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サーシャは魔法薬師を目指す!  作者:
1年生春期編
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1年生春9

 



「そういえばライラのとこの薬草畑はどうなった?」

「それ!聞いてくださいよ!盗まれました!」

「は?」

「同じ場所にもう一度植えようとしたんですけど、枯れるんです。枯れちゃうんです!タリバ師匠とやった時はちゃんと育ったのに1人で思い出しながらやってみたら枯れてしまうんです!なんでですか!?オマケにここのところ、まともなペイラム入らないし」

「……まさかマリリンの所で買っているかい?」

「ええ、王宮御用達ですし、ただここのところ本当に質が悪くってもう変えたいので、今探してるんです」


 プクーと膨れた顔は少々幼い。


「リリアリスのとこに行きな」

「リリアリス……マリアハルト子爵の?」

「ああ、路地奥に店を構えてる。サーシャを行かせて薬草畑を作らせる」

「うちも!!畑を作ってサーシャちゃん!!」

「え!?いや、あの……」

「師匠私もやりたいです作業!」

「そうよね!ノワールもやりたいわよね!サーシャちゃんお願い!」


 またも両の手で私の手は包み込まれる……タリバさん助けて……抜けない。

 華奢な姿とは裏腹に力が強いのか私が子どもだからか。

 やりたいってノワールレント様……君、お貴族様でしょ?


「た、タリバさん……」

「……諦めろこれも生粋の魔法薬馬鹿だ」

「えーーでも、リリアリスさんのところでお受けしてしまってるので……それに学園でも植えれるかどうか探したいですし……」


 ちなみに私がしたいのは魔法薬、ポーション作りで畑仕事は別にやりたくない。自分の分以外は。


「マリアハルトの所が根付いたらでいいの。お休みの日だけでいいの!……日給5万ペーレ払うわ!」

「いっ!?」

「高すぎないかい?」

「だって!足でまとい2人の指導も込みなのよ!私もだけどノワールも絶対使えないわ!だって畑仕事なんてした事無いもの!」

「……その前に鍬とか鋤とか持ち上がりますか?」

「…………ど、どうかしら……」

「僕は剣術を習ってるので持ち上げられますよ」


 こくりと大丈夫と笑顔を浮かべて頷く。ノワールレント様……いや、あの……諦めるか……


「あ、そう言えばサーシャお前生活魔法は習ったかい?」

「へ?生活魔法?」

「そうか……10歳になると教会の神官に習えるのだが……連れて行き忘れたか。サーシャは長子だったな。弟妹は忘れないように両親に伝えておきな」

「あ、はい」

「今、覚えるか。あれは存外畑仕事に使える。ノワールレント殿見本を見せてやってくれるか?」

「僕でよろしければ。その、僕の事はノワールと呼び捨てて頂いて構いません。タリバ老師」

「ではそうさせて貰うよ。老師も座りが悪いな。年寄りになった気分だから通常通り大師匠で良い」

「ありがとうございます。サーシャさん生活魔法は曜日と同じ数だけあります。まずは火」


 そう言うとノワールレント様が『ファイア』と唱えた。1本指している指の先に小さな種火のような炎が宿る。


「その空いたカップお借りしますね。『ウォーター』」


 私の飲み干したカップに水が入る。

 飲めるのかな?心の中で『鑑定』と唱えると一応飲料可と出た。


「続いて『エアー』」


 そよりと風が動く。おでこにひんやりとした風。周りの葉は動いていないのでこれがエアーなのだろう。


「わかりやすいのは『ライト』」


 再び差し出された人差し指に小さな光が灯る。

 懐中電灯いらずだね。


「ここからが少し分かりにくいです。あの花壇見ててください。『アース』」


 ノワールレント様が指した花壇をよく見ると言葉と共にボコっと土が盛り上がる。え!?畑耕すの楽じゃない!?


「闇の日は『ナイトビジョン』」

「ん??」

「闇夜がほんの少し見えやすくなるようです。明るいところだと少し薄暗くなりますね。消します『キャンセル』」


 うっすら薄ら暗くなったのが消えた。森歩きに少し便利?あ、だから大人はちょこちょこ夜にも出てたのか外に。


「最後がヒーリングなのですが、これは小さな傷治すくらいですね。一応、指先を少し切りますね。『ヒーリング』このくらいの傷程度が限度です。基本的に適正があればヒールを唱えた方が早いですね。あとはポーション」

「そうなんですね。ありがとうございます。あの、私は平民なので丁寧に話して頂かなくても大丈夫ですよ?」

「でも大師匠のお弟子さんですので」

「お前達、ペイラムの同級生なんだよ?」

「あ!そうだ!3番の人!名前見た!思い出した!!あ!普通にしちゃった!ごめんなさい」

「3番?ああ、入学試験の順位か。同級生なんだから気にせず普通に話しませんか?いや、話そう。貴族ということも気にせずに。だって僕は畑仕事をサーシャ嬢に習うんだよ?先生が生徒に丁寧語もおかしいよ。という事にしないかい?」

「……ではこれだけ、特別奨学金譲って下さってありがとうございました!」

「いや、それは、侯爵家で使ったら顰蹙だからね。いや、この場合はどういたしまして。かな」


 ノワールレント様がにっこりと微笑んだ。綺麗だ。

 深く深呼吸しておずおずと声を出した。


「ノワールレント様、生活魔法はどうやって発動させるの?教えて欲しい」

「ポーション作る時に魔力を流すよね?その要領でさっきやった魔法をイメージしてそこに魔力を流すんだ。持続させるなら魔力を流しっぱなしに止める時は『キャンセル』か、魔力を流すのを止めると一定時間で止まる」

「なるほど」


 ノワールレント様はにっこり笑って教えてくれた。

 対応はこれで合ってたみたい。弟子関係って難しい。私もタリバさんを師匠って呼んだ方が……ってチラリとタリバさんを見たらギロッと睨まれた。これ、呼んだら怒られるやつ。




ちょっと長かった(´;ω;`)

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