第一章 第十二話 『戦闘実習』
「そこまでっ!」
澄み渡った青空。最近あれだけ雨が降っていたのが嘘のように雲がない。
今日はやれなかった戦闘授業を行っている。基本は俺のような召喚されたやつが戦う感じだ。
殺したらダメなので俺は木刀でほかの魔物たちはマスターの命令で力をセーブして戦うようにしている。
召喚師たちはそれを興奮してみている。何が面白いのだか。お前たちが俺の代わりに前にでて戦えよ。
そして有名になりたいからって俺を狙うなよ。
それにしても木刀は少し違和感があって使いづらい……なんとかならないかな……
それで魔女の皆様は日陰でおしゃべりですか……いい身分ですね。はぁ……。
「はい、ご苦労様。飲み物持ってきてあげたわよ」
俺のマスターがどうしたわけか飲み物を持ってきてくれた。おかしいこんなに気がきく人だったか?
「ありがとう。さすがに疲れたからね」
「……コウイチ、ここ最近ありがとうね」
「俺なんかしたっけ?」
「疲れてるのに私のこととかして……」
「いや、気にしなくていいよ。俺がしたくてしただけだから」
「ん、それじゃがんばってね」
「りょーかい」
アイツやっぱり暑さで頭おかしくなってるんじゃないかな?
よしっとさて行くか
それにしてもこっちに来てから身体能力上がったのかな? 体が今まで向こう以上に動かしやすいんだけど。
「おい! てめぇ……クリスが召喚したやつだな?」
いかにもごつい……ってこういうやつは戦士の国に行ってこいよ。明らかに魔法使いって体格じゃないもん。
「親分! あいつに負けたんです!」
なるほど部下の敵討ちか。
「俺の部下がお世話になったようだな? 俺と勝負しろ」
「いいですよ?」
教師に合図をし戦う許可をもらう。
「それではマナーにしたがって正しく戦ってくださいね」
相手は自分のしもべを召喚する。大きいゴーレムだった。
……確実にこれって物理攻撃効かないよね?
相手のゴーレムはゆっくりと攻撃していく。少し横にずれてそれを避ける。
相手より小さいのを利用し足元に回りこみ足に木刀でなぎ払う。
しかし明らかに木刀の硬度が足らずぶつかった瞬間に折れてしまう。
「どうだ兄貴のゴーレムは! お前なんてへでもないんだよ!」
「まぁお前なんてただの人間だから仕方ないよな?」
そういって俺を嘲笑している親分と部下一。なら一気にやるか……あまりやりたくないんだけどな……。
「先生? 主人に魔法貰うのってありですよね?」
「ええ。相手にかける魔法じゃなければ問題ないです」
その言葉を聞き俺は勝利を確信する。
「マスター! 俺の木刀に火属性にしてくれ!」
「いいけど……何に使うの? ゴーレムだから属性を火にしたところで……」
「いいから早く!」
なんか不機嫌になったが関係ない。マスターはしぶしぶ木刀を元の形に戻し火属性と鋼をコーティングする。
マスターからそれを受け取りゴーレムに向き合う。なにやら観客が増えてきた。
俺は近くにあった石を一個拾う。
「勝てるわけねぇよ。俺のゴーレムにはなぁ? かけてもいいぜぇ? 俺はそうだなぁ……この魔法具でもかけるか」
余裕と顔に書いている。
周りの連中も何か賭けを始めたらしい。そして俺のほうにはクリスとシリエル、ファニアスの三人しかいない。
なるほど俺に賭けたのはこの三人か……
「なに賭けるんだぁ? 土下座でもしたら今ならまだ許すけど?」
「生憎、俺だけじゃ賭けるものはないんでね。賭けるのは俺と俺に賭けてくれた人の体でいいか? もし俺が負けたら好きにしていいさ」
「な、なんだと!?」
ここまで自信満々なのが驚いているのだろう。
そして後ろでは不安そうに俺を見るマスター。
「勝てるの?」
「必ず」
「わたしはコウイチを信じるよー。かならずかてるさー」
「そうね……まぁ応援してるから」
「はぁ……シリエルとファニアスは楽天的……まぁ、賭けたからには責任とってよね」
「ああ」
風が一瞬強く吹いた。それが戦いの始まりだった。
「いけ! ゴーレム!」
ゴーレムはさっきよりも速い速度で殴りかかる。俺はそれを後ろに避ける。俺が居た地点にはゴーレムの腕が刺さっている。
避けた後拾った石をゴーレムの手に投げる。一瞬よろめき隙ができる。
「燃えろ! バーニング!!」
俺は上段に構えた木刀を思いっきり振り下ろす。斬撃から炎が出てゴーレムを覆う。
「そんな炎じゃ俺のゴーレムに傷をつけられねぇぞ!」
「ああ、元から傷つけるつもりはないしな」
「なんだと!?」
俺は近くにある噴水に向かって思いっきり木刀を投げた。
木刀が噴水にあたり噴水から思いっきり水がでてゴーレムにかかる。
「水だと? それがなんになる?」
「知らないのか? 火で焼かれたものを水で一気に冷やすと脆くなるんだぜ?」
「な!?」
ゴーレムの体からパラパラと岩が欠けていく。
「それじゃ終わりだ。華仙流抜刀術箒木!!」
俺はゴーレムの体を全力で貫く。ゴーレムは脆くなっており鋼でコーティングされた木刀がドリルのように削り進んでいく。ゴーレムの体から脈を打ち続ける岩の心臓を抜き取る。
「これでチェックメイトだろ?」
俺は脈を打ち続ける岩の心臓を手に持ちそういう。確実な勝利宣言だろう。
「勝者! コウイチ!」
教師がそういい。この戦いは俺の勝利となる。
「コウイチ……これを受け取れ。俺は負けたからな」
「いや正直いらないからいいよ。俺魔法使いじゃないから邪魔……」
「そ、そうか……邪魔かーはははは……グスン……」
あいつ当分立ち直れないかも……悪いことしたかも。
それから時間が過ぎ夜へ
「エリエンヌさんいくんですか?」
「ああ、任務だからな。さすがに学園の近くの敵は排除しなければ」
「いってらっしゃい」
「コウイチもがんばれ」
「え? 何をがんばるんです?」
「聞いていなかったか? 再来週の学園祭で生徒会の出し物の喫茶店あるからそれの衣装決めとかいろいろだが……」
「聞いていなかった……」
「まぁ……がんばってくれ。私はそういうの苦手だからな」
「りょ、了解です……」
なんか毎回面倒な役目を押し付けられている気がしてならない今日この頃。
まぁエリエンヌさんの仕事も忙しいけれどこっちのほうが大変な気が……
「安心してくれ。学園祭までには帰るからな。まぁ一週間くらいか。会長はいるからわからなくなったら会長に聞いてくれ」
「あ、はい……シュリスさんはどうなるんです?」
「生徒会の会計はあんまり戦闘しないからな。あと補助系がシュリスは主だからな……大規模な戦闘のときしかでないな……。予算の相談はよくしておいてくれ。予算が間に合わないとかになったらダメだからな。ふむ、時間だ。では」
そう言うと行ってしまった。いろいろ助けてくれたエリエンヌさんがいなくなるのは少しきついな……まぁがんばろう! あ、仕事貰いに行かないと。
はいはーい少し手抜きになったかも……
思いついたことがひとつ。夜に小説書くのは止めよう。
ネタが詰まってしまう