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第一章 第八話 『逃走』

「くらくなってきたにゃ〜」

 前回仲間になった猫耳年増少女が何か言っているまったく独り言かよ。年取るのは嫌だね〜。

「何か言ったかにゃ?」

「いえいえ、何もありませんよ? 私はただ考え事をしていただけで」

「そうなのかにゃ? ならすまないにゃ」

 へーへー心の中での悪口ってどうして察知されやすいのかが不思議だ。これが女の勘というものか。

「しかし本当に暗くなっているな……コウイチ火魔法頼む」

「エリエンヌさんーどうやって魔法使うのですか?」

「「………………………」」

 見ないで! 俺を『なんでそんなことも知らないんだ?』みたいな視線で見ないで!

「仕方ない……私が光魔法で代用する。――出でよホーリースフィア!」

 そう唱えるとエリエンヌさんの手から光の珠が現れて空中に漂い、光を放っている。青白い光が神秘的な雰囲気をかもし出している。しかし明かりが若干心許無い。なるほどだから火の魔法での明かりの方がいいのか。

「これ以上強くすると戦うときに魔力が足りなくなるからこれで我慢してくれ」

 そういうと有無を言わさずスタスタと歩いていく。俺とネコ娘はその後ろについていく。文句は無いので口答えもしない。気のせいかもしれないが足元がやけに冷たい。まるで足元に霧があるような錯覚がある。

「エリエンヌさんはとっても頼りになるにゃー。どっかの誰かさんとは違って!」

「……俺のこの指が真っ赤に光る!! お前を倒せと轟き叫ぶ!! 必殺! シャーイ〇ングゥゥ!! フィンガァァアアアア!!! (デコピン)」

「ふにゃ!よくもやったにゃ!! にゃぁぁあああ痛い痛いにゃあ!!」

 俺の必殺シャイニ〇グフィンガー(デコピン)は相手のデコを破壊する力を(もっていないけど)もっている。

「うわぁぁん! エリエンヌさぁーん。ひぐっ。あいつが虐めるよー」

「あはは! 敵将うちやぶったりー」

 シャン……

 俺の前髪が少し切れた。

「弱いもの虐めは駄目だ。可哀想だろ」

 俺はエリエンヌさんがいるときはネコ娘を虐めないように決めました。

「それはさておきさすがに寒くなってきたな」

「俺の服を貸しましょうか」

「あ、いやいい。このぐらいで風邪をひかないからな。私の母国は雪国だったから問題ない」

「そうなんですかー」

 この流れは何気にまずい気がします。こういう流れは親が死んだりとかしている確立がある。無闇に聞かないでおこ――――

「にゃ! ご両親はお元気ですかにゃ?」

 おいぃぃいい!! 空気読めよ!!

「ふふ、あんまり言いたくないが……まぁいいか。私の家族は死んでしまった」

「そ、そうなのかにゃ……ごめんにゃ……」

「いや、気にしないでくれ。私ももう慣れたからな」

「エリエンヌさん……」

「さぁ行こうか。もう少しで最深部だろう」

 そういうとマントを翻し少し早足で先に進んでしまった。俺とネコ娘はあわててあとを追いかける。

 腐っている臭いが濃くなっているのを実感した。この先になにかあるのだろう。

「まて」

 手を俺の前におく、俺は素直に止まることにした。

 エリエンヌさんは光の珠を消した。

「どうして消したのですか?」

「もし新しい魔物の反応が魔法反応型もしくは光に反応するタイプならどうする。後ろから不意打ちがくるかもしれない。だから安全策としてこうした」

「なるほどーためになります」

「けどー目が見えないから敵の居場所が分からなくなるから聴覚型には気をつけないといけないにゃー」

 ネコ娘も補足してくれる。なるほど、新しい魔物ならデータ不足だから不意打ち対策にか。

「さて行くぞ」

 ゆっくりと前へと進む。音とお互いの喋り声がなくなったせいか足音がやけに響く。

 ゆっくりとゆっくりと足音がなる。不意にエリエンヌさんが顔を歪ませる。

 やけに腐敗した臭いが鼻にくる。吐き気が込み上げるほどではないがこの臭いの中に二時間もいれば発狂してしまいそうだ。

「この臭いはなんだろうね。エリエンヌさん」

「さぁ……」

「この臭いは……逃げよう! 一刻も早く!!」

「どうしたんだ?」

 向かい側から足音が聞こえる。嬉しいのかスキップのような軽やかな足音が聞こえる

「アラアラ、お客様ですかぁ〜? ようこそ! 我がラボへ!」

 そういうと学者風の男は指をパチンとならす。急に周りが明るくなる。この場所を照らしたのだ。

「どうですか〜このゴミたちは? 生きた姿は汚らわしいけど死んで腐敗してると美しいでしょ?」

 この腐敗の臭いの原因がわかった。それは……


 死んだ人間の腐敗した臭いだったのだ――


「う、うわぁぁああああ!!」

「あ、あ……」

 俺とエリエンヌさんは腰が抜けそうになっていた。そこには人間には見えない腐った肉、肉、肉、肉、肉。

 それが周りに散乱している。内臓も飛び出しており健康的な赤い色ではなくカビが生えておりそして黒や茶色になっている。

 ひとつひとつがまるで遊び終えた人形のように無造作に置かれている。もう意識がもたないぐらいに臭い。二時間もいなくても発狂してしまいそうになる腐敗した肉たち。

「い、いやぁぁあああ!! もう……やめて……やめて……」

 エリエンヌさんは泣きながら懇願する。もう見せないでという事だろう。

「ん? そこの娘はわからないのかい? この芸術が? まったくいいじゃないか……人間はあるていど運命が決まっている。その決められた運命の終結には等しく死がある。その命の最後の輝きを見ているのが好きなんだ。その死をみるために人間を集めてじっくりと槍をさしていきその人間たちの断末魔を聞きながら茶を飲むのもいいものなんだ。まぁ、それにも飽きてきて死体をそこらへんに捨てたら……なんと! 新しい芸術があるじゃないか! この自然と一体になる姿もいいだろう? ひとつのことでもあ――――」

「いいかげんにしろ!!」

 恍惚の表情をして人の死を芸術とか言うコイツには我慢できなかった。テンションはハイになっていた。臭いなんか気にしている場合ではない。

「なんだ? まったく……まぁいいボクの崇高な趣味は誰にも理解できないからね。まぁ遊ぼうよ。鬼はボクで君達は逃げるんだ。何分もつかな? 前の人は5分だったからさー。楽しみだよ。さぁ! 行くよ」

 そういうと魔法を詠唱し始めた。あいつは、遊びという名前の殺戮をしようとしている。俺は大丈夫だがエリエンヌさんは震えて動けなさそうだ。

 ネコ娘を探すがいない。逃げたのか、素早いと思う。なら俺のやることはまず一つ。エリエンヌさんを別の部屋に移動する事だ。

「――我の血を糧とし赤き楔をかのものに打ち込め――、ブラッドチェイン!」

 男は魔法を唱える紅い鎖を放つ。狙いはやはりエリエンヌさんだ。俺はエリエンヌさんを抱えて避ける。しかし反応が遅かったためか腕に掠ってしまった。

 その瞬間腕が重くなる。なるほど詠唱の通り相手を拘束するものか。しかし掠っただけなので俺をそのままエリエンヌさんを抱えながら移動する。鎧をつけてるため重いだろうが今はテンションがハイになっているためかあまり重さを感じない。

「ん? あ、重くないか?――ってなにお姫様だっこしているんだ!」

「まずは逃げましょう! 不利です!」

「ああ、わかったから! もう歩けるから下ろしてくれ。恥ずかしい。」

「あ、はい」

 俺とエリエンヌさんは逃げる。しかし相手の場所がわからないし下手に動くと危険な気がする。

「エリエンヌさんどうします?」

「相手は外にでると思っているだろう。そこをつく」

「なるほどもっと奥に進むのですか。けどそれじゃ一生ラチが……」

「いや5分あれば援軍を呼べる。しかし集中力がかなり必要なためどうしても詠唱できる場所も探す必要がある」

「なるほど!」

 俺とエリエンヌさんは安全な場所を探すため奥に進むことにした。

「ネコ娘はどうした?」

「逃げました……」

「ならよかった。民間人に属しているであろう彼女を巻き込むわけにはいかない」

「まぁそうですね」

 あまり気にしていないらしい。というかこう考えれるエリエンヌさんはたくましく思えた。けれども女性なんだ。俺が守らないと。

「さて、進みましょう」

「だな。しかし……あの男はなんなのだ?」

「わかりません。でも、敵であることは確かですね」

 ふと床に穴があった。不自然な気もするが……どうするか。

「穴か……」

 考えていたらエリエンヌさんが近寄り同じ穴をみていった。

「どうします?」

「いくしかないな」

「ええ、わかりました。俺が降りて大丈夫だったらハンマーを召喚しますのでそのときに降りてください」

 俺は穴におちる。意外に短くこの先に道もあるようだそしてその先にまた穴がある。大丈夫だろう。俺はハンマーを召喚する。それにあわせてエリエンヌさんも降りる。俺はハンマーをしまう

「この先も穴がありますのでもう一回いきますね」

「ああ」

 そしてまた降りる。しかし今回は長かったこのまま加速しまうとケガしてしまうのでハンマーを召喚する。それにあわせてエリエンヌさんも――って!!

「すいません! エリエンヌさん」

 俺は一言謝り肩にエリエンヌさんを乗せるようにする。そして俺の肩に乗る。一言で言うと肩車だ。

 少しずつ降りていく。エリエンヌさんは恥ずかしそうに頬を赤らめているが気にしない。



 降りた先は広い空間だった。

 機械がたくさんあり、大きな泉に管をいれて何かを吸い取っている。

「何だ? この鉄の塊は?」

 俺は近寄り機械を動かす。操作法がわかるからどうやら俺の国とおんなじタイプなのだろう。

「ん? なぜわかるんだ?」

「俺の元の世界と似ている機械があるんだ。だからある程度はわかる」

「き、機械? なんだそれは?」

「んーあとででお願い。今調べるから」

「あ、ああ。わかった。」

 カタカタカタ

 俺がキーボードを打つ音しか聞こえない。案外ブロックが弱く簡単にハッキング(?)できた。さすがにあの学者もこっちの世界では機械なんてないから別にブロックをかけなくても支障がなかったのだろう。

 俺はとある日記を発見した。それを読み始める。その文章には悲しき男の実験記録や日々が書かれていた。



―――――――――――――――――


「ファニアスのー!! 解説コーナー!! 今回はシリエルちゃんを連れてきたよー」

「どうもー」

「今回は魔物の反応についてだよー」

「まったく、まずは大体の種類を分けましょうかしら。まず大雑把に反応するものを分けると音、光、魔法代表的ね。ここから、魔法反応は身体能力の増強に気がつきやすいのや魔法の詠唱のときにできる魔力の香りに反応するわよ。

 音は基本的には眼が見えない魔物が鋭いわ。蛇なんて良い例かもしれないわね。光は昆虫タイプや幽霊タイプなどを惹きつけやすいので注意です」

「シリエルちゃんはそういう魔物に襲われたらどうするの?」

「私は……そうね……魔法反応型じゃなければ不可視の魔法を使うわ。魔法反応型の場合は普通に逃げるわ。魔法を使うと逆に不利になるもの。なるべく用意しておくアイテムは煙幕だわ。持っておいて損はしないからね」

「ほーほーなるほどーシリエルちゃんらしいねー」

「ならあなたはどうするの?」

「えーほら! 私って外にでない箱入り娘てきな存在だから気にする必要性もないかなーと……」

「やれやれ」


誤字脱字は気にしないでください。あと展開早いのもご愛嬌で。

今回は一番展開に失敗したと思う。

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