1話 色白転生領主は町興しを計画したい!
なろう初投稿です。
稚拙ですが、皆さん、暖かい目で見てやってください。
麗かな春の朝。小高い丘の上に建つ屋敷から声が聞こえてきた。
「レンさま、レンさま?もう朝ですよ?起きて仕事を始める時間ですよ?起きてください!」
「む、うぅん…!」
メイドによって起こされたのは齢5の"色白すぎる"少女であった。
「その声はフィオナ?」
まだ寝ぼけてるのか、少女は焦点の合ってない目で声を掛けたメイドの方に顔を向けながら問いかける。
するとメイドは首を横に振りながら少女の言葉を否定した。
「いいえ、私はソフィです。レンお嬢様。」
ソフィと名乗ったメイドは初老に差し掛かっているが、歳を感じさせない動きでレンと呼ばれた少女の身支度を進める。
「今日の予定は今週の各種報告と町組代表達との会議ですよ。」
「はーい」
レンはソフィによって着替えさせられながら今日の予定をしっかり記憶する。
「さて、では朝食にしましょう。お嬢様。」
そう言ってソフィはレンを連れてダイニングに向かって歩き始めた。
+ + +
私の名前はレン、レン・フレイトです。見た目は色素が抜け落ちたかのような白い肌に紅い瞳に腰まで届く長い真っ白な髪を持っています。私はいわゆるアルビノなのです。階級は子爵…ということになってます。実はこの階級は元々私の父が持っていたのですが、父様と母様が相次いで病死したあと唯一生き残ったフレイト家の人間が私だけだったから僅か5歳で亡き両親の跡を継ぐことになったのです。
本来なら私のほうから王城に行って跡継ぎの手続きなどをしないといけないのですけど、私がまだ子どもだということを国王陛下が考慮してくれて、陛下や大臣たちが私のもとを訪れてくれて、いわゆる出張手続きをしてくれた上に子どもとはいえ領主になるということについての説明を詳しく、分かりやすく教えてくれました。
なのでこんな見た目でも私はこのフレイト領の領主なのです。
さて、ここまで私自身について語ってきましたけれども、実は私には周りの人たちに言えない秘密があるのです。
実は私、どうやら転生者のようなのです。
と、言うのも、父様と母様の死にショックを受けて寝込んでいた時に見たこともない風景や知識が夢で出てきたのです。その時は夢だと思っていたのですが、後になってそれが前世の私の記憶であるらしいことが分かってきました。
ちなみに、その時に古い文献などを漁っていた時に輪廻転生に関する内容があったのです。
それによって私が転生者であることが分かったのに加えて、こうも書かれていました。なんでも、転生者は《図書館》という祝福を持っている確率がかなり高いそうです。
祝福というのは、この世界の比較的多くの人間が持っているモノのようです。ある人は覚えなくても自然と色んな言葉を話すことができたり、またある人は百発百中の弓の腕前を先天的獲得していたりするそうです。
で、どうやら私もまた、《図書館》という祝福を持っているようです。
この祝福は、自身が意識した対象に関する知識の全てが手に入るようです。しかも記憶の中の情景にある物でも良いようです。
例えば、私の前世の記憶の中に映ってる"青色の列車"に意識を向けてみると…ほら出た。なになに?【智頭急行HOT7000系気動車】…ってわーお。スゴイですね、この祝福。名前以外にも色々ありますよ。
……。
ハッ!
これを使えばこの街に活気を取り戻せるかもしれません。
なぜかと言いますと、説明の前にこの国について少し説明をしましょう。
この国《魔法王国オセアニア》は、セラス大陸において魔法使いの数が多いことでも有名な国です。実はそれ以外にも他国に先駆けて国内各地に鉄道網を整備したことでも有名な国でもあるんです。
王都を中心に放射状に伸ばされた13本の鉄道幹線を《中央幹線》と言います。
王国北端まで引かれた《0号線》は、温泉街として一定の評判を"持っていた"この街フレイトの街と王都を結んでいるんです。
ですが、最近はより王都に近い街に温泉が沸いたこともあり、この街の収入源である観光客が減ってきているんです。
理由としては、王都からこの街まで列車でノンストップで移動したとしても2日はかかります。
ちなみに、それに対して新しく温泉の沸いた街は王都から半日と経たずに着けるそうです。
話を戻しますが私の街に来るのに時間が掛かる理由としては、まず、使われている列車が蒸気機関車で、しかもかなり最初期に製造された車両のために最高速度が60km/hしか出ません。
しかも一番最初に完成した《0号線》は線形が悪く、右に左にと数々のカーブが待ち構えており、速度がそこまで出せません。
なので時間が掛かるのです。
ですが、この【智頭急行HOT7000】を使えば、最高速度が130km/hなので理論上は1日以内に着くことができるようになります。しかも振り子機構付きで動力はこの世界ではまだ利用法が確立されていない石油です。しかも原油は領内のあちこちで発見されているようです。
資料によると嵌るとなかなか抜け出せない沼として住民の皆さんから危険視されているようです。
とはいえ、まずは《図書館》にある石油の精製方法を領内の職人の皆さんに教えてきて量産体制を整えるべきでしょうか?
実はこの領内にはかつての鉄道車両の車庫に整備設備、製造施設が残っているんです。ホットンを作る時はそこを活用させてもらいましょう。
ムフフ…車両が完成して燃料の精製が成功すれば陛下に国鉄乗り入れ許可を貰いましょう。
「…。」
あとは少なくとも領内に信号設備を設置する必要がありそうですね。
「…!…?」
とりあえず職人さん達に見せるために設計図を描いてみましょうか。
「レン様!」
「ウワッ!」
ビックリした!というか、用があるなら驚かさせずに普通に話しかければ良いじゃないですか。
「ソフィ、驚かすのはビックリするからヤメテ…」
「普通に呼び掛けても返事がないから声を大きくする必要があったのですよ?」
あれ?コレってひょっとしてさっきからずーっと呼び掛けられてた感じ?
「レン様、昼食の時間ですよ。今は作業を中断して、ほら、行きますよ。」
ソフィはそう言うと私を抱き上げて食堂へと連れて行きます。せっかく良いところだったのに無念です。多分今の私は小さな頬を膨らませ、小さな唇を突き出してるんでしょうね。周りの皆さんが「可愛い」というのが聞こえてきます。もうどうにでもなれです。
主人公は転生者でありながらあまり前世の人格に流されない性格をしています。しかし、知識や経験は前世の分アドバンテージがあり、5歳にして既に大人並みの知識と経験を有しています。そこにさらに《図書館》による追加知識でブースト。これは負ける気がしない。