1年生春14
「なんだ?」
「よくも恥ずかしくなく出来るねぇ。こんな子どもを犯罪者の前に押し出すなんて」
「何を言っている?少しぶつかっただけだろう」
せせら笑うような嫌な感じ。
「マージ、わざとぶつかったな」
「坊ちゃん、こんな平民の言う事を信じるんですか?」
「マージ!口に気をつけよ!」
「隊長。チッわかりました」
「マージ、君は謹慎だ。沙汰は父上に今日の事は伝えてから追ってする」
「平民のガキが坊ちゃんの警護に邪魔な位置にいたんでぶつかっただけですぜ!」
「ノブレスオブリージュ。君も貴族の一員として恥ずかしくない行動を取りたまえ。平民と馬鹿にするなかれ。平民がいるから貴族として成り立つのだ。ましてや彼女は僕の学友だ」
「学友ったて、平民でしょう?死んだって大した……」
「マージ!君は首だ。少なくとも僕の護衛は外れて貰う。不愉快だ。サーシャ嬢、大丈夫だったかい?申し訳ない。僕の護衛が君に危害を加えた」
「いや、大丈夫ですよ?」
ノワールレント様がもの凄く鋭い声でマージとか言う嫌な護衛を黙らせる。さすが。
実際びっくりしただけで、特に怪我も無いし犯人2人とも捕まったし。
ただこのマージには二度と会いたくないかなってだけ。
それよりも穏やかだったノワールレント様がここまで鋭い声を出せるとは思わなかった。そっちに驚いた。
「本当にすまない」
「ノワールレント様が気になさる事ではありません。この人が何も無いところで転ぶよう祈っときますね」
「なんだと!クソガキ!」
「マージ!黙れ。お前は帰れ沙汰があるまで謹慎だ」
「隊長!!」
「差別は厳禁だ!その禁を破った!戻れ」
「チッ」
ギロっとマージって人に睨みつけられる。
去っていく後ろ姿にべーと舌を出す。
「サーシャ嬢……」
「あ、ごめんなさい。はしたないですよね」
「いや、その……」
笑いを堪えたような声をせずに笑ってください。まあ、出来ないか。紳士だもんね。
「こほん。マージには罰を与える。約束する。サーシャ嬢これに懲りず仲良くしてくれと嬉しい。護衛は、貴族はあんなのばかりじゃない」
「はい。他の護衛の皆さん、すぐあの人との間に入ってくれましたし。大丈夫ですよ」
そう、マージって人が追撃かけてくるかと思ったのだけど、すぐ他の人が私との間に入ってくれたので、睨まれただけで終わっている。
「サーシャ、詰所に行くよ。なんだか締まらない終わりになったが、ここで失礼するよ」
「タリバ大師匠、申し訳ありませんでした」
「ああ言うのを締めるのも上に立つ者の仕事だからな。しっかり勉強しな」
「タリバ師匠、また遊んでください」
「ありがとうございました」
ニコニコと手を振るライラ様と申し訳なさそうなノワールレント様に頭を下げていると背中を押されて、タリバさんに連れられて行く。
「マージみたいなのが多いよ」
「覚悟してます。あんまりお貴族様に近寄るつもりもありませんし」
「その方がいいな。あとはノワールがなんとか纏めあげるだろうそこからまともなのと交流すれば良い」
「それまでは畑できる所を大人しく探します」
なんて事を話してると詰所に着いた。
やっぱり案の定あの女の人は窃盗犯だった。
謝礼金を受け取る事になったよ。
やったね。マージ様々だね。二度と会いたく無いけど。
翌日作った口座には早々にお金が貯まったよ。
お金はあっても困らないはず!学園が落ち着いたら街の中を散策したいな!




