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カイル目線幼少編1

子どもカイルの目線です。

 


 俺が最初に覚えているのは急にサーシャが冷たくなったこと。

 遊びに誘っても、カーナが待ってるよと、カーナの方に行かされる。

 カーナのところに行っても、カーナがベタベタ引っ付いて来るだけで楽しくはない。

 最初はカーナも無邪気にくっついて来るのが可愛いと思っていた。

 だけど年々段々鬱陶しくなる。

 父さんや母さんにどうなのか?と聞かれたけど、顔だけならサーシャの方が可愛いし、性格も断然サーシャだ。

 それに俺はままごとだとかお人形遊びではなく、森の探索や剣の稽古をしたいのに邪魔してくるのだ。

 ベリー摘みだって奥に行こうとするのを邪魔をする。

 年上の子達がいるから危険は少ないのに、いつも邪魔をする。



「カイルは私のお婿さんになるんだからそんなことしなくていいの!」

「いやだ!」

「カイル、行っちゃダメ、私といるの!」


 毎回このパターンでほんとに嫌になる。

 隙をついてさっと奥に入るとカーナはそれ以上来なくなるので、やっと安心して他の子達と話しをする。

 サーシャだってカーナが見えなくなる頃には普通に話しをしてくれる。



 ある日気付いた。

 サーシャの魔力が少し増えていることに。

 俺たちは成長期というやつだ。

 だけど魔力量はそんなに増えていかない。

 なのにサーシャは分かるくらい増えている。

 だから森の奥に行った時に思い切って聞いた。

 時々来る冒険者のお兄さん達は魔力もあると便利だと言っていたからな。

 最初ははぐらかしていたけれど、ちょっとしつこくお願いしまくってたら根負けして、寝る前に魔力をギリギリまで使う事を教えてくれた!

 魔力……魔力をまず使うのが難しいから要練習だ!動かすコツを聞いたらまずは体の中を巡らせるようにしたら?って教えてくれた。

 サーシャはもうぐるぐる回せるんだって!

 今は指先だとか細かいとこにも巡らせたり、回す速度を変えたり。細かったり太かったり色々やってるって。

 早くそんな事を気にするようになりたいところだ!

 それから毎晩頑張った!

 何度か魔力切れして死ぬかと思った。

 サーシャの言っていたギリギリがこういうことかと学んだ。ほんとに。

 俺はあんまり魔力量は多くなさそうなので地味な訓練が必要なんだなと悟った。冒険者のベテランのおっちゃんが言っていた。剣の稽古は地味に真面目にやるもんだって。近戦だけじゃなくて中距離攻撃が使えた方が手数が増えていいとも。だから最近は弓も特訓に加えて、魔法もあったらかっこいいし、生活魔法は使えた方が冒険には役立つらしい。

 それには魔力が必要なんだと言っていた。サーシャのこれも魔力量を上げる為に毎日やる必要があるんだろうと思う。

 ちなみに俺の魔力がスムーズに身体を数回転できるようになった頃、ヒースクリフに聞かれた。魔力量増えてないかって。やっぱり森の奥で。

 ヒースクリフもカーナにまとわりつかれて散々な目に遭ってる仲間だから、サーシャに聞けって教えた。

 俺じゃ上手く説明出来なかったから。

 それにヒースクリフは冒険者でも魔道士志望なんだそうだ。


「なあ、ヒースクリフ、もし良かったらだけど冒険者になったら一緒にやらないか?」

「ん?何故?」

「んー俺さ、サーシャの手伝い出来たらなって。ソロでも強くなるつもりだけど、サーシャの事知ってる仲間がいたら心強いなって思って」

「サーシャ?あの子は魔法薬師になるんだろう?冒険者関係なくないか?」

「サーシャ、自分で採取しに行くと思うんだ。冒険者の採取は処理が甘いらしいのよってこないだ言ってた。それに色んな国を回って色んな魔法薬見たいし覚えたいって」

「カイルはサーシャの事が好きなのか?」

「んーかもな。わかんない。多分好き。比較対象がカーナだから自信ないけど。カーナに比べたら誰でも好きって言っちゃいそうだから。ただ、俺も冒険者になって色んなとこ回りたいから。サーシャとなら楽しいかなって」

「比較対象がカーナ……そりゃ好きになるか……ハハハ」


 ヒースクリフもカーナを思い出したのか乾いた笑いを浮かべてる。目が死んでるよ。俺もだと思うけど。

 好きとか愛だとかなんとか最近女の子達がよく言っているけれどよく分からない。

 そんな事できゃあきゃあ言ってる子よりもオババのところに通うサーシャの方が一緒にいると楽しい。

 何故かオババは夕方まで戻ってこないサーシャを迎えに行くと、俺の事を騎士様って言うけれど、俺は冒険者志望なんだが……サーシャも言い返してたけど最近諦めたようだ。

 そのサーシャも村の中で相変わらず冷たいけれど、夕方薄暗くなってからのオババの家への迎えには大人しく一緒に帰ってくれるようになった。

 オババの家は森の入口近くだから夕方は万が一があると危ない。

 ヒースクリフとはカーナがめんどくさいのは一致した意見だがお互い村の中では口に出したりはしない。

 そんな事に時間割いてる暇は無いのだ。

 聞かれでもしたらめんどくさい事になりそうだし。

 俺は何度かカーナがサーシャに文句言ってるところにかち合って割って入った事はあるけれど。

 本当にカーナがめんどくさい。

 他の子好きになってくれればいいのにヒースクリフと俺のところだけ来る。

 カーナの事好きな男もほんの数人いるんだからそっちに行けばいいのに。


「いいぞ。僕のが先に冒険者になるから誰かと組まなかったらになるけれど。少なくともカイルが冒険者になった最初の1ヶ月くらいは先輩として勉強したことを教えてやるよ。カイルも剣の稽古と冒険者の勉強頑張れよ。というか僕が出てくまでの間、一緒に修行するか?」

「いいのか!?」

「2人ならもう少し森の奥にも行けるだろう?なんせ……カーナがな……」

「ああ……あれは本当に……」

「じゃあ意見一致。明日の午後からな。午前中はサーシャに採取の仕方や魔力のこと聞く時間に当てるから」

「採取?」

「さっき自分で言ったろ、冒険者は採取の仕方が甘いって。きちんと出来たなら指名依頼とか入るかもしれないだろ?低級のうちはそんな事も大きな実績になるかもしれないからね」

「そんなもんかなぁ……俺はいいや。剣の素振りする」

「それはそれで必要な事だからな。遠い将来の事は分からないけれど最初は一緒に冒険者をやろう。約束だ」

「約束!」


 ヒースクリフが小指を差し出してきたので結んで約束する。

 2年ほどヒースクリフの方が早く冒険者になるのだからもしかしたらどんどん進んでD級とかになっているかもしれない。

 負けないように修行しよう。

 俺も魔法の使い方しりたいからヒースクリフにも教えて貰おう。

 代わりに剣の扱い方を教えよう。

 後衛も少しは出来ないとってベテランのおっちゃん言ってたからな。

 森の奥に行けるのは大きい。

 カーナが来ないからな。




今しばらくお付き合いください

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