1年生春7
次の朝、宿で朝食を取っていると光の小鳥が飛んできた。
「綺麗」
「手紙バードだね。これも学園で習うよ。まあ、お貴族様は既に出来ると思うけど、便利だから覚えな」
「家族に手紙送れる?」
「上達すれば返事を持ち帰る事も出来るさ」
「頑張ります」
そんな事を話しているとタリバさんは手紙を読み終えたようだ。
「今日の昼から行く店が決まったよ。弟子の弟子がお前さんと同じ今年入学だ。顔繋ぎしておくよ」
「え?めちゃくちゃライバルと会うんです?」
「ライバル。ふっ。お貴族様だよ。まあ悪いようにはならないんじゃないかい。特別奨励金使うレベルじゃないからね」
「わかりました。会います」
ライバルという言葉にタリバさんは笑う。確かにお貴族様はお金持ちが多い。大丈夫だよね?いや、そうじゃなくて、性格だよ。意地悪じゃないといいなぁ。
わざわざ紹介してくれるんだからそんな人じゃ無いと思うけど。
気が合わなかったらどうしようと思ってはいるが、タリバさんの好意だし、特別奨励金使わないならお友達になれるかもしれない。
その前に!よく考えたらお貴族様の序列を知らない。
「タリバさん、大変な事に気づきました。お貴族様にも序列ありますよね?午前中に教えてください」
「序列?」
「苗字ある人はお貴族様ってだけじゃなくて伯爵様とか公爵様とか色々あるんじゃなかったでしたっけ?確かうちの村はレインバート伯爵家の領地だった記憶です」
「あーそうか。村じゃ使わないからね。いいだろう午前中で特別講義しよう」
こうして部屋に戻ってタリバさんによるお貴族様講座が開かれた。
この国はソイラテ王国。
ソイラテ王家、公爵4家、侯爵6家、辺境伯4家、伯爵、子爵、男爵、準男爵(1代限り)が順番らしい。
そしてタリバさんのを聞いたらはぐらかされた。
あのへんちくりんなグラウディング店は男爵家、マリアハルト店は子爵家出身だそうだ。
それぞれ嫡子では無いので好き勝手して暮らしてるそうだ。
嫡子も家を継ぐまでは割と好きな事を仕事にしている人が多いらしい。
結構自由なんだね。
あと、ソイラテ王国なんだね。ソイラテ飲みたいよ。あるのかな?あったらなんて名前なんだろうか?
逸れたへんな思考を慌てて消しながら真面目に聞く。
「ま、こんな所かな。上位家位は名前覚えた方がいいかもだが、残念ながら私が忘れたんだよね。この後に会う弟子も貴族だから覚えているはずだから確認しよう」
「タリバさん……アバウトですね……」
「興味が無いんだ。どれも煩く言ってくるだけで」
「煩く……」
「さて、昼を食べてから待ち合わせのカフェに行けばちょうどいいだろう。この王国名物ソイラテを飲んでみるといい」
「え?まんま!?」
「?」
危うく吹くところだった。ソイラテ王国恐るべし。
それにしても会うのはお貴族様か……リリアリス様みたいな方だといいな。話しやすいし。
待ち合わせのカフェでランチを取りソイラテを頂きながらしばし待つ。
そして、ソイラテはソイラテだったのをここに記す。
ソイ手に入るのかな?




