プロローグ
俺の名前は軽井沢裕、16歳、去年から地元の高校に通っている。
俺には今母親がいない。
兄弟もいない。
母親は俺が小学5年生の頃病気で亡くなった。
つまり俺は今父親と二人暮らしってことだが、その父親は仕事が忙しく度々外国に出張に行ったり、日本にいても朝早く出て夜遅くに帰ってくる。
実質俺は一人暮らしみたいなもんだ。
家事は母親が亡くなってからいつも一人でやっていたし、大体のことはできているが、やはり料理だけは
母親ほどうまくできない。
俺が料理をして食べているときふと母親の料理を思い出してもう一度食べれたら食べたいな~とか、母親が生きていれば毎日おいしいご飯が食べれたのにな~とか考えてしまう。
でも実際母親はもういないわけだし食べたくても食べることができない。
それと、もし俺に兄弟がいたら毎日一人で寂しくご飯を食べなくていいし、例え母親が亡くなったとしても楽しくご飯が食べれただろう。それに毎日の家での生活がきっと楽しかっただろうなと兄弟のいる友達の話を聞くとふと思ってしまう。
「あ~家族が欲しいな~」と思いながら毎日過ごしている。
お父さんは今日も帰るのが遅いな~。現在時刻は23時30分まだお父さん帰ってきてないけど今日は先に寝ようかな~。
俺はいつも父親に早く寝ろとか言われるけど、ほぼ毎日父親が帰ってきたのを確認してから寝るようにしている。寝てないことがバレたりすると少し怒られたり、勉強してたと言ったりして寝ていないことを怒られないようにしている。
俺がいつも父親が帰ってきたのを確認してから寝るのには訳がある。それは、病気で母親を亡くしてとても寂しく辛いのに、もし、お父さんの身に何かあって帰ってこれなくなったら俺はどうなってしまうのか考えるだけで胸が痛くなる。だから俺はお父さんが帰ってきたのを確認してから寝るようにしている。
今日はもう遅いし先寝ようか。でも、いつものようにお父さん待ってから寝たいしな~。まぁ今日は先に寝てもいいか。お父さん別に何にもないだろう。
ていうか寝ててもお父さんが帰ってきた音ぐらい聞こえるだろう。
よし寝ようか。
ガチャ ギー バタン
あっお父さん帰ってきた。これで安心して熟睡できる。
コンコン ガチャ
「裕もう寝たか~ってそら~ねてるよな~」
「どうしたのお父さん?何かあった?」
「何だ起きてたのか。裕いつも俺が帰ってくるのを待ってから寝ていただろう」
「お父さん知っていたの?!」
やはり裕は俺が帰ってくるのを待ってから寝ていたのか。
心配性だな~。
まぁ母親を亡くして次に俺の心配をする気持ちは分からなくもないが俺的には俺を心配して遅くまで起きとかれるよりも、熟睡している顔がみたいのにな~。まぁ心配してくれるのはありがたいことだが。
「な~裕俺を心配して遅くまで起きててくれてありがとうな。でもできれば早く寝たほうが良いぞ。体にも悪いし。それに俺は帰ってくるじゃないか。今度からは俺が帰ってくるのを確認しないでお父さんは帰ってくるんだと信じて寝ていてくれ」
「あぁ分かったお父さん明日からはそうするよ」
「そうだ!裕が起きているうちに話しておかなくちゃいけないことがあったんだ」
話って何だろう?大事な話みたいだけど
「話って何?」
「あ~話ね・・・俺は先にリビング行ってるし後でリビングに来て大事な話があるんだ」
大事な話って何だろう?俺の成績の事かな~?そんなに悪くないと思うんだが。
まぁリビングに行くとするか。