第一章 第十話 『対峙』(まじめ?版)
はい今回はマジメ版みたいのを書きました。どうぞ
「てぇりゃ!」
思いっきりハンマーを振り下ろす。しかし単調な攻撃は避けられてしまう。
今は人型の奴と退治している。
タコのような形のほうは急に動かなくなったからだ。ふつうならそのタコを殴りにいくかもしれないが後ろを突かれないために人型の奴と交戦している。
俺はハンマーを横なぎ払う。奴は上に飛び上がるが俺は持ち手を変え柄で思いっきり突きをする。
それをまともに食らったため奴は吹っ飛ぶ。不意打ちは避けれないようだ。しかしこの手はもう通じないだろう。相手は理解能力が非常に高い。
しかし今はまだひるんでいる。そこには俺は走って近寄る。またとないチャンスを生かすためだ。これで一体倒したらだいぶ楽になる!
けれども攻撃ができなかった。俺は壁にぶつかり何かがが投げたもので押さえつけられてしまう。
「ふー間一髪だね。ユー」
「遅いんだよ! クー」
「ごめんごめん。アイツの血液は特殊でちょっと解析に時間がかかったんだ」
そこにはタコの形の奴がいなくなり、俺がいた。そこで俺はわかった。タコは戦闘をするために動かなかったんだ。
そして人型は時間稼ぎ……なるほど……っと関心している場合ではない。
「でもなぜかソイツさ複雑なのに、ハンマーしか出せないみたいなんだ。ダッサイよね」
「でもそのハンマーを有効に使えてるじゃないかさすがはクー天才だな」
「あはは、そうでもないよ。あいつがバカなだけだよ」
俺は悔しくて唇を噛み締める
「あいつ本当に悔しそうにしているぜ」
「本当だねー! ユー」
俺は本当に無力だったんだな……10分もかからないうちに負けるなんて。
すいません。エリエンヌさん。
「さて、どうせ不味いだろうけどどこから食べる?」
「うーんなら腸がいいな」
「俺は頭でいいや、こいつもあそこに行きかー。まぁこれだけ弱いんだから別にいっか」
「だねー」
あいつらの声を聞いてるとふいに違う声が聞こえた。どこかで聞いた事のある声だ。
「ふぁ、情けねぇな。しかたない俺が変わりに戦ってやるよ。アンタが死んだら俺が困る」
とたんに腕が熱くなる
「う、がはぁ! ぐぅ、あああ!」
「あ? 何コイツ病気?」
「なら食えないかもね。ちぇー」
「いいたいことはそれだけか?」
「「はぁ?」」
「私はあっちに戻る!」
私は戻ろうとした。しかし腕をつかまれる。私は驚いてしまった。彼女にここまで力があるとは思わなかったからだ。
「邪魔をしないでくれ! もう見たくないのだ! 私の……私のせいで私が未熟な所為でこうなった! 私が代わりに盾になるべきだったんだ! 私はまだ長く生きてないが騎士なのだ。私が護らないといけない。シュリスは学園に戻って応援を呼んでくれ。私が時間稼ぐ」
バシン!
大きな音が鳴る。遅れて私は頬の痛みを感じた。シュリスが平手打ちしたのか? シュリスは目に涙をため私を見る。
「エリーだけ苦しいと思わないで。私だって苦しい……役に立たなかった自分が悔しい。だけど彼は私達に託した。だから――」
「まちな!」
シュリスの声を遮って一つの声が聞こえた。どこかで聞いた事がある声だが姿はまったく知らない人だった。特徴は猫の耳。職業はたぶんウィッチだろう。
「怪しいものではないよ。あたしは冒険者をやっている魔術師。まぁウィッチだね。やっているんだけどね。まぁ置いといてここを出ようとしたら結界があって出れなかったんだ。多分通信魔法も使えないし出れないよ。この場合術者を倒すんだけど術者は壁の向こうかな?」
「一応そうですが……その結界の情報は本当ですか? 私が来たときは張ってなかったのですが、もし結界の事が本当ならばこれぐらいの規模の結界を張るには30分はかかりますが」
「あんたは学園の生徒かい? ならまだ知らないかもね。これはスイッチタイプだろう。前もって敷いておき何かの言葉に反応するようになっていたのだろう。あたしの事は別に信じなくてもいいぞ。あたしは向こうに用があるだけだし。コウイチから受けた恩は返さないとダメだからね」
彼女は崩れて通れない壁に向かい魔法を放とうとしていた。
「私も行きます。一人でも人手が必要ですよね?」
「ああ、人手は多くて困らないからな」
「エリー!」
「私は護りたいのだ。彼を」
「……はー、私も行きます」
「まず作戦は……ここをこうしてやるだけでいい」
「わかった。がんばらせてもらう」
「私も了解しました」
「それじゃいくよ! ライトニングボルト!」
長い詠唱時間ののち壁に向かって魔法を放つと壁が崩れる。そこには――
「「はぁ?」」
「調子乗るなよ泉の精霊ごときが」
「ふん、そのハンマーから抜け出してから言うんだな!」
俺は記憶している武器具現する。全てを焦土に化すといわれる伝説の剣を。
手に光が集まる。速さを重視したため威力は少なくなるだろうがこいつらには5分の1の能力でもいけるだろう。
時間かけても唱えている間にやられたら意味がない。
「具現せよ。悪魔の剣の写し身よ。レーヴァテイン・レプリカ!」
手に深紅の剣が握られる。その剣を振るい水のハンマーを一気に蒸発させる。
「なに!? クー! 拘束を頼む!」
「わかったよ」
俺の周りに四本の柱が現れる。古い魔法だな。
「亜空間武器庫展開! ブリューナクよ我の手に」
俺は武器庫の中からブリューナクを取り出し武器庫を踏み台に上空からブリューナクを放つ
この槍は5つに分裂し相手に向かう。こんな柱なんて一気に壊せる。そして最後の一つはあのタコだ。
「クー!」
「蒸発せよ!」
槍が強い光を放つ。
そして蒸発してタコは消える。所詮泉の精霊だ。能力なんてあんまり高くない。
「よくもクーを! 水よ奴を包み拘束せよ!」
「あいつよりも下の拘束魔法で俺を止めると思うなよ」
俺の周りに水の膜が展開されるが水ならこの剣の前じゃ意味がない。火の力がかなり強ければ水なんて一瞬で消えてしまう。水の拘束魔法なんてただの一秒ももたない壁だ
俺は剣を一振りする。それだけで俺を拘束していた水の拘束はなくなる。
「くそ、くそ! なんだよ! こいつ! 荒れ狂う水よ。奴を狩れ!」
「イージス展開!」
目の前にイージスを出す。ちなみに俺のイージスの盾は結界魔法のように展開される。そっちのほうが使いやすいからだ
「な、なんでだよ。何でなんだよ!」
「そんなの決まっている。泉の精霊なんかが神に勝てるわけがないからだ」
そして俺は詠唱を始める
「全てを焼き尽くし焦土と化せ。フレアヴォル――ぐふっ!」
な、タイムリミットなのか? 早すぎるまだ五分も経っていない。魔法は使えないな。それなら。
「白銀の刃よ。我の手に!」
とっさに武器を製造する。ここの場所は質のいい鋼があったからだ。武器は刀。魔力をつかわないで早くケリをつけるなら刀が一番いい。
たぶん今回は魔力を使いすぎたからたのもあるがきっとこの体が魔力酔いを引き起こしたのもすぐにタイムリミットになった原因の一つだろう。
こんなとき自分の体じゃないのがもどかしい。
ブリューナクを蹴り上げて亜空間武器庫にいれる。レーヴァテイン・レプリカはそこまで魔力が篭っていないからなんとかなるだろう。
俺は精霊の方にあゆみよる。怯えているようだ。俺はそれを無視して斬る。そして俺に血がつく。刀にもベットリと……
「おい、見てないで降りてこいよ。そこで見てないで」
俺はイスに座って高みの見物をしているやつを睨む。
「ふーん、でも君だってもう限界でしょ?」
「なんだと」
「まずは君の動きにキレがなくなっているね。次に魔法の中断。そしてブリューナクの武器庫へ入れた。この3つでわかるでしょ? 君はもう魔力がつきかけている」
「でも残りはお前だけだ」
「ふーん、でもさ。泉の精霊を蒸発させたのはハズレだったね。水は蒸発しても冷気を加えれれば元に戻る」
「ま、まさか」
「そうだよ。たぶん想像通りだよ。また蘇るんだ。涼しき風よ。我らを癒したまえ。クールウィンド!」
泉の精霊は切断した傷が直り、蒸発した精霊も元に戻る。
「ユー、反撃開始だね」
「そうだなクー。やられたら倍返しだ」
「イージス起動! 展開、前方37°方向に一つ、後方68°方向に一つ」
「「甘い!!」」
気がついたらもう近くだった。
「な!」
「烈風衝!」
「烈氷衝!」
俺はとっさに二つの剣で敵の攻撃を防ぐ。しかしレプリカのレーヴァテインは衝撃で壊れてしまう。
「その邪魔な剣さえ壊せれば俺達の勝利だ!」
「その刀は普通の刀らしいからね」
「ぐっ! はー、はー」
「おやおや戻ってしまいましたが。そっちに興味ないのでさっさと拘束して手足もぎ取って私の研究所に運んでくださいね」
「「了解しました。マスター」」
どうやら解除されたらしい。俺の体が自分で制御できるから。
しかしこれはピンチだ。
「アイシクル!」
「ぐわぁぁ!」
俺の足を貫通して氷の柱がでてくる。
「いいねぇその声ゾクゾクするよ」
「ライトニングボルト!」
目の前に雷のビームらしきものが飛んでくる。
「誰だい? 俺とユーの邪魔するのは?」
「そこの男の保護者かな?」
一人の女性が出てきた。それに続いて二人の女性がでてくる
「コウイチ!」
「エリエンヌさんにシュリスさん!? 学園に戻ったんじゃ?」
そう俺はこの2人に逃げてもらうために時間を稼いだのに……きたら意味無いじゃないか。
「実は」
「それはあたしが話すよ。そこにいる学者が結界張っていたからでれなかったんだ。だから私達はそいつを倒すためにここに来た。わかるかい? コウイチ?」
「ん? 俺のこと知っているの?」
「……気づいてないならいいわ」
「僕らを無視して話しすすめないでくださいよ」
そういうとタコ型だった精霊が人型に変わる。
「拘束魔法……影縛り天曇二式、発動」
「エリーのその術って確実に光属性に見えないよね……」
「そうか? ふむ、でも一応光系統なのだがな」
「のんびり話しないで。あたしたちの敵はまだいるでしょーが」
「ボクのことかい? あはは、君達が束になっても勝てないよ」
そういうとイスから立ち上がり魔法を詠唱し始める。
「コウイチ、聞いてくれ」
「あ、はい。どうしたんですか? えーっと、えっと名前は?」
「ラジエでいい。ともかく、あたしが魔法の詠唱を完成させるまであいつの攻撃から私を護ってくれ。一気に大魔法でケリをつける。ちなみにエリエンヌとシュリスには話してある」
「わかりました」
ラジエさんも魔法を唱え始める。精霊達は後ろで動けないく喋れないから安心だ。
一人に専念すればいいからとても楽。3対1だ。まず力の差があってもとめることができる。
「援護を頼むぞ! シュリス」
エリエンヌさんが声を張り上げてそう喋る。きっと詩の事なのだろう
「任せてください」
この部屋に音が響く。体が軽くなったかのようにスムーズに行動できる。詩は偉大だなと少し思ったり。
「ぐ、いきなりなんで動きが良く……」
「俺の本気をなめるな!」
「輝く星たちよ、七色の光をもちて――」
ついに詠唱が始まりはじめる。俺はあいつを動けなくするために足を斬る。
「ぐぅ! 貴様らぁぁ!!」
やつはまた闇雲に魔法を放っている。
俺は相手の魔法を極力いなす。無闇にガードするよりいなしたほうが有利だからだ。向こうはあたりもしない魔法を乱射しているため。手数が増えるのだがそのぶん精密ではないのと威力も高くない。
それだから攻撃される。怒りは油断しているやつしか意味ないといった口はどこにいったのか。
「今、断罪のときはきたり! プリズムスターズ」
どうやら呪文が完成したらしい、俺はバックステップでさがる。
まばゆいばかりの光が現れる。
突然現れた美しい夜空が見えた
実際に夜空が見えたわけではない。魔法が美しい夜空のように見えているのだ。
幻想的な攻撃だった。まるでそこだけが別の空間のように感じられるほどひきつけられた。
「クソ餓鬼どもめ!」
「一つ聞きたいことあるのですが」
「うるせぇ!」
「仕方ない。体に聞く! 華仙流抜刀術、箒木」
一旦、刀を鞘に納めてから加速をつけて抜く。これは義姉さんが見せてくれた華仙流抜刀術だ。ちなみに俺はこれしか知らない。他にもあるらしいからこいつに聞きたかったのだが……そういえばさっき巻物あった気が……もしかして? あとで見ておこう。
手に持っている俺の刀に血がびっしりついている。俺は人を殺したんだ。そう思った瞬間体が震えた。奥歯がガタガタとなり寒気もする。急にインフルエンザのような症状が襲う。
「コ、コウイチ? ど、どうした……顔が真っ青だぞ?」
そうかもしれない。初めて人を殺したんだ。平気な分けない。
「あ、はは。俺は人を殺す事には向いてないようです。もう今でも斬った感触が残って気持ち悪いんです」
「コウイチ、すまない。私が不甲斐ないばっかりに」
「う、う……。俺は、俺は……」
「今は私の胸で存分に泣いてくれ。誰だって人を殺すのが怖い。当たり前だ」
俺はエリエンヌさんの胸で存分に泣いた。鎧は冷たかったが、心は暖かった。母のような温もりがあった。
コウイチが寝てしまった。泣きつかれたのと激しい動き、そして初めて人を殺したという事実の所為でかなり疲れたのだろう。
「エ、エリー? どうやって運ぶの?」
「あ」
そうだ、男一人なんて私とシュリスと旅の女性では無理だろう。どうするべきか。
「すいません」
「お、おいクー?」
「なんだ?」
さっきまで敵だった精霊がこっちによる
「僕たちが代わりに運びます」
「信用はできないな?」
「なら一つ、僕の能力はコピーです。もちろんあなたの技の影縛りでしたっけ? あれも使えます。でも使わなかった。それでは……ダメですかね?」
あのときに私とコウイチに影縛りがかかればアイツは倒せなかった……
影縛りは影があれば使えるから本当にあの科学者の味方なら使うだろう。
「うん、なら信じてみよう」
「え、エリー……」
「どうせ人手がたりないんだ。それなら……な」
「はぁ……わかりました……」
私達はここからすぐに出ることにした。この場所から私は逃げ出したかった。
コウイチのためだと言い聞かせて
タイトルも変えました。二つの世界と二色の未来です。
ちょっと眠いので最後手抜きなのは許してください