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第一章 第十七話『人攫いは血祭りに』

グロ?注意!

「村人の皆さん! 下がってください!」

「あ、あんたはどうすんだ?」

「足止めをします。理由も聞きたいので」

「ドラゴンは人間と違って理由もなく襲わないのにゃ。きっとなんかあるはずにゃ」

 上空から急に降下してきたドラゴンの攻撃を刀で防ぐ。

 けれども刀は攻撃用の武器だ。守りなんかに少しも適していない。簡単に弾かれそうになる。市曰くRPGで最強と恐れられているモンスター。刃を踏んだはずなのに皮膚を貫かず刀をを刃毀れさせるなんて。

『裏切ったのか! 人間!」

「なんのことです?」

『タマゴを盗んだだろうが!』

「ん……タマゴ?」

「どうしたのにゃ。これは悪いことにゃ。早く返すにゃ! 丸焼きは嫌にゃー!」

「自分とってない」

『しらばっくれるのか!』

「そもそもとってたらここで足止めなんて考えないと思うんですが」

『……それもそうだが』

 ……思った。このドラゴンって少し天然じゃないかな? いや、だってここで足止めするのって盗賊どもの手下とかもするんじゃない? 自分は村人逃がすためだけど。

『けれども我のタマゴを奪った奴がいるのだ!』

「そうだな……でもあの大きさだからそこまで素早く移動できないと思うんだけどな」

「そうにゃ。うーん。荷馬車を使ったのかもしれないにゃ」

 荷馬車か。確かにこの世界なら荷馬車しか運ぶ手段はないな。飛行機とか列車とかないし船はあるかもしれないけど、ここは平原のところだから海は近くないしな。ワイバーンだとアレほどの荷物を持つのは無理だと思う。

「けれども荷馬車じゃ追いつけないと思うけど」

「いや普通に馬を使えばいいにゃん」

「でも相手も馬……」

「このバカ……荷馬車は遅いのにゃ」

 そうなのか? いやでも

「よく考えるにゃ。タマゴを奪ったやつらはタマゴを傷つけたくない。それは分かるにゃ?」

「はい」

「だからゆっくりいく必要性があるにゃ。そして荷馬車は確かに速いようにおもえるけど実質荷物を運ぶから走るよりもやや速い程度で楽なだけなのにゃ。だからこちらがフルスピードで馬を走らせれば間に合うのにゃ」

「なるほど」

「というわけで馬をもらうのにゃ」

「もらえますかね」

「怒りを静めるために馬を謙譲するって言えばくれるにゃ」

『我もついていっていいか?』

「いいですけど目立ちますよ」

『なに。方法がないわけでもない』

 ドラゴンは何かを唱える。魔方陣が現れ煙があたりを包み込む。

 霧が晴れた後を見るとそこには女の人が立っていた。

「ふむ人間化も久しぶりじゃの」

「えっとドラゴンですよね?」

「ああ。我のことはシルと呼んでくれの」

「え、ええ分かりましたシルさん。自分は幸一です」

「にゃーめんどくさいからわたしゃシリエルでいいにゃん。それにしてもシルバードラゴンのシルバーをとったのかにゃ。短調的すぎにゃいか?」

「我は名前が要らんのだ。けれども不便だろう。だからの」

「まあそんなことはあとでにするかにゃ。今は急がないとにゃ」

 お前が言ったんだろ。といいたかったが今言うとさらに時間ロスするだろう。黙っていることにした。

「ふむ、そうだな。我の可愛い可愛い娘を渡すわけにはいかんのじゃ」

「いやいやタマゴでわかるんですか?」

「娘のほうがいいのじゃ。息子より可愛いだろう。む、でも息子でも可愛いだろうの」

 この親バカ候補は無視しておこう。なんか話進まない気がするから

「けれどもどっちに行ったのか分かるんですか?」

「ここから街道を通ってまっすぐ行くと大きな都があるのにゃ。ここ近辺では売るにはそこしかないのにゃ」

「なら早速行こうか」

「にゃーにゃー」


「よしここまでくればいいだろう。これで俺たちは大金持ちだ!」

「そうだな!」

 俺たちは笑っていた。

「またんか! タマゴを返すのじゃ!」

「な、なんだあいつ? 結構な美人だけど」

「たぶんあの村にきていた冒険者だろ。村長にでも頼まれてきたんだろ?」

「なるほどな。な、ならさ タマゴを人質にしてあの女やっちまおうぜ。へへへ」

「そ、そうだな。あんなエロイ胸をゆらして……」

 俺たちは後ろから来る美人さんのほうを見て話し始める

「おいお前! 止まれ! タマゴがどうなってもいいのか?」

「ぬぬ! 卑怯な……」

「安心しろ。俺たちも止まってやるさ」

「約束だぞ……」

 すぐに止まった。なんだ物分りがいいな。どっかの貴族のやつか?

 俺たちも馬車をとめる。そして彼女に近づく。

「いい顔とスタイルしてるじゃねぇか」

「触るな無礼者!」

「いいのかなー? そんなこと言って。タマゴ壊しちゃうよー?」

「何が望みじゃ!」

「な~に……お前とヤリたいんだ」


「あれ、やばくない?」

「そうにゃーでももう少しひきつけないと届かないのにゃ」

「いやいやもう体が触れ合ってんだけど」

 二人で双眼鏡を見ながら喋る。まったくこれは酷いな。なんか人間の悪のところが見えて気持ち悪い

「ど、どうするにゃ! 行って殺すにゃ?」

「ダメだ! そうした場合片方にタマゴを……」

「どうしようにゃ……。片方囮でその間に片方が」

「ダメだ。時間のロスがかかりすぎる」

「どうしよにゃー!」

「まったくシルさんが素直に止まるとは。計算が狂ったな。どうするべきか…」

 考えているとふと耳鳴りがし声が聞こえる

『仕方ない。俺に代われ』

「お、お前は……」

『急いでるなら早くしろ』

「えっと何すれば」

『は~…』

 あきれられた!?

『体を楽にするだけでいい』

「え、えっと力を抜くんだよね」

『ああ、そうしたら俺が自分で出てこれる』

 体の力を抜く。その瞬間激しいめまいがおきそのあと吐き気がこみ上げてきた。

『深呼吸をしろ。精神を落ち着かせろ。乗っ取るつもりは無い』

 声が響く。深呼吸をする。すると少しは楽になった気がする。

『さて----』

「行こうか」


「どうしたのにゃ?」

「なんでもない。俺に任せておけ」

「にゃ??」

 俺は亜空間武器庫を召喚する。中にあるブリューナクを取り出す。

「さて、加速」

 地面を炎で爆発させる。その衝撃を利用し俺はあいつらに接近する。

「あれ……だれにゃ?」


「お前がおとなしくやらせてくれれば卵は返してやる」

「ぬ……我は……我は……」

「邪魔だボケ」

 そこで突っ立てる男とシルに槍を向ける。男は逃げ出したのだが俺にとってはそのほうが好都合だった。

「聞いておけ。こいつは俺の女だ。誰も手だすなよ。下がってろよ。シル」

 俺はブリューナクを投げる。その穂先は分裂し男に襲い掛かる。

「ひ、ひぃぃ!!」

 あたった穂先が逃げる男を切り裂く。一振りが幾重もの刃になり体を傷つける。四肢はもうズタズタになっており一生立てないだろう。いや生きていれば奇跡だな。

「お主は誰じゃ?」

「もう忘れたのか? つれないな」

「いやしかしじゃな。そんな血のような深紅の髪で獅子のような髪型……ぬ、お、お主コウイチか!? 顔のパーツはそこまで変わってないがその髪どうしたのじゃ」

「あったりー。でも本当は幸一の体を借りている神様だけどね。変化すると一部分だけ変わるんだ。だからこんな髪」

「ぬ、そういえばその髪はヘパイストスかの。懐かしいの。しかしな……おかしくないかの? そもそも神が人間の器に入ることが出来ないのじゃ。小さすぎてな。それなのにおぬしのようなオリュンポスの神が入れるとは」

「それはあとで話すよ。気づかれるからな」

 俺はやつの荷馬車に近寄った。

「お、おまえ……卵がどうなってもいいのか!?」

「ああ、いい」

「な、何だって……」

 当たり前だ。なにせ……

「俺には関係ないことだからな」

「な、なんだよお前。金もいらねぇのか!?」

「ああ、必要ないね。最低限寝るところさえあれば俺は十分だ」

 俺は手に持っているブリューナクを奴に向ける。

「この槍は投げると広範囲に拡散する。卵壊していいと思わないと使えないさ」

「な、なんだよ……これでもくらえ!」

 奴が魔法札を投げてきた。魔法札といっても下級のものだ。投げると低級魔法に変化して相手を襲うものだ。けれどもこいつが投げたのは一番安いもの。魔法職が使わない限りこの低級の札は馬などの一時的な足止め程度にしかならない。勝負あったな。

「現れろ敵を確実に射る必中の槍よ」

 俺の武器庫から必中の紋章が刻まれた槍が現れる。俺がつくった名も無き槍だ。能力はグングニルに近いがグングニルと違って手元に戻ってこないのが難点だ。わざわざ引き抜かないといけないのがめんどくさい。しかし必ず当たるたまこういう頑丈じゃないやつらには便利だ。

「食らえ!」

 俺はやつに槍を投げつける。槍は加速していき銃の弾丸のように加速をし奴に向かう。銃が作れればいいが銃弾は俺には作れないため仕方ない。所詮金属を武器に変えたり魔力を加えるぐらいしか出来ないからな。俺は。

「ぐぁぁああああ!!」

 奴に当たって血があふれ出していた。涙目になりながら俺のほうを見ている。呪いの瞳かそれとも懺悔の瞳かあの濁った目じゃ判断できない。

 奴がビクンと痙攣したあと近づき槍を引き抜く。俺の槍が悪党の血を吸い取ったように真っ赤になっている。武器庫から布を取り出して血を拭き取りその布を奴の顔に乗せる。何もないよりはマシだろう。

「さすが神じゃな。ヘパイストス。能力が人外レベルじゃの。おぬしの能力は一つは普通じゃな。武器を作成する能力。もう一つが神ゆえの強さじゃの。全ての武器を操る力かの。嫉妬に狂ったことのある男は一味違うの」

「昔のことだ。嫉妬も関係ない。あと一つ間違えているが俺はエクスカリバーやアポカリプス、グングニルなどは使えない。なぜなら持ち主を選ぶからだ。神々の武器は基本はもてないさ。持ち主を選ぶ武器以外なら操れるが持ち主を選ぶ武器はムリだ」

「そういいながらブリューナクを使っているのじゃ」

「これは俺を選んだからな。それだけのことだ。そういえばいいのか卵をみなくても」

 シルは驚いた顔になり卵を見に行く。すこしした後シルはなきそうな顔で俺のように来た。

「た、卵が割れているのじゃ……さきっぽがピシピシって! どうしてくれるのじゃぁぁ!!」

 暑苦しい。というかもともと盗まれるお前が悪いだろう。そういいたいがさすがにかわいそうかもしれない。けれども俺は違和感を感じた。卵には傷つけないように戦った。壊してもいいなどただのブラフだ。

 荷馬車に近づくとピシピシとなっている。なるほど。なら俺がここにいると厄介なことになるな。

「おい。お前子供産むの初めてか」

「そ、そうじゃが」

「お前、竜人だよな。ということは卵から液体はでずに産まれるはずだ。普通卵が割れると液体がでるから。残りはわかるな」

「ぬ? というと……赤ん坊が産まれたのか!」

「だろうな。俺は先に帰るぞ。心静酒は忘れるなよ。あのシュリスには借りがあるからな」

「なんじゃ。お前が借りつくってるのは……義理の母とかかの。ならそやつも神が宿ってるのかの?」

「だろうな。たぶんテティス様だろう。体は共有しているが同じ属性だから意識も共有しやすいから俺が分からなかったのも仕方ない可能性がある。それに俺とあいつと違って二重人格のような感じだろう」

「この世界に二人の神がいるとは……何か起こる。ラグナロクでも起きるのかの。っと子供を見なくては!」

 そういうと走ってこっちに来る。

「邪魔だ!」

「ぐふぇ」

 シルに飛び蹴りされて吹っ飛ばされる。

「お、おお! 可愛い娘じゃ! うむ。あーこんなに可愛いのか。我が子は!」

 親バカだな。これは。

「ヘパイストス……ありがとうな。我が神アテナ様も感謝を言っているだろう」

「あ、あのときはすまなかった!! そのつい欲求不満で!!」

「そのことかのー。アテナ様は笑っていたのじゃ。気にしないでもいいのじゃ。それに謝るのは自分のほうだとも言っていた。相談に乗ってあげられなくてすまないと。処女神ゆえそういうことはやれないと」

「……はは、やっぱあの人も優しいものだ」

「というか我が神はおぬしのこと愛しているのじゃ。今でもアイギスの盾使っているのじゃから」

「それは嬉しいけど……嫌いと聞いたけどな」

「我が神はそうだなお主がいた世界だとツンデレというのかの。そういうのじゃ」

「いやいや。俺は自分で言うのもなんだけど醜いからな」

「向こうは青少年だけどおぬしはなんというか男前というものじゃのっと。それじゃ我は行くのじゃ。それじゃあの」

 そういって翼を出してとぶ。さすが竜人。人の姿でも飛べるのだな。それにしても昔話が過ぎたな。

 あいつとは知り合いだ。アテナの従者、白金の竜人アイウスウェノア。なぜ名前隠してたか分からないがな。あいつも子供産んだのか。昔は戦いの邪魔とか言ってたのに。俺が封印されてから500年も経っていれば当然か。さてあいつにも合流しないと。

「おーい! コウイチ!」

「ん」

「片付いたのかにゃ」

「ああ。終わったぞ」

「なら帰るかにゃー」

 馬を走らせようとする。しかしそれはまずい。俺の主人格の体力的な問題で

「すまないが荷馬車を使わないか? これも返さないといけないだろう」

「そうだにゃ。そういえばコウイチは荷馬車の運転わかるかにゃ」

「ぜんぜん分からないな。俺は」

 幸一は分かるかもしれないけれどもな。

「なら私が運転するにゃ。戦闘もやったそうだしにゃ。寝ててにゃ」

 俺は素直に寝ることにした。


 次の日--

「体が猛烈に痛いぃぃ!!」

「大丈夫かの? さすがに属性の相性が悪いと大変じゃの」

「たいへんたいへんー!」

 シルさんは心静酒を宿に持ってきてくれた。隣に小さい女の子を連れて。きっと娘だろう。もう三歳ぐらいに見えるけど。

「どうしてそうにゃの?」

「いろいろあるのじゃ」

「おかーさん、なんでー」

「そうじゃのー、たぶんの、アイビスと遊びたいのじゃ」

「そうなの!? 遊ぼーコウイチお兄ちゃんー!」

「にぎゃー!!」

 子供の名前はアイビスらしい。たぶんいい家族関係をつくってくれるだろう。この仲のよさだと。でも俺に攻撃をしないでほしい。遊びと称して。いや無邪気だから仕方ないのか。

「まあそれぐらい許せ。代わりに送ってやるからの」

「ありがとうござい--にぎゃーー!!」

 俺帰るまで生きてるかな? そう不安になるのだった。

はい。杉岡です。なんか二ヶ月に一話みたいな感じになっちゃっていますね。駄目だよな……一週間に一話あげたいのですが難しいっす。

もしかしたら一章もう少しかかるかもしれません。

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