三十八話 地獄の日々①
お久しぶりです。
プライベートのゴタゴタが片付きやっとの再開。
今後は定期的に更新出来るようにがんばります。
〜sideアリサ〜
部屋を出たわたしは直ぐ近くにあったトイレに駆け込み胃の中の物を吐き出した。
時々起きるトラウマを起点にした激しい嘔吐。
あの日、この世界に転移してからの地獄の三ヶ月はいまだに、わたしの心を蝕んでいる。
〜回想〜
「行ってきまーす」
星ちゃんが集中治療室から一般病棟に移されたと連絡を聞いて直ぐにお見舞いに行くために家を出た。
肩から掛けたバッグに水筒とお菓子を入れて、ガーデニングが趣味のママが持たせてくれた花を自転車の籠に入れて病院への道を急いでいた。
星ちゃんが車に跳ねられて入院してから毎日通った道。
通い慣れたその道に彼奴が居た。
「アリサ、俺も一緒に見舞いに行きたいから連れて行ってくれないか?」
取り敢えず無視して進む。
そもそもファーストネーム呼びなんて許していない。
初めて会った日から馴れ馴れしく接して来て何時も迷惑している。
クラスの女の子達が度々注意するけど一切無視してわたしに話し掛けて来る。
一度家まで後を付いてきた来た時は正直気持ち悪かった。
何より大好きな星ちゃんに大怪我をさせたのが許せない。
わたしが嫌いと感じる物や行動を一つにまとめて固めたら恐らく佐山が出来上がる。
「聖に謝りたいんだ。俺も連れて行ってくれ」
意外な事を言い出した。
星ちゃんを道路に突き飛ばして大笑いしていたのに何を言ってるのだろう。
「嫌、あんたを星ちゃんの所に連れて行きたくない。付いて来ないで」
「約束する。聖には何もしないか・・頼むっ」
必死に頼むその姿にわたしは少しだけ心を動かされた。
「一回だけ連れて行ってあげる。その代わり二度とわたし達に関わらないで」
「ありがとう、聖に渡したい物が有るから寄りたい所があるんだ」
そう言われてのこのこと付いていった。
何時もママが利用している商店街を通り抜けて病院とは反対方向に進んで行く。
住宅街を通りすぎ田園地帯にあるレンタル倉庫にたどり着いた。
「早くしてよね、今日は只でさえ暑いんだから」
辺鄙な所にある倉庫で近くに何もない。
麦わら帽子を被っているけど夏の日差しが辛い。
さっきから倉庫の中をごそごそとあさっているけど何時になったら終わるのか・・・。
佐山を置いて病院に向かってしまおうかと考えていると声が掛かる。
「ちょっと手伝ってくれ、ここの荷物を取りたいんだ」
早く星ちゃんに会うために仕方なく手伝う事にする。
これがいけなかった。
倉庫に入ると佐山が箱を押さえたいた。
「この箱を持ってて」
そお言われて箱を支える。
すると佐山が倉庫から出て鍵を掛けた。
一瞬何が起こったか分からなかった。
「ちょっと、何鍵掛けてんの?まだ中にいるでしょっ」
箱を押さえるのを止めて扉に近づく。
幸い倉庫の中に電灯が有ったため真っ暗にはならなかった。
扉を叩くけど外の佐山は無反応。
外から微かに聞こえるのは下卑た笑い声。
「あははははは、捕まえた捕まえた。これで俺の物だ」
何を言ってるのか分からない。
捕まえた?閉じ込めたの間違いでしょ。
「さっさと出しなさいよっ」
大声で抗議するが
「むだむだ、この倉庫は中で大声出しても外にあまり聞こえないから意味ないぞ」
多分そんな事を言っている、本当に倉庫の中は音が聞こえない。
まずい、そう思った。
倉庫の中は信じられない位に暑い。
テレビで良く熱中症の事が放送されているこの季節、こんなに暑い所に居たら死んでしまう。
せっかく星ちゃんが助かったのに、わたしが死んだら二度と会えなくなる。
どうしてあたしがこんな目に遭うの?
どうして佐山はこんな事をするの?
そう思っていると点いていたら電灯も消えてしまい真っ暗になる。
扉を必死に叩くうちに手に怪我をしてしまったけど構わず叩き続ける。
暫くして叩くのを止めた。
『きっとパパやママが助けに来てくれる』
そう信じて、待つことにした。
バッグの中には水筒も有るし少しのお菓子も入ってる・・、助けが来るまで待つしかない。
水筒のお茶を少しだけ飲んで壁を背に座る。
喉は乾いていたけど助けがいつ来るか分からないから大切に飲む。
音のない倉庫の中で心臓の音と呼吸の音がやけに五月蝿くかんじた。
それからどれだけ時間が経ったのか・・・
一時間?二時間?それとももう一日位?分からない。
膝を抱えてただただ待つ。
お茶も飲み干してしまいお菓子も食べきって真っ暗なか待ち続ける。
意識が朦朧としてきた頃に微かに声が聞こえた。
助けが来た
そう思ったわたしは扉を叩く、すると扉が開いた。
勢い良く前のめりに倒れてしまう。
「大丈夫?どうしてこんな所にいるの?」
男の人の声。
見慣れない服とあり得ない顔立ち。
頭から犬の耳が生えている。
「ここは何処?」
そう尋ねると
「ここは海の上で船の中。お嬢ちゃん何処から入り込んだの?」
そう言われて辺りを見渡す。
海の上を風を受けて駆ける船。
わたしは知らない場所に居た。
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