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第一章 第六話 『出撃』

「さっさとこい・・・貴様が遅いと生態を調べる時間が減る。」

 なんでこんな女性とチームなんだろう?実は能力じゃなくて、面白そうな組み合わせじゃ・・・そんなわけないない。・・・たぶん

 この人はエリエンヌ・アリア・シュバルツさん、クールで知的っぽいイメージが似合う女性だ。組んだ時は嬉しかったが・・・少しすると人が変わったように俺を急かす。そんなに早く帰りたいのかな?なにか事情があるかもしれないな。

「エリエンヌさん・・・落ち着いてください。そんな状態でモンスターと遭遇してもまともに倒す事ができません。生態を調べるなんてできないですよ。きちんと冷静になって相手を見極めないと。」

「わかっている・・・」

 わかっていないな・・・しかしこれは個人の問題だよね・・・でも見捨てれない。まぁでも今日は野宿にしないとだめだな・・・今日中に洞窟までは絶対につかないだろう。だから明日行ったほうがいい。無駄に夜にでるより朝を待ったほうがいい。

 しかもこんな急いでる状態じゃさらに悪い。

「エリエンヌさん、もう今日は休みましょう?この状態で森を歩くのは危険です。」

「私は無事だ。だからさっそといくぞ。」

「俺がきついです。だから休みましょう。」

「し、しかし・・・」

「会長は調べて来いと言った後に無期限とも言っています。これはかなり時間が掛るからでしょう。無理に急ぐ必要なんてないでしょう?」

「ど、どうせなら早いほうがいいだろ? 早くてなにが悪いんだ?」

「この日が落ちそうなときに野宿の準備しないでさらに進んだときに離れ離れになって魔物に襲われたら危険です。」

「私は大丈夫だから先に・・・」

「大丈夫じゃないだろ? 何を基準で大丈夫なんだ? もしあんたが死んだらお前の家族になんて謝ればいい? 私がエリエンヌさんをとめられなかったから? まぁ謝る事はまずどうでもいい。でも、残された家族のこと考えろよ!! お前一人の命じゃないんだよ!! まぁ親とか嫌いかもしれないがお前が大事な人だっているだろう? そいつを悲しませる選択肢をとるんじゃんねぇよ!! あ・・・すまん。感情的になって。枝拾ってきてくれないか?」

「あ、ああ・・・」

「俺は魚とって来ますので枝を集め終わったら火をおこしておいてください。」

「しかし・・・どうやって魚を手に入れるんだ? ここは山だぞ? 魚なんていないのでは?それよりも菌類のキノコとかとってきたほうが。」

「キノコの場合は自分は不確実です。エリエンヌさんが解るのならいいんですがね。まぁ今日はやめましょう。キノコは探すの意外に手間取りますから。しかも魚は山でもいるはずです。ちょっと準備しますから。」

 俺は自分のバッグの中をあさる。取り出したのはナイフとしかけ。まず枝を先端を細くしてしかけを巻きやすくする。これで完成。簡単お手軽釣具の完成。川魚や引きの弱い湖の魚なら余裕で釣れます。実はなぜ釣具があるかというと・・・会長に釣りしたいといったらくれました。ここで役に立つとは・・・

「では、釣ってきますね。枝集めと、火おこしお願いします。」

そう笑顔で言い、行った。


 かれこれ30分程度。釣り場所がよかったのかかなりあっさり釣れた。大体・・・30匹ぐらいだ。うーんでもここまでいらない気もするけど・・・まぁいいか。塩漬けにしておけば若干は持つだろう。

 さっきの野宿ポイントにエリエンヌは居た。きちんと火をおこしている。しかし寝ている。まぁなんか急いでいたから神経が疲れたのだろう。俺は起こさないように料理を始めた。そうたいした料理ではないがこういう時の定番料理の魚の塩焼き。て、手抜きなんじゃないんだからね!! たぶんこの魚は鮎系だろうというか鮎じゃないと少し嫌だな・・・さてまずはー腸をとる。これで生臭さが若干消えます。まぁここの味が好きな人もいるから各自の判断で決めます。自分は無しのほうですね。それにしてもある程度常にサバイバル道具を携帯していてよかった。こういうことに巻き込まれる事すらほとんど無いが備えあれば憂いなしだね。魚に塩をふりかける。この塩は対脱水症状用の塩だが気にしない。だんだんと香ばしい匂いがただよう。うんいいできだな。俺はそっとエリエンヌを起こす。まだ眠たそうな顔にドキッとしたのは内緒ってことで・・・

「これは?」

「魚の塩焼きだな。すまないな。道具がもっと有ったらもっと豪勢なんだけど・・・」

「そう・・・でも食べてなくていい。一人で食べてくれ。」

「やっぱり貴族様にゃ合わないかね・・・でも食べろ!!これから先がもたなくなるからな。」

「いらない・・・・」

「ふーそれなら無理やり食べさせるぞ!!」

「むりやり?」

「んーなら口うつしでもして食べさせようか?」

「ふふっ」

「ん? どうかしたのか?」

「私にそんなこと言ったのは貴様が初めてだ。口うつしは遠慮したいから食べるとしよう」

「そうしてくれ。やっぱりつくったからにゃあ食べてもらいたいですよ。ついでに俺は寝床と果物とか野菜を探してくる。」

「ああ、わかった。いってきてくれ」

 少しは心開いてくれたかな?まぁでもさっきと比べて笑ってくれたからいいだろう。うん。よかった。


 ふーこんなものかな・・・ある程度の食料があつまった。意外に人参やじゃがいもがなっている。この世界の森って俺にとってはパラダイス!? かなりの量の野菜が野生化しているがうまそうだ。あ、桃あるな。デザートにも丁度いい。ん?確か・・・カレーのルーと米がある。カレーが作れるじゃないか!! さてー明日が楽しみだぜぇい――――


「ふー・・・」

 私は一人でため息を出す。あの青年は今では珍しいほど目が澄んでいた。まるで大空を思わせるほどのものだ。でも男なんて変わらない・・・どうせ男なんて女をしたに見てる。ただの跡継ぎを産ませるだけの道具だと思っている。きっとあの青年だってそうなんだ。心を許すな。でも・・・この魚の塩焼きが暖かくて、あの青年の暖かさに触れられるようで・・・私の冷たい心を溶かしてくれそうで・・・私は食べ続けてしまう。次第に涙も出てきた・・・どっちが自分の本当の気持ちなのだろう。あの青年を信じたいのか・・・それともあの青年を拒絶したいのか・・・ふふっ・・・氷の聖騎士とも呼ばれている自分がなんでこんな事を考えているのかと思った。そして笑ってしまう。そして涙もでる。


 またしんじたいな・・・


 気づいたら火が弱くなっていた。火に枝を足す。火がまた燃え上がる。シルフィード・・・私はどうしたらいいのかな・・・そういい自分のロケットをみる。そこには二人の少女が写っていた。でも・・・私の夢はかなえたい。だから―――


「ただいまー」

 どうやら帰ってきたらしい。私には眩しい気がする。その青年は私を助けてくれる気がした・・・でも・・・この人じゃ叶わない・・・どう足掻こうが叶わない。

「はー寝床がいいところ無かったよ。」

「そうか・・・ならここで寝るしかないな。私はもう寝ようと思う。火の番をお願いしていいか?」

 そういえば・・・名前はコウイチだったか・・・うん、あとで貴様じゃなくコウイチと呼ぶことにしよう。さすがに貴様は偉そうだ。そう思っているとコウイチは私に近寄る。どうしたのか?

「すいません。エリエンヌさん寒くて・・・隣いいですか?」

・・・どうしろと。ここは一緒に暖まれればいいのか!?しかしこれは恥ずかしい・・・逃げたくなるし、顔が熱くなるのがわかる。うー・・・

「い、いいいい、いいいいいだろう。一緒に寝よ―――」

「すいませーん遅れましたーたははー。でも桃とかもたくさん取れたし寝床もはっけ―――――」

「「「・・・」」」

「なぜ俺がいる!!」

な、何が起きてるんだ?なぜコウイチが二人!?

「あちゃーまったく・・・いいところで来ないでくれない?折角楽しもうと思ったんだし・・・本物さんもいれて3Pでやるかい?」

「嫌だ」

「即答かよ。まぁいい。なら貴様を殺すしかないか。」

そういい奴は姿を変える。ゴツイ姿になる。これではまるで高レベルの魔神じゃないか・・・

「ふふふ・・・声もでないだろう!! これが俺の真の力だ!!」

こんな奴に勝てるのか? 武器も向こうにある。どうすれば――――


・・・だっさいな。

「ふふふ、声もでないだろ!! これが俺の真の力だ!!」

「ださい」

「な、なんだと!!」

「いや、ださい。」

「ほう!この魔神、シリエンファーヨニエルジョナンシュアリアスブラウクドラシエルリクトカイエシエルシックティグフォンボウラジエアスジグラブジエストレ・ブレファーグエストミスレシアファーブレイックナクネミオンイリヒヒブロウニードカイエルシンファーブリエングエストを侮辱しているのか!?」

 ちょっとまて?

「もう一度。」

「そうか! ならば言うぞ! シリエンファーヨニエルジョナンシュアリアスブラウクドラシエルリクトカイエシエルシックティグフォンボウラジエアスジグラブジエストレ・ブレファーグエストミスレシアファーブレイックナクネミオンイリヒヒブロウニードカイエルシンファーブリエングエストを侮辱しているのか!?」

 名前長いからシリエンでいいや

「ああ、侮辱しているさ!! シリエン!! 貴様名前なげぇよ!!」

「何をいう!! 私は短いほうだぞ!! 祖父はグランマニエルシンフェルブラクドミエルリクラエカエンショブレリアグロシアスキリエミマニアスジグミルプティアレムシルカラブレイアスホークレスレーバジスナクエルグラシアシグナムブリューテンペラアクシアショクフォープロニックアマターキャシューマミエシルボウシリエックバスティンモロシス・ブレファーグエストミスレシアファーブレイックナクネミオンイリヒヒブロウニードカイエルシンファーブリエングエストだ!!」

「な、なげぇ・・・」

「ハッハッハ!! この私、シリエンファーヨニエルジョナンシ―――」

「うるせぇ!!」

 俺はハンマーを出し、思いっきり吹っ飛ばす。まるで漫才のようだ。

「ふぅ・・・こんなものかな?」

「・・・」

 うーん気絶してるなエリエンヌさん・・・

「おーい・・・大丈夫か? 意識あるかー」

「あ、ああ・・・大丈夫だ。」

「ならよかったー。はい桃。これ食べて落ち着けよ。」

「ありがとう・・・」

 あ・・・魚ない。まぁいいけどね。おいしかったならいいしね。さて火を消してーと。ついでにからかうかー。

「でも・・・魚ないな・・・エリエンヌさん全部食べちゃったんだ・・・」

「え?あ、ああ! すまん。美味しくて食べてしまった・・・なんでも言う事聞くから許してくれ。」

「なんでも?」

「ああ、騎士に二言はない!」

「そう・・・なら。」

 エリエンヌさんの体が強張っているのが解る。まぁでも・・・俺は・・・

>学園の商店街の買い物と道案内に付き合ってもらう。


>体を好きなように弄う


なんだ!! この二択!! というか俺は前者なんだが!!


『はぁ? しらねぇよ。大きなお友達は全員後者選ぶぞ。』

いや!! 俺は前者選ぶ!! 何があっても!!

『つまんねぇーやつー。』


「今度学園の商店街の買い物と道案内に付き合ってくれ。」

「え? それだけでいいのか! てっきり体を弄ぶのかと・・・」

 どんなイメージだよ・・・

「俺はそんなことしないよ。相手が嫌がることはしたくないんだ。まぁ偽善者に近いかもな。まぁ置いといて・・・いい?買い物とかに付き合ってもらっても?」

「ああ、それくらいお安い御用だ。」

「さてーいこうか。この近くに熊とかもいない洞窟があったから。ちなみに火もおこしてあるからあたたかいぞ。」

「ああ、わかった。では行くぞ」


「コウイチか・・・」

 私はそうつぶやく。コウイチは私が見た男の中でも異質の部類だ。私が異質と思うのは会長ぐらいだろう。二年生で騒がれて、会長に勝ったと言われるコウイチが気になって観察したが人間性は完璧だった。言葉は若干悪く感情的になりやすいが周りの人に優しく接している。しかも顔もいいから女子には人気な人だ。二日間見てみたがはっきり言ってここまでの人はめったにいないと思った。まずはゴミ拾いからはじまり、花の手入れ、掃除を誰に言われた訳でもなく自分でしている。教師に頼まれてものを運んでいる生徒の手伝いをしていたり、事務のおばあさんの会計の手伝いや悩み相談。そして剣術指導や体術修行、さらには料理を教えてもいる。しかし、コウイチは味付けが本当にうまい。あの魚の塩焼きでもそうだ。魚の油が引き立つような塩加減。しょっぱすぎず適度な甘味もある。ここまでつくれるとは思わなかった。やっぱり料理教えてるのは伊達じゃないのか・・・。でも私は心を許せない。いや怖いのか・・・あんな優しい人の心の闇を見たくないのかもしれない。

「―――ヌさん?エリエンヌさん?」

「え?きゃぁぁああ!!」

「ぐほ・・・」

 コウイチは腹を押えてしゃがんでいる。どうやら鳩尾にパンチを入れてしまったらしい。

「エリエンヌさん・・・洞窟はあそこ・・・です。火は・・・頼みま・・・したよ・・・」

「あ、すみません!!」

 私は急いで回復魔法を使う。自分は光と水の混合だが回復は苦手だ。どちらかというと攻撃魔法のほうが得意だが・・・ないよりはマシだろう。

「いえいえ、俺もいきなり声をかけてすみません。」

 そういいコウイチは洞窟に入っていった。私も離れないように着いていく。どうやら火を強くしているらしい。

「火の番は俺がやるから先に寝ててくれ。俺も後から寝るから。まぁ火の番っていうより明日の朝ごはんをつくってから寝るだけなんだけどな。

そういい彼はナイフで野菜を切っている。まぁお言葉に甘えて寝よう。


どうやらエリエンヌは寝ているらしい。後ろから寝息が聞こえる。さて! 早速作り始めよう!! 俺の最高傑作を作る!!


「ここは・・・洞窟か・・・」

 そういえば昨日会長が命令がしたんだっけ? 外からの日差しが心地よい。それにしてもいい匂いがする。コウイチは何をつくっているんでいるのだろうか?

「あ、おきましたか?ちょうどいいけど・・・まずは顔洗ってきてらどうです?ちかくに泉があったし、井戸もあったので大丈夫ですよ。」

「ああ、わかった。では行って来る」

「いってらっしゃい。」

 ここは意外に環境がいいかもしれない。野菜もあるし空気も綺麗だ。生きていくには十分な水もある。うん、でも私はどうしてもあの子を救わないと・・・でも今はモンスター調査が任務だから忘れよう。うん。そう心に決め顔を洗う。


「あ、おかえりー。」

「ああ、ただいま」

 まるで新婚さんみたいに感じてしまう。あはは。自分って変だな。というか自分がお嫁さん!? おかしくない!! 普通自分がただいまとかいってお嫁さんに癒されるんだよね!! まぁいいやこの話はかんがるだけで暗くなる・・・

「さて、はい」

 俺は葉で作った皿を手渡す。中には米とカレーが入ってる。

「この白い物体と茶色い物体はなんだ?」

「俺が丹精込めて作ったご飯とカレーです。カレーライスともいいます。おいしいですよ。」

「かれーらいす?」

「はい、カレーライスです。」

 若干口に運ぶのを戸惑っている。人間は未知のものを食べるときは抵抗があるらしいけど本当らしいな。うーん美味しいだけどなー。その様子が可愛い・・・頬を若干桜色にしながら口に運ぶか運ばないか悩んでいる姿はあの最初に会ったときとはすごいギャップがあってさらにそそられる。これがギャップ萌えなのかな?

 やがて決心したようにカレーを口に含む。

「おいしい・・・」

「でしょ!辛いけどその辛さもおいしいんだよ!」

 うん、おいしいっていわれるとすごく嬉しい。

「そういえば・・・」

「なんですか?」

「ここを拠点にしないか?ここなら目的の洞窟も近い。」

「そうですね。ここを拠点にしましょう。でもふぁ〜うん・・・眠い・・・ちょっと仮眠してもいい?」

「ああ、いいぞ。その間私は食材を探してくる。」

「りょうか・・・い・・・」


 数時間経ったらしい。エリエンヌさんが起こしてくれた。

「さて今回は洞窟ですよね。」

「ああ、今いる場所はここに一番近いからな。シンシェル洞窟に向かうのが時間的には効率がいい。しかし・・・」

「しかし?」

「私は水と光。コウイチは火だ。ここの敵とは相性は悪い事は確かだ。それでもいくか?」

「ああ、それしかないならそれで行きましょう。」

そして俺たちはシンシェル洞窟ヘと向かった。しかし・・・ここは来ないほうがよかったかもしれない。まさかあんなものが大量にあるなんておもわなかったからだ・・・・



今回はいつもより若干長いかも。それにしても・・・眠い。さておやすみなさいー

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