表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/19

第一章 第十一話 『お出かけ』

 あれから一週間がたった。もう体も元通り。

 けれども体の筋肉痛は尋常ではなかった。しかしすごく今は楽だ。

 今日からまた下僕として働く。

 どうやら俺が旅に出かけた次の日にクリスは元通りになったらしい。

 昨日はクリスたち三人が俺のお見舞いに来てくれた。

 なんかちょっぴり幸せだったり。

 エリエンヌさんとシュリスさんは毎日のようにここに来てくれた。

 やっぱり常日頃鍛えていると直る早さも違うものなんだねとエリエンヌさんを見て実感。

 これからはもっと体を鍛えようとすごく思った。

 今日は洗濯、掃除が割り当てられている。

 女物の下着を洗うのはなれない。というかキツイ。とても恥ずかしい。

 少しは意識してくれるとありがたいものです。

 しかも洗物の量はたくさんある。

 まったくなんで女性は洗物が多いかなっと。

 俺は洗濯場にいく。

 この前は川で洗っていたが今回は洗濯場だ。

 というかあったんだ……洗濯場。

 よごれをきちんと落としそして皺がないようにきっちりのばす

 なんかデジャブ。

 それにしても量が多いので時間がかかる。

 ふーむ、大変だ。

「ん? コウイチか?」

「え? エリエンヌさん?」

「ああ、どうだ? 調子は?」

「すっかり平気です。大丈夫大丈夫」

 もう体は軽い。うん

「ありがとうございます。毎日御見舞いに来てくれて。」

「いや、そんなことで感謝されてもな……ん、あ、そうだ。思い出した」

「どうしたんです?」

「明日、暇ならこの学園のところをいろいろ案内しようと思ってな」

 そういえばそんな約束していたな。すっかり忘れてたけど。

 やっぱり約束はきっちり守るタイプなんだろう。

「ええ、明日は仕事もありませんので」

「なら明日」

「はい! では」

 エリエンヌさんはここから出て行った。さてさっさと終らせようかな。



 澄み切った青空に布団のシーツなどがゆれる。今日、出かける前にやっておく。

 こんなに天気がいいなら干しておいた方がいいので。

 今日は普通にお出かけ日和。

 日頃の行いがいいのだろう。

「コウイチ準備できたか」

 廊下からそんな声が聞こえる。俺の部屋のそとから声をかけたのだろう。ちなみに俺の部屋はマスターとは違う部屋だ。

 やはり男女が同じ部屋で寝るのはよくないのだろうという学園からの配慮で部屋をもらえた。

 やっぱり汚いあの部屋で地べたに寝るのは苦痛だ。

 せめて布団もしくはやわらかいものでもあの部屋には欲しかった。

 今日はついでに服も買おうと思っている。さすがにずっとこの服じゃまずいからな。

 学園側の援助もあり日常品には困りはしないぐらいにはなっている。

「はい、今行きます」

「ああ」

 サイフをもちいつもの学生服を身につけ外に出る。

 そこにはいつもと違うイメージの姿をしたエリエンヌさんがいた。

 長めのワンピースを着て肩にはカーディガンをかけている。

 いつもの凛々しい姿とは違い淑やかに見える。

「ど、どうしたんだ? 私の姿見て固まって……似合わなかったか?」

「い、いや違うんです。い、いや……その~、あ~、え……っと……似合いすぎてて」

「そ、そうか?シュリスに見繕ってもらったんだが……ちょっとこういう服苦手だから……」

「じゃ行きましょう! あ~楽しみだな~!」

 恥ずかしさを紛らわすために大声で部屋から出る。

 市で免疫ついてたと思っていたけど意外に免疫ついていなかった。

 なんというか市は可愛いけどエリエンヌさんは綺麗な感じだからか?



 風になびいて一本一本踊るようになびく長い金色の髪。それに見とれてしまう。

 こんなに綺麗だとは思わなかった。

 ついこの前、洞窟に行ったときは堅物な女性だと思っていたがプライベートはプライベート、仕事は仕事というのをきちんと分けていた。

 大人な女性というか人生の場数が違う感じがする。

 みんなのお姉さんというのが一番しっくりする。

 そんな女性がとなりにいる。

 ……確実に男女の質が違う気がする。

 そんな美人なエリエンヌさんと肩並んで歩く……ある意味地獄だ。

 さっきから男たちからの視線が痛い。

 そして女たちは暖かい眼差しでこっちを見ている。

 エリエンヌさんは気づいてないのかそれとも気づいててやっているのかはわからないが俺にいろいろな場所を教えてくれる。

 ……かなりのハイテンションで。

 なんかイメージが少し崩れたけどこんなにはしゃぐ事があんまりなかったんだろう。

 ちょうどいいガス抜きになれば幸いだ。

 なぜか一度そう考えると周りの視線が気にならなくなる。

 さて楽しまないと!



「コウイチ、これなんてどうだ?」

「うーんもう少し抑え目なのがいいかな?」

「そうならこっちか?」

「うん、これがいいね」

 洋服屋で服を選ぶ。こっちの世界より服の種類などは少なかったが満足できるものが結構あった。

 もともと服には興味なかったので動きやすい服装を選んでみた。

 エリエンヌさんの進めもあり軽装にした。なんでも重い服や鎧だと俺の攻撃の仕方と合わないらしい

 服を着替え制服を鞄の中に入れる。新しい服を着ながら商店街を歩く。

 いろんな人たちがお互いに声を掛け合いながら移動する。

 それはデパートとかに慣れていた俺には新鮮だった。

 そんな昔では普通の光景だったものを見ていたら心があったかくなった。

「いいですね。みんな助け合って…」

 俺はエリエンヌさんに語りかける。しかし上の空でアンティークショップの棚に置かれてある箱を見ている

「どうしたんですか? エリエンヌさん」

「え、あ、すまない」

「いいですよ、それでどうしたんです? その箱を見て?」

 ちょっと顔を伏せてから顔を上げた。

「早く亡くなった母の形見のオルゴールに似ているのだ。ただそれだけだ」

「あ――す、すいません」

「いやいい、気にしないでくれ」

 そういっていたが目ではそのオルゴールを名残惜しそうに見ている。

 金額は……た、たかっ! 4万zだって!? この服上下合わせて120zなのに……

 なるほどだからか……

「さて腹ごしらえでもしよう。ここの近くに店があるからな」

「わかりました」


 それからいろいろ周った。

 魔法宝珠屋などおかしな店や駄菓子屋みたいにこっちにもある店が結構ありかなり楽しめた。

 今俺は広場にいる。

 エリエンヌさんがちょっとシュリスに会いに行ったらしい。

 先に帰ってくれと言っていたが夜道を女だけで歩かせるわけにはいかないと思いここで待つことにした。

 買い物がおわったらここにくるらしいからここをのんびり見て周る。

「お兄さん、お兄さんちょっと来てくれない?」

「いいですけど……何かあったのですか?」

「変な人に追われているんですよー助けてください!」

 見た目は10歳くらいの少女。事情はしらないが追われているらしい。

「んーお兄さんはどうもできないなー」

 もし追い払ったとしてもその後はどうするのだろう……

「追い払うだけでもいいんですよ!」

 そう少女は頼み込む。さてどうしたものか……

「さっきのオルゴールほしいんでしょ?」

「え、な、何でそれを?」

「にひひーあそこはおじいちゃんの家なの。だからね助けてくれたら差し上げてもいいんだけどなー」

 背に腹は変えられないか……。

「わかったよ。それで何すればいいの?」

「お兄さん話わかるねー。じゃあの男に近寄って攻撃してくれればいいよ」

「それだけ?」

「うん、それだけ。別に攻撃じゃなくても少しその場にとどめておくだけでいいから」

 いいのかなぁ……

「そのあと店に来てくれればあのオルゴール上げるからさ」

「わかったよ」

 俺はいかにも不良ですといっているような男のもとに近づく

「あん? 何見てんだよ? ぶちのめされたいのか? あ゛ぁ?」

「いやあの~お兄さん? なんであの子のことを追っているのですか? 女の子から助けてほしいと聞きましたが?」

 そう言うと急に顔を真っ青にしておどおどし始める。なにかあるのだろうか?

「ちっ、ばれていたか……」

 そう呟くと不良っぽい人はすぐにいなくなる。何かあったのだろうか?

 さてあの店に行くか。


「おじゃまします」

 チリンチリンと鐘の音がなり俺を出迎える。

 中は思った以上に明るく埃っぽくない。初めてこういうお店に来たが結構いいものだと思う。

 奥には40代くらいのおじさんがカウンターにいた。

「すいません、あのオルゴールをもらえるって言うのできたのですが……」

「ん? あのお婆のいっていた子か? まったくあやつ人の売り物を勝手に」

「お婆? いえ少女っぽい人でしたが」

 奥からテコテコ歩いてくる人が居たさっきの女の子だ

「勝手じゃないでしょ? おじいちゃんから許可とったじゃん。文句は言わないでよ」

「おじいちゃんとかキショ! お前の方が年上だろうが!」

「あ、あのー話が見えないのですが」

「わたしはー商売の女神の使い魔の菊だよん。このおじいちゃんに憑いている狐だねぇー」

「わしは一応肩書きは大商人。名前はロースド・ウィグナー。菊のおかげでここまでこれたな」

「なるほど……」

 お互いを悪くいいながらもお互いを信頼をしているのがわかる。

 なんかオーラが違う。なんといえばいいかわからないけど。

「お、そうだのーあのオルゴールを渡そうか」

「ありがとうございます……」

「本当に困ったものじゃの。わしらは後ろから捕まれたら主人を交代しなきゃならんからの~。まぁお互いさまじゃ。見事あの彼女を口説きなされ」

 そういうと菊さんは奥へフヨフヨと空を飛びながら行ってしまった。

 彼女を口説く? ん?

「あの菊、なかなか気が利くんだよ。よくカップル未満のやつを見ると仕事を依頼して商品をただで渡すんだよ。あ、俺のことは気にしないでくれ。ちゃんとその分儲かるからな。伊達にあいつが商売の女神の使い魔じゃないってことだ」

 うーん納得しないけど貰っておこう。

「ありがとうございます。ではまた今度機会があればきますね」

「まぁすぐかも知れないがね。そんじゃよい人生をー」

 変わった人だなー。俺はそう思った。

 ……あ、急がないと


「遅いぞ」

「す、すみません。ちょっと女の子助けてたら……」

 遅く来たのが不服だったのかちょっと顔に不機嫌さがでている。エリエンヌさんがそう顔するとは思わなかった。

「エリー……私たちも遅かったのだから仕方ないと思うけど」

「仕方ない。今回は許そう……」

 シュリスさんの言うことは聞くんですか……

「ではお姫様方。私がきちんと護衛しますね」

「よろしく頼む」

「ごめんなさいね。コウイチさん……」

 そのあと雑談をしながら学園に戻った。

 

「エリエンヌさんいますか?」

 俺は晩のご飯を食べ終わった後ここにきた。エリエンヌさんの部屋だ。

「ああ、開いてるから入ってくれ」

「失礼します」

「どうしたんだいきなりきて?」

「今日はどうもありがとうございますね」

「礼にはおよばない。そのなんだ……さっき公園ではすまないことをした……」

「いえ、気にしないでくださいよ」

 俺は腰のバックパックからさっきもらったオルゴールをとりだす

「そ、それは……どうしてこれを?」

「少女があの店の子供で助けたから依頼料代わりにくれたんだ。俺がもらっても意味ないからさ。エリエンヌさん……もらってくれませんか?」

「ありがとう……本当に……」

 涙を出している。いや本当は出してないのかもしれない。けどエリエンヌさんの中での母の姿が大きいことがわかる。

「いや感謝しないでくださいよ。するなら店主にね」

「うん……」

「それじゃ……また明日」

「また明日……」

 俺はすこし逃げるように部屋から出た。うーむ明日からエリエンヌさんに会いづらいぞ……

 でも会いたいとも思う自分もいる。複雑な気持ちだ……

 部屋に入り俺はベッドに吸い込まれるように倒れ。すぐに深遠の中へと落ちていった。

今回は本当に遅くなってしまいましたが第11話です。

一応ラストまでの流れは決めました。

まぁ完結目指してがんばりますので応援よろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ