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幼少編12

 



「おはようございます!サーシャいます?」

「あらカイル、ちょっと待ってね」

「準備出来てるよ。おはよう」

「おはよう。今日はよろしくな」

「母さん、採取行ってくるね。お昼には戻るから」

「気をつけてね」

「「行ってきます」」


 二人で歩いて森へ向かう。

 田舎のいい所は30分も歩けば森の中で良い薬草とかが生えているのだ。

 ちなみにタリバさんのお家はこの森から少し村よりなだけでほんとにポツンと建っている。

 カイルがタリバさんの所に迎えに来てくれて、夕方一通りが少なくなってから何度も歩いた事はあるけれど、二人で村の中を堂々と歩くのなんてどのくらいぶりか。

 風が頬を撫でる王都に比べるとまだこっちは寒い。


「寒くないか?」

「大丈夫だよ。いつもの事」

「……そう言えばそうか」

「うん」


 そう。私は毎朝くらいうちにタリバさんのお家に行って薬草畑の手入れをし、明るくなったら森の比較的安全な所の薬草を採取し、それを使って講義を受けていたのだ。


「それじゃ講義を始めるね。はいこれ、この森の薬草纏めたノート」

「ありがとう!お願いします」

「まずはこのペイラム。どこにでも生えてるけれど、本当は日当たり良く、水はけのいい所を好むの。だからそれ見つけられたら質のいい薬草だわ。もし大きく育っていたら地面から10cm残して切って大丈夫。日陰とかだったら10cmくらい成長してたら根元から抜いちゃってもいいわ。それ以上大きくならないしあんまりそこで生えてて欲しくない。そういう場合は根元に薬効溜まってること多いからそっと長く根っこ抜いてね」

「雑草だと思ってた……日当たりと水はけ……なるほど良く森を観察してればわかるか」

「そう。観察してればより良いのが取れるわ。この薬草はほとんどのポーションの基材だから常設依頼としてあるだろうし、質の良いの求めてる人なら指名依頼もあるかもね。タリバさんが言ってた」

「なるほど。安定収入になるのか」

「うん。次はねペイガム。ペイラムの上級種。日当たりの良い水はけのいい場所見つけたら一緒に探すといいわ。高く売れる」

「高く……」

「お金はあるに越したことはないはず。とり方は同じ。他の人には内緒にした方がいいし、取りすぎると枯れちゃうから気をつけてね。ペイラムに比べると成長は少し遅いかな、この茎の赤い筋が特徴。他は変わりが無いかな」

「赤い筋……と」


 特徴ととり方を自分であげたノートにメモで書き加えているようだ。

 気づいてくれて嬉しい。

 ちなみに学園の名前のペイラムはこの基礎の基礎の薬草から。どこにでも生えている生命力の強い基材由来なんだって。


「それから毒消しに使えるポランはこっち。麻痺消しにも良く使われてるヒーネも近くに生えてる事が多いよ」

「どっちも雑草だと思ってた」

「割と何でもなんかに効くよ。毒草な事もあるけど」

「毒草……」

「知らないって怖いよね」

「おう……今、覚える」

「毒草も採取依頼はあるとおもう。これも取り方教えるね。このギルギアは毒は葉っぱにあるから、手袋をして、茎を掴んで切り落とす。こっちのギルギレは根っこにあるからそっと摘んで抜く。保存袋に入れる。やってみて」

「わかった」


 カイルは手袋を嵌めた覚束無い手でまずはペイラムをナイフで切り落とすと保存袋へ。


「あ、各薬草が10束以上になりそうならそれぞれ5束とかでまとめてあった方がいいかも。タリバさんも数えやすいし」

「了解」


 ここは陽だまりで気持ちいい採取場所だ。

 沢山の薬草が生えている。

 村のみんなはあんまり採取をしないから良く成長している。

 この数年は私が採取してるから割と背が低い。

 カイルも出てったらまた良く伸びるんだろうな。

 不思議な事にある一定からは伸びない。

 きっと心地よい長さを薬草自体が把握してるのだと思う。


「日陰のはこんな感じでいいか?」

「うん!」

「次はえっと……」


 言われた通りに慎重に薬草、毒草を採取する。

 その手つきは覚束無いけれど毎朝繰り返すうちに、慎重にきちんと出来るようになっていく。

 もちろんスパルタだからどんどん新しい薬草を教えていく。それはとても楽しかった。

 取った薬草はタリバさんに持って行って見てもらった。

 交換に渡ったのはお金。

 ちゃんとカイルは認められたのだ。

「これから採ったら持ってきな。ちゃんとしてたら買取するよ」

 その一言で扉はバタンと閉められたけれど。





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