男女の口調
個人の見解です
男女の違い、特に役割的性差の話をすると、私は目の前の人間がどうこうというよりは、キャラクター造形におけるテンプレ表現の話を思い浮かべることになる。勿論、エンタメやらキャラ造形やら、それもテンプレという話になると実際より強調され極端になっていることが多い。実際そんな人いないよ、みたいな場合もある。だが、テンプレとして…つまり、説明されなくても、こういうキャラ性の人物だな、という了解が得られるということは、それが典型的なイメージとして定着しているということに他ならない。各々の意識差を語る上では寧ろ相応しいのではなかろうか。
ちなみにあまり深堀すると紙幅が足りなくなるので、今回は口調や台詞表現に限って話をしていこうと思う。後、テンプレとテンプレ破りは反証ではなく寧ろセット表現なので、よろしく。テンプレがなければそれを外れることはできないのである。定番があるからこそ、それを外れることに意味や驚きが生じるのだ。
ところで。設定を知らずに台詞だけで男女の区別ってできるだろうか。厳密に言えば、ノーだろうが、テンプレという意味では一応存在すると思う。いわゆる、女口調と男口調。概ねのところ、特に特殊な設定が付いていない限り、乱暴な口調は男、丁寧な口調は女と判断されがちじゃないだろうか。寧ろ、男性キャラで敬語や丁寧口調は真面目とか執事とかなんらかの属性とセットで使われるし、女性キャラで乱暴な口調は男兄弟の存在や非行歴などの理由を付けて採用されていないだろうか。実際の人間がどうかはともかく。
具体的な例を出さないと語りにくくはあるが、まあ、察する人もいるだろう。
例えば、「見ろよ、人がゴミみたいに見えるぜ!」って台詞があれば、大体の人は男性台詞だと思うだろう。それもどっちかというとチンピラ系の。
「私はそちらで構いませんよ」なら大人しそうなお嬢様キャラだろうか。
「俺はいつでもいけますよ」とかはどうだろう。男性でわんこ系後輩キャラかな。
実際には大体の人がTPO、己と相手の関係性やら気分やらで口調を変えるものだが、フィクションにおいてはあまり状況で口調を変えないことが多い。キャラの同一性の担保もあるし、キャラの違いがわかりにくくなるからだ。まあ、キャラが増えれば余程妙な個性がないと口調被りも必然になってくるが。
テンプレ表現における話の逆の見方をしてみよう。
例えば、「僕に任せてください」という台詞があったとして、それを男性キャラが言う場合と女性キャラが言う場合で、所持属性が異なるんじゃないだろうか。
「私なら大丈夫ですから気にしないでください」では?
「俺が負けるわけないだろ」では?
そのあたりの違いが、テンプレにおける男女差なのではないかと思う。
後は言葉選び…下品な言葉、幼児言葉や擬音表現、他者に対する敬称の有無やチョイス、お腹空いたなのか腹減ったなのかみたいな表現の違い。性別によって選ばれがちな表現の違いはあると思う。勿論、わざと外してギャップにする場合もある。
一人称もそうだ。僕、私、俺、アタシくらいまでが一般表現で、後は特殊な一人称という扱いで良いと思うのだが、女の子は私かアタシ、男の子は俺か僕まれに私もいていいかな、くらいじゃなかろうか。女の子が僕や俺を使うとそこに特殊な属性を添えられがちである。男がアタシは任侠系とかだろうか。
自信がなくて大人しい感じのキャラの口調ってどうだろう。男性キャラなら「ごめんね、僕のせいで迷惑かけて…」女性キャラなら「ごめんなさい、私のせいで迷惑をかけてしまって…」という感じで当てはまらないだろうか。
暴力的ではない自信家キャラは「まあ、俺に任せておけ。すぐに終わる」「私に任せておきなさい。すぐに終わらせます」この辺りで違和感なく表現されないだろうか。
乱暴な感じのキャラは「オレ様に勝てる気かよ、てめぇ」と「俺が勝つに決まってるだろ」ぐらいで乱暴度合いが釣り合わないだろうか。
例示というのは、網羅的にするのは現実的には不可能なので、どうしても恣意的な表現にならざるをえないわけだが、どうだろう。基本的にテンプレ表現、ギャップのためにわざと外しているわけではないと考えて欲しい。
ところでだ。ここまで語って来た"私"。語り手はテンプレに当てはめるなら、どのようなキャラであると読者諸君は思っただろうか。性別は?性格傾向は?まあ返答は期待していないが、純粋に気になるのは気になる。私はどう思われているのだろう?どう見えているのだろう?良ければ聞かせてもらいたいものである。何かの参考にするかもしれない。