第一章 第三話 『朝の賛歌』
コケコッコー
結局……外で寝ました。一体何時ぐらいなんだろう?時計がないと不便だなー。さて主人の部屋の掃除するかー。
寮の中に入るがダレもいない……うーんまだ朝早いのかな?たしか5階だっけ?さてここだな……
ドアを開ける。そこには……昨日よりはマシだが散らかっている部屋があった。まだ寝ていやがる……というか寝にくくないか?こんなに汚いと寝るものも寝れないと思うが……
というか寝ているのがなんかイラツクな。さてこの粗大ゴミも一緒に掃除しちゃっていいかな?
3時間後
「ふーこんなものだろう」
明るい日差しが入っている。前に比べたら段違いに清々しい。床も喜んでいるように光っている。自分も清々しい。心のもやもが晴れる様だ。この主人が居なければな……
鐘の音が聞こえる。どうやら今が起床の時間らしい。周りの部屋や廊下が段々と騒がしくなる。しかし私の主人はおきません。声をかけてみる。それでも主人は起きません。ピチピチと頬を叩いてみた。スースーと寝息が聞こえる。
こちょこちょくすぐってみた。起きない……このクソ主人め……どうするか……とりあえず主人の頬をプニプニしてみる……だめだ起きない……どうしよう。
「あら?やっぱりクリス起きてな―――」
その時、扉が開いた。誰だ?
「あらぁ?男がいるなんてねぇ〜まったくぅクリスも罪ねぇ。」
「いや!!別に付き合ってませんよ!!自分、この主人のしもべになった幸一というものです」
「あー空から落ちてクリスの胸を揉んだ子ね。」
クスクス笑いながらそう言った。嫌な覚えられ方だ。
「そうそう、クリスは起こさなくても大丈夫よ」
「え、なんでですか?」
「クリスは朝に弱いの。朝ごはんにはいつも遅く来るからね。私はクリスの代わりに席取り係りなんだけど。いつも朝に来てるからね。そして来たらあなたがいたと」
なるほど、でもここまで反応しないものなのかな?
「そして〜私も今から食堂に行くのだけどついて来る?」
「え?ええ、行きます」
そうして食堂に向かった。
「す、すごい……俺の学校の学食とは桁が違う……」
食堂はどっかのパーティーのような豪華さがあった。今思ったんだけど……ローブって一人一人違うんだね。これじゃ借りれないな……。
「そうそう、奴隷階級とかはパン一個ぐらいらしいから。まぁでもおいしいパンだから期待してね。」
ガーンガーンガーン
パンって……朝食はバリバリライス派なのに!!
「少ないど我慢してね。」
そっとパンと皿を差し出してきた。しかたない腹が減ったら戦はできぬだな。でも昔の農民って食べるものが無いから国と戦ったはずだよな? 矛盾だな……
「お〜!おーいシリエル〜一緒に食べよー」
そういいながら小さい女の子がこっちに向かってきた。
「ファニアスーそんなに急ぐとこけ――――」
つるん、どてん、ぼふっ。
「「あ」」
もっていたパンを落としてしまったらしい。しかしスープとかもってなくてよかったな。
「うー、パンがぁー今日はパン楽しみしていたのにぃ……」
ん?今日の献立表を見てみる。献立はパンとクリームシチュー、サラダにデザートだ。うん、本当にパンが合いそうだ。仕方ない……。
自分はこのファニアスと呼ばれた子のパンを手に取った。
「どうしたの? コウイチ君?」
シリエルが不思議そうに聞いてくる。しかしそれには答えないで自分はそのパンのゴミを軽く掃った。そしてそのパンを自分の皿に乗せ、落としてない俺のパンをファニアスに差し出した。
「ファニアスちゃんが落としたの俺が貰うよ。そのかわりに俺のパンをあげる。」
「あ、ありがとうですよー」
「ちょっと!コウイチ君!? あなた落としたものを食べるの!?」
なるほど育ちが分かるな。
「気にしない気にしない〜。俺はしもべだもんな。上の人に良いものを食べて――――」
「そういうことじゃなくて!! 落としたものなんかが食べれるの!?」
まったく……金持ちはこれだからな……
「俺はこのパンをくれたシリエルさんに感謝している。農家の人やパン屋の人にも感謝している。でも落としただけで食べないってこのパンに携わった人たちに悪いだろ? だから俺はこのパンを食うよ。捨てるなら食べるほうが幸せだよ」
「ま、まぁそうだけど……」
「大丈夫! 大丈夫! 腹なんて壊さないさ。」
そういい一口食べた。
「お! こりゃうまい! あーこれシチューと一緒ならいくらでも食べれるだろうなー」
自分は笑顔で言う。これは本当においしい落としていても食いたいパンだ。
(おい……あれがクリスが召喚した奴らしいぜ。)
(さすが庶民のしもべだ。マナーもなっていない)
(俺だったら殺すかもな。こんなやつよりだったら10年ぐらい居ないほうがマシだ)
まったく……酷い言われようだな。俺。
「コウイチさん、おはよう御座います」
シュリスさんが俺のところにきた。声だけで癒されそうだ。でもなにか悪いことが起きそうな気がする。
「コウイチさん? 一緒に食べませんか?」
シュリスさんが……言った。これって死刑宣告と同等だと思う。
(なんだと!! 学園でも三本の指に入るほどの超絶美人がどうしてあんな奴に!!)
(まったくだ!! あいつ殺したほうがいいんじゃないか?)
(そうだな、あいつを殺したほうがいい)
やっぱり死刑宣告だったか……
「いいですよ。シュリスさん。あなたのほうが誘ってくれるとは思いませんでした」
そういいシリエルさんは俺の隣をすすめる。ちょっと待って……それ死亡フラグ。
「そうですか? ならここに座らせてもらいます。いいですよね? コウイチさん?」
笑顔でこっちに言ってくる。近所のヤロウ共が座らせんじゃねぇよ。みたいな視線を送ってくる。どうするべきか……
「えっと、やっぱり女同士で隣のほうがいいんじゃないですか?俺なんかの隣に座ったら品が落ちてしまいますよ」
「いえ、そんなことはありませんよ。あなたはいい人ですから」
……もう無理だ。この運命を受け入れるかしかないのかな……。この死という運命を
「あれ? シュリスさん? いつのまにここにいたんですかぁ?」
いつの間にかパン以外を手に持っているファニアスが話しかけた。
「ついさっきですよ。ファニアスさん」
「そうなんですかー。なら一緒に食べようよー。人数の多いほうが楽しいよ!!」
明るいなぁ〜ファニアスちゃん。でもそれ俺の命左右しているんだよね。
「ええ、多いほうが美味しいですし。一緒に食べましょう?」
さらにくるシリエルさんの発言……絶対こいつら俺を殺そうとしているよな。
「「「なら俺達も一緒に!!」」」
あ、さっきまで殺すしかないとかいった奴だ。
「あんたらは生理的に受け付けないから嫌だ」
シリエルさんの無情の一言……。ん? なら俺は認められているのかな?
「コウイチと違っておまえらは優しくないよー!! 私がパン落とした時だって助けてくれなかったし……」
そういえば他人事みたいな目でみんな見てたな。
「あとあなたたち引くってこと知ってないじゃないですか。このプライドだけが高いクズたちが」
シュリスさんまで笑顔で毒舌はいてるよ……どんれだけこいつら嫌いなの? あ、あいつら泣いてるよ?
「さて食べましょう」
シリエルさんが振る。まぁ区切りつけないとね。
「「「「いたたぎます」」」」
傍から見れば美男美女の食事風景だ。そこだけ異質な空間でしかもハーレム状態……男は全員嫉妬の視線を送っている。
「おまたせーファニアスとシリエル。あ、シュリスさんもおはようございます。」
……新たな爆弾がやってきた。俺には挨拶しないのか? がんばって部屋掃除してやったのに……
「あ、コウイチいたのね? ごめん、見えなかった。まぁ掃除はありがとうね。」
褒めるなんて……こんな奴だったっけ?
「今、失礼な事考えなかった?」
「いいえ? 滅相も御座いません」
「そう」
「コウイチさん? そういえばあなたの世界の文明の話の続き聞かせてくれません?」
そういえば泉で話すって行ったのだけど気になったのかな?
「ええ、いいですよ。なら俺の世界の乗り物のことでも話しますか」
「私も気になるから教えてーコウイチー」
「いいですよ。減るものじゃないですし」
「コウイチさん。あーん」
「あ、いただきます」
ってこれって恋人とかやるやつじゃん!! 食べてから気がついたけど!!
『『『コロセェェエエエエエエ!!!!』』』
あ……やっぱり……うん。これ死ぬな……
『もうがまんできねぇぇえええよ!!』
『ああ! まったくだ!! アイツの息の根止めてやる!!』
「みんな! 落ち着くんだ!!」
そういい綺麗な顔立ちをした男が声を出していた。ありがたい……
「ちょっとクリスのしもべは今すぐステージの上に来てくれ」
なんだろ? うん行かないとな。ステージにあがる。
「君の名はなんだい? しもべ君?」
「えっと墨田幸一といいます」
目の前にいる男は自分に……
「私!!生徒会長!!シュベルト・G・クレリアスは、風紀を乱そうとするスミダコウイチに決闘を申し込む!! お互いに全力を出し合おうぞ!!」
死刑宣告の証の手袋を投げてきた。嫌だな……
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「第三回!!ファニアスちゃんの用語解説コーナー!!」
パチパチパチー
「今回は魔法具の説明だよぉ!!この世界では魔法の触媒に魔宝珠と言うものを使うときがあるのだー。自分には力が余る強力な魔法や魔法の発動スピードを上げたりできるんだよー。ちなみに質がいいものほど強力な魔法の強い支えになるし詠唱スピード速くなるんだよ!!ついでに撃つ数も増えるよ!!杖には高純度の魔宝珠がついてるのが多いんだ!!次はローブの話だよー。コウイチは気がついたけど一人一人ローブが違うのだぁ!!それはローブは自分の能力の形状に合わせているのだー。自分の魔法力を放出すれば魔法や物理攻撃から身も守ることもできるんだよ。それを行いやすくするのもローブの役目なのだー。あと自分の潜在能力も引き出せるだからこの学園に居る生徒は常に防具は最強みたいなものなんだよー。それでも弱い奴は弱いだけなのだー。でもそういう奴もすばらしい潜在能力が眠っている場合もあるのだー。だからあきらめちゃ駄目だぞ?これにてお終いだよー。ではではーまた今度ー」
辛口評価だれか書いてくれないかなぁ?