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カイル目線幼少編3

 


 サーシャが帰って来た。

 受かったと聞いて「おめでとう」と堪らずに抱きしめた。

 サーシャの温もりと柔らかさと香りに涙が出そうになる。

 ああ、サーシャが好きだ。


「く、苦しいよ!」

「あ、ごめん、ごめん」

「ありがとう」


 緩めた腕の中でサーシャが照れくさそうに笑う。

 可愛い。

 勢いのまま採取を教えて欲しいとお願いする。

 了承はしてくれたものの疑問の顔だ。

 確かにそうだよな。

 俺は今までの非礼を詫びてヒースクリフからの手紙の事を伝えて約束を取り付ける。


「いいよ。明日朝ごはん食べたら迎えに来て」

「え?ここから一緒に?いいのか?」

「うん。だって私ここから出てくんだよ?今更なんでカーナを気にしなきゃいけないだろうってさっき思ったんだ」

「そっか。よろしく」


 サーシャの方もカーナの事は吹っ切ったらしい。

 俺ももうカーナの事は気にしない事にした。

 冒険者になってこの村を出ればカーナなんて関係ない。ヒースクリフからの手紙でそうハッキリと認識出来た。

 今まではどこか自分は村の一員だからと思っていたけれど、村を出れば村長の娘だからというだけの存在はどうでもいい。

 むしろカーナのところに弟が生まれているし、カーナが跡継ぎな訳ではなくなったから彼女が態度を改めなければ嫁の貰い手が居ないんじゃな……げふん。まあ、どうでもいい。

 俺はサーシャの弟と自分の弟にカーナだけは辞めとけと口酸っぱく言い聞かせてるからうちは問題無いだろう。

 いかにうっとおしいか教えてある。



 ✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼



 「それじゃ講義を始めるね。はいこれ、この森の薬草纏めたノート」

 「ありがとう!講義お願いします」

 「まずはこのペイラム。どこにでも生えてるけれど、本当は日当たり良く、水はけのいい所を好むの。だからそれ見つけれたら質のいい薬草だわ。もし大きく育っていたら地面から10cm残して切って大丈夫。日陰とかだったら10cmくらい成長してたら根元から抜いちゃってもいいわ。それ以上大きくならないしあんまりそこで生えてて欲しくない。そういう場合は根元に薬効溜まってること多いからそっと長く根っこ抜いてね」

 「雑草だと思ってた……日当たりと水はけ……なるほど良く森を観察してればわかるか」


 サーシャの講義はガンガン進む。

 わかりやすい。俺はメモを取りつつ、サーシャの採取の手元をしっかり見る。

 切り口が大事だから。保存方法もしっかりと萎れたら薬効が逃げてしまう物もあるらしい。

 いざ実践!最初はぎこちなかった手つきもいくつも触れば段々熟れてくる。

 ここで油断してはならない。そうサーシャは言っていた。一つ一つを丁寧にする事で素早く丁寧に採取できるようになるって。

 確かにそうだよな。質のいい薬草で丁寧に作られたポーションの方が効き目は良いに決まっている。

 サーシャが村を離れるまで毎日講義してもらう約束を取り付ける。

 途中何故かタリバさんに俺まで魔法袋を貰うというハプニングもあったが狩りも採取もしやすくなって万歳だ。

 サーシャには魔法袋がベルトから落ちないようにかっこよく工夫して貰った。

 周りからは道具袋ぶら下げているようにしか見えないだろう。

 タリバさんに俺の名前も覚えて貰ったし真面目に採取の勉強をしよう。

 冒険者になるための第一歩だ。

 サーシャのメモは無くさないように魔法袋の中に必ずしまっておこう。

 宝物なんて言ったらサーシャに取り上げられそうだから言わない。

 ほんの数日。サーシャを独り占めしたこの数日を俺は絶対に忘れない。

 やっぱりサーシャが好きなんだろうな。

 比較対象がカーナになるからまだイマイチ確信は無い。

 他の村の女の子はカーナに怯えて寄ってこないから。

 サーシャが再び村を離れる時に約束させた!必ず王都で一緒に冒険者登録して採取しようって!

 サーシャはきっと学業に夢中になって忘れてしまうだろうから手紙を送ってちゃんと俺を俺たちを思い出して貰おうと思う。

 時々でいいから。

 このまま離れ離れなんてならない!

 俺はサーシャの乗る馬車を見送りながらそう決めた。

 カーナはもう無視だ。しつこかったら村長に直談判だ。

 俺は採取もきちんとできる冒険者になる。心を新たに決めた。




これにてカイル目線はおしまい!

しばらくカイルは出てこないはず!

はずw


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