第1章 憧れと憎しみ
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転生者に憧れていた。
君も転生者って知ってるだろ?そう。他の世界から飛ばされて来る人達のことだよ。今の帝国騎士団の団長や、昔世界を救ったと言われる勇者も転生者の1人だ。
彼らは大抵めちゃくちゃ強い。普通の人は、10年訓練して初めて体内の魔力をコントロールして魔法を使えるようになるのに対して、転生者は最初から余裕で高位の魔法を連発したりするんだ。
何せ、転生者は転生する時に、神様から特別な「ギフト」を貰える。ギフトって言うのは生まれる時に一人一人に授けられる特別なチカラの事だ。
と言っても、そのギフトを開花させるのにも結構な量の魔力を必要とするから、普通の村人、例えば僕とかはそんなものとは全く関わらないまま一生を終える。
能力の当たり外れも激しいから、何年も修行をしてようやく自分のギフトを開花させたけど、それが使い物にならず、魔術師の夢を諦めたって言う人も少なくない。
転生者はそういう挫折とは無縁な訳だ。必死の修行をして大成した魔術師を軽々と倒し、「ギフト」のチカラで無双して、悠々自適の生活を送っている。
だから僕は、転生者が嫌いだ。
正確には、嫌いになった、という方が正しいな。6歳の時に色々あってね。あんまり言いたくは無いんだけど、ある転生者に両親を殺されたんだ。
まあおいおいそこら辺については詳しく話すよ。取り敢えず今は、そのあとの出来事の方な大切だ。両親を殺された僕が何をしたかって言うとね、
ただ特訓をしたんだ。それだけ。6歳から昨日くらいまで、15年間くらい。まあ辛かったけど、2ヶ月位で目覚めたギフトが思いの外当たりだったし、転生者への憎しみを糧に、とにかく頑張った。
それでね、一昨日に東の山のダンジョンに挑戦したんだ。そしたらあまりにも呆気なくクリアしてしまってね。それで、ああ俺強くなったんだな、って気づいたんだ。だから、久しぶりに街に降りてきたんだよ。
そう、あの転生者、現帝国騎士団団長ルチアーノ・シュバルツを殺すためにね。