさい」
「いや、えっと、そうですよ。僕は薬草学を勉強してます」
「薬草を取りに行くんですか?」
「いえ、取り寄せた薬草の研究や栽培を……」
「薬草畑はありますか!?」
「え?あの、」
「ありますか!?」
「サーシャ、落ち着いて、先輩驚いちゃってるから」
「そうよ、どうしちゃったの?」
「あ、ごめんなさい、先輩。もし、薬草畑あるのでしたら見学させて下さい!」
「はあ、あの、畑はあるにはあるんですが……まあ見てもらった方が早いか。どうぞついてきてください。僕は4年生のヤンフリート・タルタムです」
「サーシャです!新1年生です!平民です!畑見せてください!あ、2人は大丈夫だよ。これは私のやりたいことだから」
「「ついて行きます」」
「あ、はい。こちらです」
タルタム先輩は見た目通りの穏やかな性格らしく、ゆったりと研究室の事を話してくれる。
どうやら相当人数が少ない研究室らしく、6年生、5年生に1人ずつしか先輩はいないらしい。
どちらも割とのんびりした性格なので庶民差別は無いですよとの事。
第4棟から外に抜けて少し歩くと開けた場所に出る。
おお!まだこっちには来たことなかったかも!それにいい感じに校舎から離れているので陽当たりも良さそう。
少し向こうには温室?だろうかこの世界の、そんな物が見える。
そして念願の畑!はいドーン!かなり広い!うん!作りがいありそう!
が、肝心な薬草は無い……というか萎れている。それも生えてるの数本。
いかにも実験に植えてます……的な?




