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幼少編2

 


 森の探索と言えばかっこいいが基本的に食料になる物を詰んでいくのが子どもの仕事だ。

 森の浅い所をカイルやカーナ、少し年上の村の子どもがあちこち動いてキノコや木の実を摘んでいく。

 森に入れるのは5歳から。足腰がある程度しっかりしないと道程がキツい。

 帰りには疲れた上にゲットした食料が増えているのだから。

 当然年傘のの子達が負担してくれるけど、5歳でもほんのちょっぴりは持たされる。

 これも森で生きていく訓練だからだ。

 私はプラス薬草。

 せっかく覚えたのだ、おばばの所にちゃんと採取して持っていくと買ってくれるのだ。

 これは他の子では出来ない私だけの特権。

 魔法薬師の弟子入りを懇願した時から少しずつ採取の仕方も教えてくれている。

 おばばはちゃんと採取された物しか買わない。

 適当だと鼻で笑われておしまいだ。

 年嵩の子は薬草自体は覚えているけど森の少し奥まった所で狩りをして怪我とかした時の応急処置として覚えているだけで正しい摘み取り方は知らないのだ。

 お小遣いになるのに……と私は思うけど、おばばは割と子どもには怖がられている。愛想も何も無いからだ。

 教えてくれとお願いするのも怖いのだろう。

 冒険者になりたいと願った人がたまに懇願して教えて貰うこともあるらしい。ほんとにたまに。そういう目端の利く人は長く冒険者をやって行けるんだよとおばばは言っていた。

 あとは単純に食べられないからみんなが覚えないだけ。

 ふふんと鼻歌交じりに色々な薬草を摘み取っていく。


「サーシャ食べられない物ばかり取ってどうするんだ?」

「これは薬になるの」

「げっ!薬」

「おばばの所に持って行くのよ。邪魔しないで、ほら、カーナが呼んでる」

「あ、ああ」


 なんだか名残惜しそうにこちらを振り返ってからカイルはカーナの下に駆けていく。

 カーナは少しこちらを睨むとカイルに抱き着いた。

 この歳から嫉妬とは恐れ入る。

 カイルをなんとも思って無いですよと何度言ってもカーナから見たらカイルが私に近づくだけでイライラするのかもしれない。

 カーナは村長の娘だから少しわがままなのだ。

 カイルは冒険者になりたいそうなので、カーナがカイルを手に入れられるかどうかはこの村にいる間にかかっているかもしれない。

 ちなみにカイルに冒険者になりたいなら薬草覚えたらと言ったら、魔獣を倒す冒険者になりたいのだと言い切っていた。

 駆け出しの冒険者の定番は薬草採取なのに。

 前世の小説のド定番だったよ。

 薬草を笑う者は薬草に泣けばいい!薬草を笑ってないけど、薬草を覚える気が無いんだから一緒よね?

 目端の利く冒険者にはなれないね!

 カーナと仲良くするのも一つの手かも。カーナは今のところ跡取り娘だ。

 カイルは顔はいいし、村の中では小さいのに強い。そして女の子に優しいのだ。

 なんだイケメン属性揃ってたのか。

 そういえばあんまり客観的に見てなかった。お姉さんびっくりしたよ!

 カーナの必死さに少しだけ同情した。

 ただし!嫉妬に巻き込むのはやめて頂きたい。

 迷惑でしかない。

 私たちまだ5歳です(真顔)

 いや、真顔になるよね!?


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