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第一章 第十三話 『過去の傷、今の悲しみ』

「それはこっちに置いてくれ。あれは向こうの教室で使うため向こうに。この部分のお金は会計に聞いてくれ。飾りつけはもう少し華やかに。」

 テキパキと指示をだしてる会長。やっぱりこういうのはすごいなーと思う。指示する人の鑑だろう。これなら女子にもてるのも納得がいく。なんでもできるからなあの人。

 俺は今日も会場準備のため動く。生徒会の人数は思った以上に少なかった。9人しかいない。てっきり20人ぐらい居るのかと思っていた。これじゃ毎日大忙しだろうと思う。

 出し物のほかに看板作成、会場造り、ポスターの掲示、危険物の審査などなどあまりにも多すぎて目が回りそうだ。

 けれども会長の指示で恐ろしいほど円滑に進んでいる。これも才能なんだなー。

「えっとこれはここから左方向に右向きにおいてください。あ、この件ですか。これはですね今業者と話しているので明日報告します」

 シュリスさんもいつも以上にテキパキ動いている。って感心している場合じゃないか。まだ荷物運びは終わってないからなー。

 俺は欠伸をぐっとこらえて荷物運びを再開する。というかこういうとき召喚士系って便利だよね。荷物を呼び出した魔物に運ばせれるから……

 そんなこんなで昼は過ぎていく。一生懸命働くと時間が経つのを忘れてしまう。

 俺はぐいっと軽くのびをし骨の音をならす。その音が仕事をしたと実感できて心地よかった。


 

「くそっぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 そんな俺は夜に叫びながら服をつめたい川の水で一生懸命洗っていた。

 俺はマスターがまったく家事できないことを忘れていた。

 この前から異常にやさしいと思ったがこのためか!

 山積みにされている洗濯物。確実に一時間はかかるぞこれ。

 俺は川の水の冷たさに耐えて洗っていく。

 水が冷たいせいで汚れも落ちにくい。

 朝の洗い場使えるときに洗濯物を出してほしかった……

「ふぅー」

 一息入れる。しかし量はなかなか減らない。というか服どれだけあるのだ? 明らかにこんなに使わないだろう。

 そういえば部屋にあったフラスコが倒れてたな。もしかしてそれで?

 いやそれはないだろ。うん。いやそうだと信じたい。

 危ない薬品が服についていないことを祈り洗う。

 ……マジでコワッ!



 洗濯物も終わり泉に向かうことした。

 空気が澄んでるからネットをつけて昼寝できるようにしておいたのだ。

 どうせ泉には生徒も教師もあんまり来ないし静かだし俺にとってみればすばらしい場所だ。

 そんなところに先約がいた。冷たいのに泉に入って震えている女性が……

 一瞬寒さで震えているのかと思っていた。けど泣いて見える。

 昼にあれだけの指示を出していた人とは思えないほど今は弱弱しい。

「シュリスさん……」

 どうして泣いているのか俺にはわからない。けど俺は……シュリスさんに声をかけた。

 なぜ声をかけたのかはわからない。でもひとつわかるっていることがある。

 俺は……少しでもシュリスさんの助けになりたい。

「シュリスさんどうしたんですか?」

 いきなり声をかけられてビックリしたのかビクッと体を震わせた。

「コウイチさん……ど、どうしてここに居るのですか?」

 声を震わせながら俺に尋ねてくる。こちらを見ていないということはたぶん泣いているのだろう……

「シュリスさんこそどうしたんです?」

「わ、私は眠れなかったので頭を冷やしにきたんです。もう頭は冷えたので失礼しますね」

 そう言うと急いでここを離れようとする。俺は帰ろうとするシュリスさんの腕をつかんだ。

「「あ」」

 腕をつかんだとき強くつかみすぎてお互いに思いっきり転んでしまった。

「コウイチさん……どうして私なんかにかまうのです?」

「え? いやなんとなくだけど……どうしても悲しそうに見えて」

「そうですか……ならコウイチさん、あなたにとって私はどう見えます」

 いきなりの質問だった。俺にはどう見てたか……

「俺には一人で全部背負ってしまっている感じに見えるな」

 素直にそう思った。悪いとは思わないが普通の人より背負いすぎていると思っている。

「そうですか」

 図星だったのか少しビックリしているように見える。どうしたのだろうか、いつもと違う気が……

「コウイチさんは私の傷をもしよければ少し背負ってくれますか?」

「いいですよ。それで少しでもシュリスさんの重荷が減るのなら」

「なら聞いてください。私の過去を…」

 シュリスさんは美しくとても綺麗な声で過去の記憶を紡ぎ始める


 ――――とある栄えている国がありました。

 しかし貧富の差が激しくお金を持っている貴族はお金をさらに稼げましたがお金がない庶民はさらにお金が無くなるような国でした。

 そう外見だけは美しい国です。私はその国のスラム街出身でした

 その栄えていた国のスラム街では男の貴族が美しい娘を探し自分の屋敷にメイドという名の奴隷にされてしまうことが多かったのです。

 女の子はそんなことを知らないので貴族の男たちがきたときによく媚をうるのです。自分の親などを救うために。

 悲しいことですよね。少ない金額しか貰えないのに自分の娘を渡すのは。

 私は母から守られました。お金なんかなくても私とともにいればいいと言ってくれました。

 本当にお金はありませんがあの頃は本当に楽しい時代でした。今も楽しいのですがね。

 コウイチさんはどうして私がここにいるのか不思議なのですか?

 そうですね……この学園はスラム街の人間は入学できませんから……

 私は……無理やり貴族の男に連れ去られました。隠していた母は目の前で殺され私は一人になりました。

 私もその場で死のうと思い舌を噛み切りました。けれども治癒魔法ですぐに戻ってしまいます。

 ただただ痛いだけ死のうと思っても死ねなかったのです。私は涙を流していましたがそのうち涙さえ出なくなってしまいました。

 私はその貴族の屋敷で働かされました。

 もう親がいない私はまじめに仕事なんてしませんでした。そうでしょう? しても無意味ならしなくていいですから。

 脱走も何度もしました。本当に数え切れないぐらい

 そして毎回毎回呼び出されて鞭でぶたれ治癒魔法で傷を癒されまたぶたれ……

 私は嫌になって……家宝の壺を壊しました……

 殺してくれる。やっとこの苦しみからのがれる……家宝を壊したのだ。殺すのは当然だろう。

 けれども殺さなかった……あの男の炎魔法を何度も何度も受け……そして背中にもう癒えぬほどの火傷を負いました。

 私はもう脱走を考えなくなりました。何度やっても無駄……背中にこんな傷があればだれもが軽蔑するだろう……

 そう私なんて人間はこの人にしかもう仕えることしかできないのだろう。

 その一ヵ月後――

 貴族の男は国王の警備隊につかまりました。

 どうやら国王が死に王の第二子が継いだことにより国政が大きく変わったらしいのです。

 一律の税が貴族の負担を大きく庶民の負担を少なくし格差を無くそうとしたのです。

 その手始めに行われたのが奴隷商人の捕縛、そして品物になっている人の救出だったそうです。

 そのあと身寄りが無い私をとある貴族の方が養子にしてくれました。

 とある貴族の方がやさしく頭をなでてくれて私はやっとで地獄が終わったと感じさせてくれました。

 傷のこともその貴族の人がやった訳でもないのに謝ってくれました。

 それが申し訳なくて地獄から救ってくれた貴族のかたのためにゼロから猛勉強をしこの学園にきたのです。


「以上です……」

「最後にいい人の養子になれてよかったですね……」

「ええ……」

「けど――」

「まだなにかあるのですか?」

 ひとつ答えてないことがあった。一番重要なことだ。

「なぜこの泉で泣いていたの?」

 俺の一番の疑問。この過去を教えてくれたということは教えてくれるのだろうが聞かないと言わない可能性がある。一人で抱え込んでしまって……

「そ、それは」

「俺の予想では……過去話に関係あるんだな」

 言うのを躊躇ったが俺の真剣な眼に負けたのか深呼吸を一回し話し始める。

「今日、寮に帰ったら部屋にひとつの張り紙がありました。『あなたに復讐を』と一行書いてあるだけの紙でした」

「それなら別に気にすることは――」

「ええ、それだけなら気にする必要はないんです」

 すっと丸く透明な珠を差し出した。その珠からシュリスさんの背中の傷跡の映像がでてきた。

「こ、これは?」

「映像を写す魔法珠です。もうひとつあるのですがこれは……もっとひどいのでさすがに……」

 たぶん想像できる……きっともうひとつは……過去の……

「男には撫で回すように見られ友人には見捨てられました……きっとエリーも差別すると思いますし……私は……もう道化みたいなものですよね……。恩返しももうできませんよね……。どうせ……あなたも私を見捨てるのですね? あははは……はは……」

「……シュリスさん」

「なんですか? 罵るんですか……別にいいですよ? 慣れてますから。殴ってもいいですよ」

「ごめん……」

「どうして謝るのですか……あなたが悪いわけでは」

「俺は殴りもしない! 罵りもしない! 絶対……絶対シュリスさんを救う!」

「そんなこと……無理ですよ……」

「いーや! 俺にちょっとした案があるんだ。でも必ず救える。諦めるなんて愚の骨頂だ! こんな噂なんてすぐに消せるさ!」

「は、はい!」

 俺の空威張りで少し元気が出たのだろう。少し笑顔で答えてくれた。

「諦めないぜーもしこれで解決したらモテモテになりそうだからな!」

「それは無いと思いますね」

 お互い笑いあいながら話をする。とりあえず今だけでも忘れてほしいとおもう

 俺の仕事はまず噂をこれ以上広げないこと。これは早急だな。しかしもう殆ど広まっているだろう。会長がいれば何とかなるのだが今日は生徒会室で泊り込みだったはず……エリエンヌさんは魔物狩りでいない。なるほど……犯人はこれを狙ったのか。 

 さてと……あるやつらに頼ってみるか。きっと力を貸してくれる。でももし失敗したらシュリスさんは……精神が壊れてしまうかもしれない。精神攻撃とは……復讐者もなかなかやるな……

 なるべく学園祭までにはケリをつけないとな。みんなで笑顔で学園祭を迎えたいから……。

はいー相変わらず更新日がつかめない杉岡ですよん。

今回はシュリスさん救出しようぜという話ですね。

は~文章能力がほしい……

第一章はそろそろ終わります。

はい終わります。まぁ場面の区切り程度ですがね。

第二章としてまたでます。

計画では第五章で完結ですね。

これからも見てくださることを願っています。

そしてで、できれば感想を……

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